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すべての利害関係者が総合管理に関与する。 |
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すべての給水にフルコスト価格設定を導入する。 |
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研究と革新に向けて公的資金を拡大する。 |
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国際河川流域を共同で管理する。 |
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水への投資を大幅に増加させる。世界水ビジョンを実現する責任をわれわれ全員に帰する。われわれ全員とは政府、多国籍機関、家庭、地域社会、非政府組織、大学、研究所、民間部門である。」 |
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と4.5水の未来への投資(世界水ビジョン川と水委員会『世界水ビジョン』p.127)において、要約されている。 |
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●
危機からビジョンへ
「われわれのビジョンは、淡水生態系の完全な維持を保証できるような方法で、すべての人に、食糧をはじめ諸々の必要なものを充足するために、安全かつ十分な水が供給される世界を実現することである。
ビジョン策定の究極目的は、人類が直面する水危機と、それに対処するための解決法についての全世界的な意識を醸成することである。
この認識が高まれば、新しい政策と立法的・制度的枠組みが策定されるようになる。
また世界の淡水資源は、効果的、効率的かつ平等に人類と地球の利益となるよう、個人から国際社会までのあらゆるレベルで統合された方法で管理されるようになる。」
4.1. ビジョン声明と重要なメッセージ(世界水ビジョン「川と水」委員会編『世界水ビジョン』(2001)p.69)に、水ビジョンの策定の目的として、このように「危機と、それに対処するための解決法についての全世界的な意識を醸成すること」を指摘しています。
また「危機からビジョンへ」(「概要 水をすべての人類の課題に」『世界水ビジョン』p.61)では、以下の通り7つの項目を掲げています。
水危機が深刻になり、激化するかどうか――あるいはこの動向を持続可能な水資源管理へと転回させ得るかどうか――は、複雑な仕組みの中で相互に関係しているさまざまな動向の変化に依存している。
現実的に解決するためには、水資源管理への統合的仕組みが必要である。
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未来をまったく違うものにするために取り組まなければならない重要な課題として、つぎのようなものがある。
● 灌漑農業の拡大を抑制する。
● 水の生産性を向上させる。
● 貯水量を増加させる。
● 水資源管理制度を改革する。
● 流域での国際的協力を強化させる。
● 生態系機能の価値を評価する。
● 技術革新を支援する。
●世界水ビジョンのメッセージ
その上で、4.1. ビジョン声明と重要なメッセージの中で、「統合的水資源管理」が推奨されている。
統合的水資源管理(integrated water resource management)とは、「大局的な観点から、水の状態と農業、工業、家庭、環境といった給水先の需要とを検討すべきであるとする考え方。
水資源と給水の管理には、給水の調整が必要なため、部門内外で調整すべきである。
給水先の要求が満たされ、また水資源と給水を統合的に管理できるならば、公平で、効率的な管理体制の維持が可能になる(世界水パートナーシップ、1999年度行動枠組み)」
● 女性、男性、および地域社会において、安全な水と衛生的な生活条件の確保、および彼らが希望する経済生活の形態に応じて決定すること。そして、目的達成のために行動を開始することの権限を付与する。
● 女性および男性のために、1単位の水の使用からより多くの食糧を生産し、より多くの持続可能な生計を創出する(水1滴あたりの作物生産と雇用を増加)、またすべての人に、健康かつ生産的な生活のために必要な食糧の供給を保証する。
● 人間およびすべての生物に役立っている淡水、および陸上の生態系の量と質を保全するために、人間による水の利用を管理する。
そして、これらの目標を達成するために必要となる重要な行動、「要請される行動」として
「国際河川流域での統合的水資源管理に関する協力の必要性を認識する」
「水への投資を大幅に増大させる」とともに、
「利害関係者の参加」や、「水のフルコスト方式」が提唱されている。
また、実施への責任の項目において、制度的な課題を強調し、参加プロセスの促進や、基準設定による国際的制度改革などに触れるともに、民営化の意義が、公的経営との関係で述べられています。
フルコスト価格設定(full-cost pricing)とは、「利用者が水の採取・集積・処理・配分と廃水の回収・処理・処分にかかる費用を全額支払う制度」と説明されています。
要請される行動には、以下のような文言があります。
「●すべての利害関係者を統合的管理に参加させる。現在の細分化した水管理の枠組みでは、ダブリンとリオで指摘されたような相互関連性を取り扱うことはできない。
現在は、水の専門家の分野別の取組みによって大半の水管理がされており、これは立案と運営との調整においては、環境分野との密接な協力において不十分である。
また表流水・地下水の自然な流域区分を無視した行政区分の中で管理されていることが多い。
さらに悪いことは、最も重要な利害関係者であり、水管理が生活と生計に影響を及ぼす地域社会の女性と男性は、意思決定に参加していない。
土地と水の利用に影響を及ぼす社会的・経済的決定には、これらの利害関係者を参加させなくてはならない。
政府は、これを実現するために制度的機構を確立すべきである。
すなわち土地と水の計画と管理は、地域社会の経済的・環境的・社会的利害を代表する女性などの利害関係者を参加させ、完全な情報の共有にもとづいて行うものとすることなどが、国の法制度によって義務づけられるべきである。」
ダブリンとリオからの発展に関しては、以下のような説明が『世界水ビジョン』p.70にあります。
1970年代以降、一連の国連会議と大会は持続可能な水資源管理への里程標となり、現在では水管理に関するダブリン原則が広く受け入れられている。
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水開発と管理は、あらゆるレベルの利用者、計画立案者、政策決定者を含む、参加方式にもとづくべきである。 |
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女性は、水の供給、管理、保全に中心的な役割を担う。 |
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水は、あらゆる競合的用途において経済的価値を持ち、経済的財貨として認識されるべきである。
これらの原則には、経済的・社会的・環境的安全保障の密接な相互関連性が認識され、含まれている。世界水ビジョン行動に課せられた課題は、ダブリン原則の実施を加速するだけでなく、それを実施するための包括的な実施原則を提案することであった。 |
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「●人間が利用するすべての水関連サービスを、全費用負担方式で価格設定に移行する。
水は希少であるため、経済的財貨として扱われなくてはならない。
この概念に意味を与えるため、本報告書では、水関連サービスを供給するためのすべての費用を消費者が負担するべきであると勧告する。
これは政府が、常に他の公的資金需要を考慮に入れながら、対象となる貧困層を明確にした、透明性の高い助成を行うことまで禁止するものではない。
水に関する助成や、水を社会的財貨として扱う政策は、貧困者が最も苦しめられるという矛盾を生じている。
水に関する助成が富裕者によって独占され、その他の機能を運営し拡張しようとしても十分な資源は残っていないという場合があまりにも多い。
その結果として割当制が敷かれ、貧困者はつねに列の最後尾に回される。
水関連サービスの価格設定は、外的影響をも含めた水の経済的価値を、十分に認識した枠組みを最終的に確立するための第一歩として友好な手段である。
フルコスト方式の価格設定は、対象となる低所得の地域社会及び個人を明確にした、透明性の高い助成を伴わなくてはならない。
そのような助成により、彼らが最低限の必要性を充足するための費用を支払うことができるようにし、意思決定への利用者の参加を助長することが必要である。
このような取組みで水の価値を評価し、インフラへの投資と民間からの参加が促進され、運営と維持の費用を賄うだけの収入が確保される。
また、生態系からの取水と生態系の汚染が抑制される。さらに、節水の習慣や技術の活用や、更なる研究も奨励される。
公共の利益となる分野における研究と技術革新への公的資金を増加させる。
世界水ビジョン行動の一環として行われた協議では、これまで水と環境の価値が評価されなかったため、淡水生態系についての定量的知識は著しく不足していることが明らかになった。
同様に、節水技術の革新を促す刺激は、ごくわずかしか与えられていない。
水資源管理の価格設定は、民間部門にいくらかでも刺激となる革新を起こさせる。
国際的水資源管理に関する革新的な技術的・社会的・制度的取組み方法の開発と普及を推進するために、公的資金による開発研究がさらに必要である。
とくに市場指向型の研究では対応できない分野で、公共の利益となる分野への公共資金の増加が重要である。」
「●水への投資を大幅に増加させる:
世界の水資源問題への取組みには、莫大な投資が必要である。
水インフラへの投資は、現在の年間700〜800億ドルから約1800億ドルに増やす必要があり、そのうち900億ドルは、役務での提供を含めて、主として地元の民間部門と地域社会から供給されることになる。
追加投資と連携して、貧困者にも新規インフラの利益を享受させるため、政府による貧困者を対象とした(効果的かつ効率的な)助成が行われる。
これを可能にするためには、水の価格設定により、将来の投資と運営・維持のためのキャッシュフローを生み出すことが、大いに有効であるはずである。
現在の考え方とは反対に、当ビジョンは、政府予算を現状の水準に維持することを勧告する。
その第一の目的は、助成なしには水関連サービスを受けられないような低所得の個人と地域社会に間接的に資金を供給することと、食糧価格を貧困者にとって手頃な水準に維持することである。」
「実施への責任」としては、制度的な問題点を指摘し、
「水資源管理における最大の課題は、制度的なものである。
社会機構、政府の政策、技術の選択、および個人による消費が、いずれも影響力を持っている。
しかしこれまでは、政治腐敗、断片化した制度、重複した努力、資源配分の誤り、権威主義的な中央集権制度が、日常的に事業コストの増大を引き起こしてきた。」
として、
幅広い利害関係者の意志決定への参加を強調し、
「とくに女性などを含めて、すべての利害関係者を意思決定に参加させるよう、政治的意志を結集する必要がある。」
としている。
そして、「各国での水管理は、全地球的な社会構造、経済、環境に影響を及ぼす:基準を設定し、各国内での実績を基準に照らして監視するためには、国際的制度が重要な役割を演じる。」
と述べて国際的な制度に基づく基準設定にも触れている。
この項目で、より具体的な課題として掲げられているのが水事業への民間参入などの問題である。
「水関連サービスの供給は、社会的に重要であるため、多くの国では公共機関に委ねられてきたが、ほとんどの発展途上国および大半の先進国でも、それが非能率的になり、無規制になり、説明責任が不明確になっている。
民間部門の参入で、この状況は、根本的に変化する。
なぜなら民間の独占企業は、明確な契約のもとで操業すること(すなわち契約で規制する)が必要だからである。
民間企業に対して規制と説明責任が確立された場合は、必然的に、それらの実績を公的企業と比較すること、公的企業にも利用者への責任を負わせること、公的企業を規制することの3つが実行されることになる。
このプロセスによりよい競争環境が樹立されることになる。
ほぼ間違いない最大の利点は、公的企業が規制され、説明責任を負い、効率的になることである。
都市水道の分野では、そのような状況で、公的企業の実績がかなり向上するという明らかな証拠があるが、灌漑の分野では、このプロセスはまだ始まっていない。」
として、
「公共と民間の水管理は、どちらも説明責任の強化、透明性、および法の原則によって改善されなくてはならない。」と述べている。
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