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■■ 内田誠のニュース&コラム「遠きより」 
■■                    2005/03/04【017号・再訂正号】
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《訂正は間違いでした!》
お恥ずかしい話ですが、2月10日配信の【放送故知】号で訂正した件は、その訂
正内容自体が誤りでした。したがって、再訂正が必要になりました。大変ご迷惑をお
かけしましたことをお詫びします。
 感染した牛の脳をどれだけ食べさせれば牛に感染しうるかについて、私は完全に混
乱しておりました。このことで読者の戸谷真理子さんから以下のような丁寧なご指摘
を受けましたので、ご本人の了解を得て紹介させていただきます。

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 牛の感染は1mgで間違いございません。
山内先生のページも、その後の160回目の講座にて
新知見が記載されております。昨年春に判明いたしました。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/05_byouki/prion/pf160.html
 英国ではBSEウシの脳の経口接種での最小感染量を調べる実験が2回行われた。
表3に示した中間成績では、0.001 gの脳でも感染の成立することが明らかにされた。

 内田さまの「狂牛病は終わらない」拝読させていただきました。また、食品安全委
員会の意見交換会での、十勝の生きたままレンダリングの話には本当に驚きました。
調査をくださって、ありがとうございます。ご苦労をお察しいたします。

 これからもよろしくお願い申し上げます。
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 イギリスで行われた二回目の実験結果によれば、感染牛の脳を0.001グラム、
つまり1ミリグラム食べさせだけで、79カ月後に15頭中1頭の感染が確認された
ということです。ですので、2月6日発行の本メルマガ16号で「実験では、感染牛
の脳を1ミリグラム食べさせれば、BSEは牛から牛に感染しうることが分かってい
る」と書いたことは正しかったことになります。
 ご指摘を頂いた戸谷さんには感謝の申し上げようもありません(恐縮なことに、ね
ぎらいの言葉まで頂きました)。

■ところで、改めてこのオーダーで感染の成立が見られたことの意味は大きく、交差
汚染というものの現実性を痛感させられます。山内一也先生が指摘しておられますが、
アメリカへの「異常プリオン」の侵入リスクについてハーバード大学が行った評価は
甘すぎるということになるのだと思います。
 ただ、日本の「疫学検討チーム」の報告(2003年9月)がBSE上陸の要因と
して交差汚染を重視していることについては異論があります。日本の場合、「交差汚染」
以上に、意図的に配合飼料中に混ぜられた肉骨粉からの汚染こそが大問題だと考えて
いるからです。その点については拙著『狂牛病は終わらない』でも書きましたので、
ご参照下さい。

*牛に肉骨粉を喰わせたのは誰かという形で責任を云々する場合、
 第一には農水省の衛生管理当局、そして第二には農協を含む飼料
 会社の責任を考えるべきで、「交差汚染」説は、とくにこの第二の
 グループを「過失犯」に「減刑」してしまうことになりかねません。

■それから、戸谷さんが言及してくださっている「十勝の生きたままレンダリングの
話」は、もともと上記拙著に書いた話で、昨年9月16日に開かれた「食品安全委員
会の意見交換会」の場でも、発言の中で触れておいた問題です。
 この意見交換会では、プリオン専門調査会の曰く付きの「中間とりまとめ」が議論
の焦点になり、例の「20カ月齢以下の検査除外」を巡り、会場参加者から激しい批
判がまきおこりました。私は敢えてその論点を避け、委員会がまるで「日本のBSE
リスクは正確に分かっている」と胸を張っているかのごとく振る舞っている点を質し
ました。日本の場合、農水省のサボタージュによって死亡牛検査が延び延びになって
いた間に大量の安楽死が起こってしまい(「生きたままレンダリング」はそのもっとも
顕著な実例)、ハイリスクグループが全国的・組織的に抹殺されてしまった事実が重要
であること、そしてそのことを無視すると、日本のBSEリスクの評価は間違ってし
まうのではないかということを言いました。

http://www.fsc.go.jp/koukan/risk160916/160916_tokyo_gijiroku.pdf
*この日は、食品安全委員会側が「針のむしろ」状況になっていた
 のですが、なぜか、議事録がなかなか食品安全委員会のホーム
 ページにアップされなかったのです。ところが、プリオン調
 査会第二十回会合が開かれた2月24日の二日前の22日、ようや
 く公開となりました。実に150日以上もたっての公開です。

 幸い、食品安全委員会プリオン専門調査会の議論の中に、この死亡牛の問題が若干
ながら反映されるようになり、2月24日の第二十回会合では、座長のたたき台の中
に、この点を勘案した「感染頭数の推計」が記され、あるいは死亡牛検査で二頭しか
感染牛が発見されていない(直後の26日、十勝地方の本別町で三頭目が見つかった)
ことについての議論もなされました。
 この委員会の場合、諮問内容を反映して、どうしても「様々な対策を講じた後の現
在の感染リスク」に議論の焦点が当てられる傾向があります。しかし、前号で記した
ように、もはや日本国内にも変異型ヤコブ病の感染者が存在する可能性を考えるべき
ときなのであり、「血液を介した人から人への感染」の重要性を認識するために、もう
一度、過去のリスクについて真剣な議論を臨みたいところです。

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■編集後記
 かなり格好悪い号になってしまいました。しかも、だいぶ遅れてしまい、そのこと
でまたご迷惑をおかけしたかもしれません。重ねて、お詫び申し上げます。
 さて、世間がかなり賑やかになってきました。ブッシュ大統領の「経済制裁」発言、
島村農水大臣の「全頭検査は世界の非常識」発言、外務官僚による食品安全委員会批
判などなど。ちょっと面白く思ったのは、牛丼の「すき家」の母体であるゼンショー
の小川社長が「アメリカも全頭検査をするべきだ」と発言していることです。ゼンシ
ョーは「なか卯」を買収して意気軒昂ですが、アメリカ産牛肉に拘り続ける「吉野家」
を意識してのことなのでしょうか。そういえば、前号(16号)では、吉野家が展開
する署名運動の「賛同者のなかに、松屋フーズの名はあるが、すき家(ゼンショー)
の名はない」と書いていました。
 BSE関係で書かなければならないことが溜まりに溜まってしまいました。少し間
隔を詰めて、連続的にお伝えしたいと考えています(信じてもらえないかなあ)。
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■内田誠の書籍のご案内
 『狂牛病は終わらない』(旬報社) 2003/10/1刊

 ※インターネットでのご注文は以下のサイトを参考に。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4845108240/qid=1064666982/sr=1-3/ref=sr_1_2_3/250-8224513-9655464

http://www.jbook.co.jp/product.asp?product=2316778

http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3f4abf61367c50104747?aid=&bibid=02366824&volno=0000

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発行者:内田 誠 ((有)内田誠事務所)
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