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プレス・リリース 2003年3月23日 16時30分

世界水フォーラム市民ネットワーク

「曖昧なまま終了した第3回世界水フォーラム」―参加者の声はどこに反映されたのか?―

 2003年3月23日午前11時30分、第3回世界水フォーラム閣僚級会議は「閣僚宣言−琵琶湖・淀川流域からのメッセージ−」を採択して終了した。この「閣僚宣言」は3月16日〜23日にかけて開かれた第3回世界水フォーラムの337もの分科会の成果を受けたものとされているが、NGOの視点から見て、多くの重要な点が抜け落ちており、曲解されている。何よりも、“議論から行動へ”という第3回世界水フォーラムの理念から考えて、この宣言はとても行動志向型とは言えない。

・ まず、水に関する根本的なコンセンサスが得られていない。すなわち、水は国際共有財・公共財であり、生けとし生きるものすべての共有財であることの確認がなされていない。また、水は基本的人権であり、すべての人々に保障されるべきという国連の場で確認された根本原則さえ確認されていない。

・ 水は国際共有財であり、そのため商品として扱われるべきではなく、WTO(世界貿易機関)とGATS(サービス貿易に関する一般協定)の交渉対象として水及び水サービスを扱うべきではない。

・ 第3回世界水フォーラムにおいて、世界中の数百のNGOから「水施設への資金調達に関する世界パネルの報告」(いわゆる「カムドシュ・パネル報告」)を拒絶する意見が表明されたにも関わらず、閣僚宣言に何の法的正当性もないこの「報告」に留意する記述が盛り込まれている。

・ 第三世界において水施設への資金充当を妨げているのは、巨額の債務負担が大きな要因であり、まず債務削減を実施すべきことが必要である。新たな資金調達がさらなる債務負担に結びつくことを懸念する。

・ 今回の閣僚級会合への、世界水会議(WWC)、グローバル・ウォーター・パートナーシップ(GWP)など法的正当性のない団体の参加プロセスが不透明であることが、今回の閣僚級会合自体の性格を非常に曖昧なものとしてしまっている。

・ 「官民パートナーシップ」については、第3回世界水フォーラムにおいて反対側、推進側で物別れに終わったにも関わらず、いくつかの留意点を記しながらとは言え、推進する立場での記述となっている。全く対立した意見について、一方の意見を主として盛り込むことによって、第3回世界水フォーラムでの真摯な議論の成果が蔑ろにされてしまっている。

・ 全体を通して、資金調達に重点が置かれた内容となっており、官民パートナーシップの名の下に、民間からの投資を奨励する方向性が強調されていることを懸念する。過去数年間に、水道事業を民営化した国々で、企業参入により貧困層が水へのアクセスを一層困難にされてきている点について検証する視点を欠いている点は、「水を貧困及び飢餓の撲滅の原動力」としている宣言内容と矛盾しているとの懸念を強く感じざるを得ない。

・ 2005年までに統合的水資源管理及び水効率化の計画を策定することについて、拙速なゆえに地域住民主体での策定が行われないのではないかとの強い懸念がNGOの間ではある。また、この促進を地域開発銀行が担うことをうたっているが、水利権の市場化を前提とした水効率化を推進してきた地域開発銀行がこのような役割を担うべきではない。

・ 官民の連携とともに今回のフォーラムにおいて議論となったダムなどの大規模開発に関して、環境や人権などへの影響に対する配慮が非常に弱い表現にとどまっていることに落胆せざるを得ない。新たな資金調達が新たな大規模開発に繋がることに大いに懸念する。

・ 気候変動と水との関係について、多くの島嶼国から強い表現を求める声が挙がっていたにも関わらず、気候変動への取り組みに前向きでない国に配慮して曖昧な表現に終わってしまっている。

・ 安全な飲料水と衛生に関しては、NGOの試算ではODA、MDBs(多国間開発金融機関)資金などの公的資金で十分にまかなえる。莫大な投資が必要との閣僚宣言での記述は、とうてい現実的でなく、また、受け入れられるものではない。

・ 先住民の権利と文化への尊重と敬意について全く言及されておらず、国連人権宣言並びに、先住民に関する多くの国際的合意を反映するものになっていない。

 深刻化する世界の水問題の解決に向けては、水問題で困窮する当事者が参加して解決策を策定することが重要である。第3回世界水フォーラムでは、分科会ベースではそのような試みがささやかながら行われていた。このような当事者の参加型アプローチを評価しつつ、最終日に出されたこの宣言に対し、私たちは遺憾の意を表明する次第である。

2003年3月23日
世界水フォーラム市民ネットワーク