たかしゃんと潜る世界のリゾート/PART 15

コモドうでしょう?

〜〜「サザン・スタ−クルーズ」にて世界遺産コモド諸島を潜る〜〜


PROLOGUE

 06.4月‥‥今年もMDフェアを機に集合した「とりあたま」な面々は、ダイビング仲間や世話になったガイドさんなどと再会し旧交を暖めつつも、今年の夏休み企画のリサーチにも余念がない。

 会場にて恒例の「オリオンビール生」をあおりつつ幹部会議?が催された。

た「んで、ど〜しょぉ?」
ま「隊長。これなんかいかがでしょう。あたしは、かなり惹かれてんねんけど。」
と、大阪支部長三十路飲んだくれ娘として有名なまほちんがパンフを持って来たのがコレ。『世界自然遺産/コモド諸島へ!サザンスタークルーズ就航』

た「ほうほう、どれどれ。なになに。」

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・インドネシア熱帯雨林気候の中でも季節風のため唯一サバンナ気候で、乾季(7〜9月)はほとんど雨が降らないベストシーズン。
・南は深いインド洋、北は浅いフローレス海に囲まれた複雑な地形により強い潮流がもたらす豊かな海。魚種・魚影ともハンパじゃない。
・海中生態系、環境は他に類を見ない、手付かずの状態。それはもう「東洋のガラパゴス」(たかしゃん命名)
・コモド・リンチャ島では、恐竜の生き残りとも言われる、世界最大のトカゲ「コモドオオトカゲ(コモドドラゴン)」が野生で生息しており、観察できる。
・世界的に珍しい、クダサンゴが砕けてできたピンク色のビーチ『PINK BEACH』に上陸。
・無人島BBQに、トレッキングと陸もこれまた楽し‥。

‥‥‥今年から、日本人ガイド乗船のサザンスタークルーズが就航します。私達と自然秘境へクルーズにでかけてみませんか。

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た『‥‥みますっ!行きまつっ!』

隊長他3名ほど即決であった。

 残念ながら、まほちん&りえぞうとは休暇が合わず、ワンクルーズずれて(女性陣が先発)乗船することになった。みきてぃは日程調整がつかず断念。結局、隊長は得意の?いつもの?『独り旅』となる。
 んで、『独り旅』=『男舟』が、慣習的にいつものパターンなんだが果たして???

た「キミタチさあ、あんまり飲み過ぎて羽目はずして顰蹙かって、後から行く人(オレ)の肩身が狭くなるようなことはだなあ‥‥」
ま「あなたに言われたくないわ。」
り「そうそう。たかしゃんが後発でよかったよ。」
た「あのさぁ。ちょっとお酒残しといてくれるんでしょ。うふっ。」

ま&り「残るかなぁ?」

 コモド海域。それはコモド島、リンチャ島、フローレス島、バンタ島など大小の島々が散在し、フローレス海とインド洋に面した、いわばデッカイ瀬戸内海みたいな海域。そりゃあ流れたら「鳴門の渦潮」の比じゃない(らしい)。
 僕は、惚れた女性タレントをネットでリサーチするがごとく、舐め回すように情報収集を開始する。あいかわらずA型乙女座ウサギ歳的入念なリサーチと周到なプランニングは、しつこいくらいで、ぬかりはない。

 時には10ノットを超える強烈なカレント。赤道直下のダイレクトな紫外線。水牛をも倒すと言われる肉食コモドドラゴン・体長3M。
 やや危険な薫りも伴う、このワイルドでアドヴェンチャラスなクルーズ。

 果たして、コモドの海は、僕を優しく抱いてくれるだろうか。

 果たして、その豊かな生命の息吹で、夢のような生態系に僕をいざなってくれるだろうか。



day1: 2/SEP.06. DEP.BEER、いざデンパサール(バリ島)へ。ナイト・マーケットにて‥‥

 それにしても怒濤のラストスパートだった。仕事にプライヴェートに、旅立つ前の慌ただしさと言ったらなかった。主に残務処理とパッキングに半パニックになりながらも、なんとか旅立てる態勢が整ったのは、当日の午前3:00A.M.だった。これで寝坊したら、どこかのりえぞうさんと同じだ。周到に目覚まし時計を2個スタンバッって備えた。

 既述のように、とりあたまメンバー・まほちん&りえぞうは、先発隊として一週間早く、同クルーズに乗船してきており、うまくすれば成田発着のりえぞうと、すれ違いざまに情報交換できることになっていた。
 慌ただしくチェックインをすませ、いつものところに集合。そうです。出発階からエスカレータで上がったところにあるファーストフード・コート『LA.FIESTA』。(「とりあたまDIVERS」DEPARTURE BEER提携店)
 りえぞうとめでたく無事、会う事ができた。
 曰く、
り「行けばわかる。とにかく凄いから、あんまり細かいことは言わないよ。楽しみな方がいいでしょ。」
とのこと。でも最低限の、いくつか大切なインフォメーションをいただく。

・南に降りるにつれ水が冷たい(っても24度)ポイントもある。
・トレッキングなど陸も結構アクティヴに遊ぶのでスニーカー必須。
・船内のアルコールはビンタン・缶ビール:$2とやや高!
・雑誌「マリンダイビング」の取材が乗って来るらしい。
そ・し・て、
・ゲストはMDプレス陣を含めて4名。全員男性!!!

た「4名!!!で男舟ぇぇぇ!!!」(前半:嬉しいおたけび/後半:悲哀の叫び『やっぱり』)

 ゲスト・キャパ18名の豪華クルーズを4名で独占とは、なんとも贅沢な話である。ガイドも日本人3名(これはMD取材のおかげもあるが)にローカル2名、即ちゲスト4名にガイドが5人てことになる。……ねっ、嬉しいでしょ。
 ただし、その4名のゲストは全員「男衆」だっつってんだから‥‥ねっ、哀しいでしょ。くぅぅ。

 さて、軽くdeparture draft beerにて(りえぞうさんはarrival beerだね)、先発隊の無事を祝し、後発隊の生還を祈願し乾杯。
た「おかえり〜!行ってきま〜っっす!」
り「ただいま〜!行ってらっしゃ〜い!」
 毎度ながら、旅立ち前のこのひとときが僕はたまらなく好きだ。期待と不安が入り交じった、微妙な緊張感。ワクワク・ドキドキ。例えるなら、恋愛感情(初デート直前)にも極めて似た、心拍数と脳内分泌物?だったりするんじゃなかろうか。

 11:00a.m.ほぼ定刻通り。GA(ガルーダ・インドネシア航空)881便は機首をバリ/デンパサール国際空港にむけて離陸した。到着は17:30p.m.。時差1時間なので、7.5時間のフライトである。早々にビンタンビール2缶いただいたところ、落ちるように深く眠ってしまった。寝ぼけた頭で、多少なりとも残務処理(仕事)、飼い猫の世話、忘れ物はなかったか?などと後方(日本)に思いをめぐらす。慌てて準備して、パニックになりながら出て来たわりには完璧だ。ふむ。集中力の賜物ですわね。

 定刻通り、デンパサールに到着した。VISA代10$支払って、難無くイミグレーション突破。物価は安いと聞いているので、壱万円のみ換金。100ルピア=1円なので、いきいなり100萬ルピアを手にして財布がパンパンだ。リッチな気持ちになった。

 サザン・スター送迎ワゴンが待つ到着ロビーに降り立ったのは、ゲストの中で一番のりであった。乾季と言うだけあって、思いのほか涼しい。arrival cigarに火を付け、他のゲストの皆さんをお待ち申し上げる。と、まず現れしは、デカい(縦にも横にも)巨漢?おやぢ。身長180cm/100kg超!。年齢はわたくしと同じくらいだろうか。実は、このGTさん。K県警本庁勤務の警察官。正義と優しさが売りの、ナイスおやぢであった。で、キャリーバッグに貼られたステッカーをチラ見して、いきなり強く反応してしまうワタクシ。
た「ぬぬ?おぬし、どこの藩士じゃ?どこのエリート(馬鹿)じゃ?」
なんと、そこには、

『おいっ!パイ食わねぇかぁ。』

 知る人ぞ知る。「水曜どうでしょう」の名場面・名文句ステッカーである。すかさずわたくし、突っ込む。
た「素敵なステッカーですね。『奥さ〜ん。知ってるでしょ〜。大泉洋でございます。』」
G「ああっ、御存知ですかぁ。嬉しいなあ。わたしコレ、大好きでして、もうはまってはまって‥‥よろしくお願いします。GTと申します。」(あんた、ただものじゃないな。やるな。どの程度やるんだ?と言うお互いライバル意識の視線で)
 いきなり打ち解けた。これから、一週間、少なくともこのおやぢとは話しのネタが尽きる事はない。同士だ。そしてライバルだ。(実際、いろいろとからみました。それはもう、大泉vs鈴井?大泉vs藤村D?のように)

 ほどなく、マリンダイビング誌取材陣が登場。編集のSYさんと、カメラマンのOGさん。OGさんは、現在は水中造形センターから独立しておられるが、館石昭の愛弟子と言う?有名なかた。ポッチャリ体型にヒゲ‥‥で、まさに藤村Dではないが、カメラマンやTV業界にありがちな風貌である。二人でbaggage総重量70kg超えると言うから、さすがプロ仕様ですね。
 御挨拶もそこそこに、ピックアップ・ワゴンに乗り込み、本日の「キャンプ地」/バリ島/クタRISTA HOTELに向かった。
 前泊ホテルとしては申し分ない。部屋はキングサイズダブルベッドのシングル仕様だし、きれいだし、水上BAR付きプールあり、スパあり。(ただしプール遊びするには日も落ちて、ちょと寒い)さりとて、余裕かまして遊んでいる暇はない。何をおいても、まずはDINNER&夜遊びに街に繰り出さねばならんのだ。ハイ・テンションおやぢ達っ!

 今回は、MD取材のおかげもあってか、このツアーをメインに仕切っておられるディレクターの唐沢さんも、一緒にクルーズに乗り込んでガイドしていただけるとのこと。ラッキーである。この日も、唐沢さんに引率していただき、荷物を部屋に置いて着替えたら即、集合。おすすめインドネシアン・シーフード・レストラン「DEWI SRI」に向かった。
 ま、いわゆるインドネシア「いけす料理」ですわね。水槽内の生きた魚介類をその場で注文して好みの調理法でいただけるスタイルだ。ビンタン・ビールで乾杯。エビ・カニ・イカ・空心菜・ニジハタ(甘酢)・ナシゴレンなどシェアしていただき、満腹!(一人あたま¥2000くらい)カニはちょと辛かったけど、大旨、満足な味と量でしたよ。
 ところが、多々ラッキーも重なって、順調な旅の滑り出しかと思いきや、そろそろお開きのタイミングで、唐沢さんが重い口を開いた。
唐「実はですねえ。たいへん申し訳ないんですが、悲しいお知らせが一つありまして‥‥。」
酔っぱらってバカ笑いしていた一同、一瞬にして静まりかえり凍る。
た「いや。女性ゲストがいないのはもうわかってますけど。」
唐「違うんですよ。それがねえ。クルーズに乗る契約シェフがやめちゃったんですよぉ。しかも昨日。今月分の給料払ったら、逃げちゃったみたいでね。つかまんないんですよ。まあ、こっちじゃよくある話で。たはは。」
た「たははって、そんなぁ。で?どうするんですか。自分で魚釣って食えとか言うんじゃ?」
唐「それもありですけどねえ。えへへ。あらっ、皆さん急にそんな冷めた目で見ないで。あのですねえ。…………(五秒の間)‥‥今から探して来ます。大丈夫です。なんとかします。あっ、でも、そうだなあ、なんともならなかったらですねぇ、そうですね。

 ボクが作りますっ!。魚三枚におろすくらいできますっ!

 一同ウケた。ふむ。飄々としていながら腹くくった仕事っぷりの人(唐沢さん)わたくしは好きだ。変に隠しだてしたり、取り繕ったりせず、真っ向勝負なところも気に入った。お〜し唐沢さん。おいらも腹くくったぜ。多少こっちだって料理には心得がある。いざとなったら、マジで厨房に立ちましょう。「シェフ大泉たかしゃん」たあ茨城界隈じゃ知る人ぞ知る?のか?
 サバイバル・キャンプみたく、釣った魚をさばいて食いましょう。
 なんならドラゴンも食っちゃいましょう。
 いやあ面白くなってきた。

 MD取材班はカメラ等器材の準備・メンテもあるとのことで、コンビニに寄ってホテルに帰るとおっしゃる。そりゃあヤツら仕事ですからね。そして、藩士GTさんも、明日に備えて早めに帰るとのこと。唐沢さんは、「お噂は伝え聞いております。(どんな噂、流したんじゃ?まほちん&りえぞう?)本来ならとことんおつき合いするところですが、なにぶん今からシェフを探しに行きますので今日のところは‥‥。」と、おっしゃる。そりゃそうだ。そっちの方が数倍大切だもんな。
 てなわけで、またまた一人ぽつねんと孤独になったわたくしは、ドライバーをかして下さると言うので、もちろんクタ市街探検に繰り出す事にした。だって、まだ20:30p.m.ですぜ。
 まずはビーチ方面に。お土産やさんのリサーチがてら、ひやかし散策する。が、実は真の目的は、安くて健全な「洋楽カラオケ店」を探す事!である。ん〜、一人で唄うのかぁ?
 ああ。 歌っていくよぉ。歌わいでか。
 と、ざっと見てまわったが、やはりフィリピンやタイと同じで、「カラオケ屋=お姉さんが一緒についてくれるスタイルの、いわゆるキャバ・カラオケ」と言う文化が主流だ。そこいらのお兄さんに訪ねてみても、みんな、ニヤニヤしながら、
「OK! カラオケか。いい店知ってるぜ。女の子もたくさんいる。」
とマニュアルでもあるのか?っつうくらい同じリアクションが帰って来る。
 だ〜か〜ら〜。お姉ちゃんは決して嫌いじゃないが、今、求めてるのは、「カラオケのみで現地の人に混じって大きな声で歌えるところ」なんだけどね。

 早々にカラオケは諦め(まあ一人で歌うってのもねぇ)、いよいよ目的地、『ナイトマーケット』に車で移動する。いわゆる屋台村ですね。ココは十数年前にバリに初めて来た時にも夕食に訪れており、その時食べた、海老塩ラーメンみたいのが、すんごく美味かった記憶があったからだ。そして、現地の人が集まるところなので激安!だったはず。
 太っ腹たかしゃんは、ドライバーも誘って、
「おごるから、ちょっと飲もうよ。」
と、丁重に遠慮するミンさんを口説き落とし、露店のナイトマーケットを闊歩するに至った。比較的賑わってる店に陣取り、オーダーする。
 ビンタンビールX2、アラック(40%alc.のローカル蒸留酒。米とココナッツ原料のがある。レモンがついてきて、テキーラっぽくクイッと飲みます。スリランカにもあったな。)、マンゴー(これはイマイチだった。フィリピンマンゴーが一番ですわね。)、海老塩ラーメン(名前忘れた。ウマかったけど、昔ほど海老の味がしなかったな。)サテ数本。とまあ、元気に二人で飲んで食って、さあおいくら???

た『39000ルピアだって。へえ、結構高かったなあ。‥‥‥‥へえ?ちゃうやん。ゼロ二個とったら、390円ってか?ははは。安っすうぅぅぅぅ!。ベイベ〜。今日はオレのおごりだって言っただろ、ミンちゃん!

 気分よく撤収である。
 喧噪のクタ市街を抜け、ホテルに送っていただく車中で上機嫌な僕は、酔っぱらった頭で明日からのクルーズに思いをはせた。

た「天候と海況に恵まれるといいなあ。出物もガンガン来てほしいな。しっかしシェフ不在は、ちょと痛いよなあ。」
 ちょうど信号待ちで、どこぞのショッピングセンターの前に止まると、巨大なガルーダ神像が正面に見えた。

 祈る。

た「どうか敏腕シェフが見つかりますように。」

 すると、自問自答なんだが、ガルーダの巨像を見ていたので、神の声がしたごとく、

神「シェフと海とどっちが優先なんだい?」

た「そりゃあ、もちろん両方‥‥」
と言いかけたところで、僕は頭を振って訂正した。
た「いえいえ、シェフなんて大したことじゃございません。何よりも旅の安全を‥‥‥。身体もさることながら、特に
荷物の安全をお願いいたします。」
 3年前、パプアニューギニアにてロスト・バゲージを食らった事件が未だに旅のトラウマになっているわたくし。旅の基本コンセプトは『謙虚』の2文字である。

 信号が変わり、車が動き始めた。
 ガルーダの顔が少し微笑んで見えたのは気のせいだろうか。


day2: 3/SEP.06. 4●歳!birthdayを祝っていただき涙腺ゆるむおやぢ、ウォーミング・アップダイブ2本、シェフの件‥

 懸案のシェフ不在の件はあっけなく解決をみた。

 早朝7:45a.m.ピックアップ。眠剤を服用して寝たので爆睡!&爽快な寝覚めであった。ホテル・ロビーに集合すると、いきなり唐沢さん、満面の笑顔で、

唐「おっはよぉございま〜す。」
このテンションと笑顔で、ほぼ状況が把握できた。昨夜は見なかった顔(ローカル・スタッフ)が一名増えている。聞くまでもなかったが、一応、念のために、
た「シェフの件は???」
唐沢さん。大きくOKサイン!!
 一同、ホッと胸をなでおろす。
 なんでもバリで十年以上も日本料理店で働く敏腕シェフをつかまえたとのこと。このたび、スペインにある日本料理屋からオファーがあって、移籍するんだそうだが、
「スペインに行くまではど〜せ暇なので、おもしろそうだから船に乗ってもいいよ。」
なんだと。嬉しいじゃないですか。しかも日本食!ラッキーだ。お名前は、サルジョノさん(サルちゃん)。神田川俊郎をインドネシア人にした感じの、柔和で温厚そうな笑顔が印象的だ。
一同「よろしくお願いします。」
深々と頭を下げ、両手で彼の右手を強く握り御挨拶をすませた。

 さて、クルーズ船が出港するラブハンバジョー(フローレス島)までは国内線プロペラ機で約1.5時間のフライト。意外にも国内線の方がbaggage excessにうるさいらしい。チェック・イン時には体重計に乗客までのせられ、荷物と合算してexcessをとる。こちとら、MD取材班のプロ仕様器材(二人で70kg超)、GTさんは「本体?」のみで100kg超!わたくしもビデオ器材などで、30kg近いので、どうなることかと思っていたら、さすが唐沢さんが流暢なインドネシア語で交渉してくれ、おそらく、

唐「この人たち日本の有名な雑誌の取材なんだよ。だから悪く書かれちゃったらまずいだろ。日本人観光客がいっぱい来て、金、落としてくれた方がいいだろ。みんなプロ仕様の凄いカメラ持ってるからしょうがないんだよ。なあ。今度、一杯おごるからさあ。」
みたいなノリでフリーパス。交渉成立後はチェックインカウンターのお兄さんと肩をたたきあってニヤニヤ、明らかに怪しい笑いかたをしていたので、おそらくその会話は、
唐「クタでいい店、見つけたんだぜ。今度連れてくよ。そりゃあもう、ボンッ・キュッ・ボンの素敵なおねえちゃんがいっぱいさ。キミ好みだと思うぜ。その後はキミの口説きかた次第だけどな。このこのぉ。」
と言う内容だったものと思われます。
 我々はと言えば、ひたすら
「テレマカシー(ありがとう)」
を連発するのみでした。

 ランディングが乱暴でヒヤリとしたが、まあ1.5時間の楽勝フライトで、フローレス島/ラブハンバジョーに到着した。ラブハンバジョー=単純に直訳すると「漁港村(町?)」つう意味なんだそうでつ。そのまんま。でも、空港のゲートには何故か「KOMODO」と書いてある。ま、コモド諸島っつうことで許すが、まだコモド島ではないのだよ。
 ゲートを出ると、女性ガイド(日本人)2名がお出迎えしてくれた。
 かなちゃん&ちよちゃん。なんとまあ不思議なことに二名とも、元医療従事者。かなちゃんは、元手術室のナース。しかも某都内有名病院で働いていて、実家はウチ(守谷市)にほど近い流山市なんだと。こりゃまた業界ネタに地元ローカルネタにと話しが尽きないわね。一方、ちよちゃんは薬剤師。しかも、ついこの間まで現役バリバリの病院調剤をやっていたんだと。女性ダイビング・ガイドにありがちなチャキチャキタイプではなく、おっとり、清楚な感じが好印象だ。
 シェフ・ゲット。ガイド・2名=女性。
 いい風が吹いてきてる。

 ひなびたラブハンバジョーの市街をあっと言う間にぬけ、数分の移動で港に到着した。「サザンスター号」予想よりデカい。パラオ・スポートクラスだろうか。
 大旨、他のダイブ・クルーズ船に同じく、1Fがダイブデッキ+シャワー&トイレと客室。2Fがダイニング&リビング。3Fにサンデッキ(ジャクジーあり)と操舵室‥‥と言う構造になっている。さっさと乗り込み、オリエンテーション&部屋割りだ。なんたってゲストは4名のみ。ラッキーにも、ダブル(おそらくカップル用スイートの設定?)の部屋をシングルユースで使わせていただく。広くてきれい。申し分ない。強いて言うなら、部屋シャワー&トイレがないことくらいだが、大した問題ではない。だって4人しか使う人いないんだから。ま、これが満室だったりすると、シャワーの順番待ちなんかで多少、不満も出るかもしれないね。

 オリエンテーション中、女性ガイド陣から、ラブレターのごとく秘めやかにそっとメモのようなものを手渡された。
か&ち「これをお預かりしていました。」
 そう。先発・偵察隊、まほちん&りえぞう隊員からの緊急指令!

『MISSION IMPOSSIBLE』

1.コモドドラゴンの歩いてるとこ、走ってるとこ、食べてるとこをビデオにおさえよ。泳いでたら言う事なし!
2.ピンク・ビーチ感動する。波打ち際のいい画を撮るべし。
3.コモドドラゴンの木彫りでダイバーの格好してるヤツ「ダイバー・ドラゴン」をゲットせよ。
4.むれむれロウニンアジ、群れ群れウメイロをしっかり撮るように。
5.マンタのぐるぐると、ブラックマンタもしっかりおさえて。
6.ハナゴイ&スズメダイ系ぐっちゃりも撮ってね。色をうまく出して。
7.女性スタッフは二人とも医療従事者だったらしい。トークに花を咲かせよ。

「注意事項」
1.コモドの海をなめるべからず。たかしゃんの場合、特にロスト注意!
2.結構アゲインストでも、平気で行くので頑張って。
3.タンクによって重さが違う事あり。ウエイト調整気をつけて。
4.ジャグジーはやや冷たい。
5.ガヤ・ファイヤーコーラルなど、あるところにはいっぱいある。気を付けて。
6.スタッフのギター伴奏で歌えるみたい。(主にSASと槙原?)

 ほうほう。なかなかシビアなこと言ってくれるが、楽しみになってきたぞ。情報ありがとう。頑張ってみるよ。

 船は既にフローレス島(ラブハンバジョー)を離れ、針路は西、リンチャ島の北側に位置する、離島群に向かっている。快晴、ベタ凪。ブランチの自家製おにぎり(女性スタッフの皆さんがにぎってくれた)をほおばり、デッキで海風に吹かれる。
た「待ってろドラゴン!待ってろGT!マンタ君たちもだ。いい画、撮っちゃうからな!」
臨戦・対決・戦闘モードにスイッチが入り、そそくさとダイブの準備、ビデオカメラのセッティングを終えた。

 1本目は、一応チェック・ダイブ的に、軽めのポイント『SEBAYUR KECIL』。リンチャ島の北沖に位置する無人島だ。
 いつもはどうか知らないが、なんたって今回、ゲストがたったの4人(ガイド5人)。タンクの取り替えも全部オートマティックだし、テンダーボートに乗り込んでポイントに到着すればタンクしょわせていただいてエントリー。まさしく文字どおりの「殿ダイ」(殿様ダイビング)!楽ちんです!
 ワンゲスト/ワンガイドでもいいのだが、一応形式的に、ゲスト同士でバディを作る。もちろんMD取材陣お二人と、我々「水どうヲタ班」たかしゃん&GTさんとした。
 このたび、3mmウエット(+寒ければラッシュ)の装備で、先発隊から「寒いかも」と言われてビビっていたが、とりあえずココは水温26.5度。全く問題ない。
 コーラルのだんだらスロープの先が20mくらいから砂地になっていて、時に流れると言う、なかなか贅沢なポイントだった。透明度は15m。もうちょい抜けてほしいところだね。で、全く流れず。
 驚いたのは、ゴールド・スペック・ジョーフィッシュ(眉毛部分が金色?黄色?)がワサワサいる。ブリーフィングの時、聞いたところによると、
ち「大丈夫です。自分でいくらでも見つけられますから。」
と………本当だった。
 くるりん!と一周して周囲の警戒を怠らないその姿は「けなげ」でかわいらしい。
 ハダカハオコゼ(white)も発見(photo)。いつもキミは瞳がきれいだねえ。で、この時、コイツが大あくび(口の大きい魚/ナポレオンとか、顎がはずれるみたいにビヨ〜ンと大口開ける時あるでしょ?)するところを激撮。そりゃあ、そんなとこにず〜っとチンマリ鎮座してたらアクビも出るはなあ。明らかに運動不足。メタボリック・シンドローム認定魚種といたしました。
 ブルースポッテッド・スティングレイが砂地に「伏せ」てる。あのねえ、その名の通り、ブルーのきれいな斑点が見え見えで、全然「伏せ」になってないよ。こっちがその気になれば、上から絨毯爆撃でoutだよ。
 タイマイ(photo)がボロボリとガレキ珊瑚をかじっている。撮影のため近付くと、さすがに食事は中止するが、逃げるでもなく円らな瞳でこちらを凝視してる様子。
タイマイ「いやん。食事中なのよ。撮影禁止よ。ジロジロ見ないでよぉ。」
コイツ、♀だな。間違い無い。
 ちょうど砂地とコーラルの切れ目を流していると、スパインチーク・アネモネを発見。その特徴である「スパイン(棘)」を撮ろうとにじり寄る。ま、チェックダイブ・ポイントだけあって、ほとんど流れていないので、多少の単独行動は許されるだろう。うっしっし。いい画が撮れたよ〜ん!と、かなり先に行かれてしまった皆さんに追い付いてビックリ・ドッキリ。あらっ。GTさんいねえじゃん。え〜っと皆さんいるのに、やべっ!GTさんだけいらっしゃらないっ!!!

た「おいおいお〜い。またやっても〜たかぁ。いきなり一発目ロスト・バディ?!」
あわてて、ガイドのルディににじりより事の次第を伝えると、なんのこたない、「エアが少なくなったので、先に上がらせた……?」とのことだった。「わひも、上がった方がいいのか?」と聞くと、「いやいや、もちょっと行こうぜ。」と。ホっと胸をなでおろしたのだった。
(maximum depth 22.3m/dive time 60min./visibility 15m/W.temp. 26.5℃)

 と言うわけで、上がってみると残圧は50を切っていた。dive time 60min.。MD撮影班に一緒について行くと、基本的に深いしねばるし、移動距離も長いし……チェック・ダイブでいきなりコレは結構きついかもしれない。エグジットするとGTさん。
GT「いやあ、すいません。エアがもちそうになかったんで先、上がらせてもらいましたぁ。一言、言おうと思ったんだけど、たかしゃんかなり遠かったもんで。」
なんたって、GTさん。182cm,100kgの巨漢である。こればっかりは安全第一。お互いに、エアやdeco. の具合によって、先に上がっていいことにルール改正した。(ほんとはいけません。)

 ガイド陣を御紹介しておきましょう。メインでコース取りを仕切る、ルディ(隊長)、笑顔がかわいいイケメン・ロ−カルスタッフだ。
 更に、後方&マクロ担当(結局GTさん担当・専属になる)のハリー。元々、バリ島ミンピ・リゾートでガイドしてただけあって、日本語も、ちょとできる素朴で素敵なおぢさん。いつも裸足、いつも笑顔。彼のプライベート(泣けるっ)悲話は、おいおい紹介しましょう。
 日本人ガイドは既述の女性2名+唐沢さん。
た「じゃあねえ、じゃあねえ、ぼくの専属ガイドはねえ。ええっと、ええっと、キミだ。」
と指名させていただいたのは、おおかた予想はついてるとは思いますが、おっとりタイプで上品なキュートとでも言うべき、元薬剤師、ちよちゃんでございます。

   2本目はサンセット・ダイブ。更に西へ進んだところにある、TATAWA島/『TATAWA BESAR』にエントリー。
 17:17P.M.エントリーはやや暗いが、透明度、多少上がって20M。ポイント的には1本目と似ていて、コーラル&下は砂地のだんだらスロープポイントだ。
 何が嬉しいって、ここいらの海、とにかくヤッコ系が多種多様である。普通に流していても、ロクセンヤッコ、タテキン、アデヤッコ(photo左)、イナズマヤッコ(photo右)、ソメワケヤッコ、サザナミヤッコ……などなど、大型の美しいヤッコがこれでもかっつうほど見られる。ヤッコ・フェチたかしゃん。最初は興奮して狂ったように、ヤッコ対決に挑んでいたが、イナズマ(結構レアもの)が、ごく普通にワサワサいるので、ちょっと気合いをそがれた。アデヤッコとイナズマヤッコが同時に見られる海を、僕は他に知らない。豊かです。
 タテジマキンチャクダイも、よ〜く観察すると、背ビレがピンと立った太平洋型と、背ビレが丸いインド洋型がいるんだね。(一本で両方見られたりします)南北にフローレス海とインド洋の異なった環境が融合し……とは聞いていたけど、なるほど!東西には、実はインド洋と太平洋(ミクロネシア)とのトランジション・ポイントでもあるんだね、このあたりは。納得。当たり前だけど言っておこう。
た「ほんとだっ!海はつながってる!」

 夕食どきだったんでしょうか、クマザサ、タカサゴ系の魚達が、徒党を組んで上下左右斜めに泳ぎ去って行く。つくばエクスプレスくらいのスピードで。あの早さでで皆が同時に方向転換できるのは、どんなメカニズムなんでしょうね?
 この手の群れものを観察していると、ついつい手許のカンカン棒(指し棒)を持って、交響楽を奏でるがごとくコンダクターになって指揮をとりたくなるのはボクだけでしょうか。気持ちいい。
 エグジット真際には、ウミウシ君が二匹かさなって交尾の最中だった。近くにいたGTさんに教えてあげると、盗撮マニアのごとくにじりより、デジカメを構えた。レギュごしながら明らかに、
G「ふぉぉ!●ってる●ってるっ!」
●ってるって、キミさあ、んじゃあ撮ってるキミは盗撮にあたいしないかぁ?K県警にチクるぞ。
(maximum depth 19.7m/dive time 52min./visibility 20m/W.temp. 26.6℃)

 あがって、一目散にシャワーをあび、何を置いても一番ノリ・ビールをしゅぽっ!既に夕陽は沈んじゃってたが、ま、なにはとにあれ天候にも恵まれ、豊かなコモドの海の片鱗を感じることができ、無事に潜れたことに乾杯だ。GTさんなどは勤務異動の関係で、直前まで休みが確定できずヒヤヒヤもののDEP.だったとのこと。喜びもひとしおだったみたい。

 さて、夕食の準備ができたと聞いてダイニングに降りてビックリ。噂には聞いていたが、敏腕・日本料理シェフ、サルちゃん。やるじゃねえの?!ハタ系の白身魚お造りに天婦羅など、まさかダイブ・クルーズで食えるとは思ってない、パーフェクトな和食メニューであった。
 そして、んまい。欠食児童よろしく数十分でペロリとたいらげちゃった。

 ほどなく、唐沢さんのプレザンテーションにて、「たかしゃんお誕生日会」が催されることになった。こういうことは、大きな声でプレ宣しておくに限りますね。ZZCのは承知で、昨夜のディナーの時くらいから、
た「ど〜でもいいけど、ボク明日、たまたま誕生日なんですよぉ。」

 今日は今日で、乗船名簿+承諾書に記載しながら、またまた大きな声で、もう一度、ダメ押し!
た「いっけねえ!オレ、今日、誕生日だったんだあ。忘れるとこだったぁ!!!」(なにがいけねえんだ?)
 作戦が効を奏し、サザンスタークルーズ・唐沢隊長より、シャンパン一本いただき、皆さんで乾杯。4●回目の誕生日を10名ほどで祝っていただく。独りじゃないぞ。
 そして更にサプライズ・プレゼントが‥‥‥。
 前クルーズ・ゲストからメッセージとプレゼントを預かっているとのこと。女性スタッフより手渡された包みを開けると、それはシルヴァーのペンダント・プレートだった。裏には『HAPPY BIRTHDAY たかしゃん/2006.9.3.SOUTHERN STAR CRUISE 』の刻印。そして表は、なんとわたくしがGOLD・フレディ・マーキュリー像の前で拳を突き出して写っている、例の(知ってる人は知ってますよね)写真が見事に刻印されていると言うオリジナルもの。
た「わあああ!す・すばらしい。」
サプライズだっただけに、眼が塩水でうるむ。
ち「あらぁ、素敵ですね。何の画像なんですか?」
た「これは‥これはね。」
ちょと声がふるえてしまうのもかっこ悪いので、手短に、
た「内緒っ!」

 もちろん、わが隊員まほちん&りえぞうからのメッセ&プレゼントである。あいつら、気がきくじゃねえか。普段はただの三十路飲んだくれ大食い娘なんだが、こ〜ゆ〜とこ、ほんっといい女だよなあ。
 やつら、自分達の分は、一人アタマ3L(二人で6L相当)のアルコール類を持ち込み、統べて完飲して行きやがり、当方には一滴も残していかなかったと伝説になっていたが、まあそんなことは許そう。
 わたくしはと言えば、人の誕生日すら覚えられない上に、こういう気のきいたことを考える思考回路がほとんど働かない。相手のツボを心得て、さりげなくプレゼントしたり言葉をかけたりできる気配り・優しさって素晴らしい。自分にはできないことだけに羨ましいとさえ思う。やるな、まほちん&りえぞう!

 感謝・感激でしたよ、まじで。ありがとう。

 嬉しくてバースデイ・ナイトは更にピッチが上がってしまった。早々にシャンペンを飲み干すと、いきなり「お〜いお茶」のペットボトルに入れて持ち込んだ、自前の麦焼酎「琥珀の夢」が初日から出動だ。ぐびぐびっ!

 ボートスタッフが後方デッキで夜釣りを楽しんでいたので、参加する。いやぁこれがまた釣れるわ釣れるわ大漁だ。フエダイにカサゴ系の魚、ホソフエダイもいる。しまいにゃあ、アオリイカも上がった。こいつは「刺身でしょ〜」と、ちよちゃんがさすがに三十路女(あっ、書いちゃった)の手際のよさでいとも簡単にさばいてくれた。んまいっ!&甘いっ!しこしこの食感がたまりません。イカをつまみに、またまた酒が進んでしまうではありませんかぁ。

 僕は、プレゼントのプレートを握りしめ、ちょっと一服にと席をはずした。
 それにしても、一本とらてた。グイッとハートをつかまれたよ。動揺?にも近い自分の感情の抑揚に僕は照れ隠しに独り言を声に出してつぶやく。クレッシェンドでだ。

た「やられたな。ふむ。がらにもなくはしゃいじゃったかな。でも、やつら一緒じゃなくてよかったよ。一緒だったら、今頃口説いて、キスして押し倒して‥‥:(失礼しました。)

 ひょっとしたらオレのこと愛してんのかな?
 オレも愛してるぜ!べいべ〜!」

静寂の凪いだ海に、酔っぱらいハイトーン・ボイスがこだました。



day3: 4/SEP.06. ハンマー!アケボノ!けなげな父達?魅惑のBANTA島海域

 本日も快晴。風なし。ベタ凪ぎ。絶好のジェットスキー日和である。(違うっ!?)
 8:00a.m.早朝ブリーフィングだと言うので、早起きしてトップデッキでくつろいでいると、沖合いにイルカの群れが出現。ビュンビュン飛んでる。ん〜。豊かなコモドの海。「何か来る」予感がビンビン伝わって来た。
 サバンナ気候と言うだけあって、熱帯特有の「じとぉぉっ!」とした暑さは全くない。昨夜も心地よく爆睡できた。東南アジアの瀬戸内と呼ばれる(ほんとか?)この海域、大小様々な形をした島々が散在するが、いずれもこの時期(乾季)ハゲ山に近い、赤褐色の地肌をさらけ出し、一部緑が残っている程度。なるほどサバンナだ。一昨年、訪れたラパスの風景にも若干似ていると言えなくもない。アシカはいないけど。

 一本目は、コモド島の北西20kmくらいにあるバンタ島・北のポイント。『GPS point』にエントリーする。その名の通り、海面下に根がある、いわゆる「暗岩」「洗岩」地帯で、航行にはGPSを凝視して通らなければならない危険海域である。確かにテンダーボートが近付くと、明らかに隠れ根がありそうに複雑な波頭が海面に立っており、かつ相当流れている。
OG「こ・これはぁ!流れてますねえ。」
GT「期待しちゃいますねえ。」
た「それっ・魅力っ!」

 かなりハードなポイントと見た。テンション上がりぃの、アドレナリン噴出しぃの、緊張の面持ちで全員同時にバックロールEn.
 透明度20m.昨日よりもUP。そして流れている。アゲインストで多少移動し、隠れ根の先端を目指す。しかし、この先端部、少しづつ斜面になって下っており、棚待ちでベス・ポジを確保した時点で32mだった。キ・キツい。
 なんて言ってる暇なく、下方からブラック・フィン・バラクーダのトルネードが沸き上がってきた。すんごい。グルグル廻ってるよぉ。カメラマンOGさん、バラクーダ群の外側を廻り込むように、さらに落ちる。(おそらく40m?)
た「あそこまで行って、下からあおったらいい画が撮れるだろうな。」
とは思ったが、ここは「待ち」である。案の定、OGさんが下から煽ってくれたおかげでバラクーダトルネードの方が、浮上してきてくれたんだ。
た「ひゅ〜ひゅ〜。ちょと暗いけど、いい画だっ!」
すると、斜め後方から、通常の1.5倍くらいの巨大なサメがバラクーダの方に向かって行く。
た「きゃあ、さすがコモドのグレーリーフ・シャークはデカいなあ。バラクーダ食っちゃうのかなあ。頭もデカいし……頭がデカ………って、おいっ!
ハンマーじゃん。
ボケボケたかしゃん。ハンマーと認識するのに4秒要してしまった。そして、御存知のように、この4秒はビデオ撮影隊にとって致命的なミスである。ファインダーを覗いてビデオ回した時には、かなり遠くなってしまっていました。くそっ。
 そのあたり、さすがにロ〜プ〜OGさんは抜かり無い。かなり早めにハンマーと認識していたと見えて、ハンマーが消えた沖合い(しかもたぶん40m超ですぜ)に向けて猛然とターボ・ダッシュを決めており。ハンマーと一緒にOGさんも見えなくなっちゃった。あの体型(失礼)で、あのダッシュ力、それでいて、オレよりエアもち全然いい。どんな心肺機能してんだ、あのヒゲおやぢ。煙草も吸ってんぞ。「プロ」と「アマ」の違いを如実に見せつけられた気がしました。帰って来ると、OGさん、ガイドに向かってガッツポーズしてたから、きっといい画が撮れたんだろな。まあいいや。「マリンダイビング」誌上を待つとしよう。(ちなみに2007春頃に特集組むそうです。)
 ドリフトして行くと、今度は上空にギンガメの100尾クラスの群れ。そしてダイバーなんかおかまいなしに飛ばして行く海のF1マシン・怒濤のイソマグロ。次は、メタリック・ボディで縞なし、ブラックフィンよりひと回り大きく、2〜3尾で浅層を泳ぐジャイアント・バラクーダ……などなど、次々と現れてくれた。めっちゃHOT DIVE!だ。
 更には、ムレハタタテダイが群れ群れでカーテンの柄みたいだと思って撮っていたら、反対方向から今度はウメイロがせまってきて群れ同士ですれ違う光景。どういう生態なのか知らないがそれはもうコーラル・スクランブル交差点だ。おそらく「finding NEMO」のネタから想像するに、通っている魚学校が反対方向にあるんでしょうね。
 安全停止に至っても、ハナダイ・ハナゴイぐっちゃり濃厚でお腹一杯である。
 ブリーフィングにて、特定のウミウチワを探せば、ピグミー・シーホースも見つけられると聞いていたので、この頃(終盤戦)は、ほぼ全員が、ピグミーを我先に見つけようと、同種のウミウチワをあちこちでサーチング中。これはこれで面白く、誰が最初に見つけられるか?宝探しのようなテンションだ。すると、ローカル・ガイドのハリーが、けたたましくベルを鳴らした。このタイミングで‥その勢いで‥コール!ピグミィしかあり得ない。
 ゲスト4人&女性ガイドも含めて、我先にハリーが指差す方向に駆け付けて、眼をこらすと‥‥
 ただのツユベラ幼魚でした。
た「おぃ!ハリーさん。今のタイミングでそりゃあないよ。空気よめよ。」
と思ったけど、そんな失礼な事は陸では言ってません。ってか海中だから「空気」はよめないよな。
(maximum depth 32.8m/dive time 45min./visibility 20m/W.temp. 26.3℃)DECO.+

 言うまでもなく、もちろんDECO.dive。だって深いもん。OGさんなんて、DECO.消すのに更に5分以上かかってたものね。ハードだ。

 2本目も、バンタ島北側のポイントで、『STAR WARS』。コーラルが美しいポイントで、先程の『GPS point』をちょとマイルドにしたような感じだ。砂地に、例によってgold speck jaw fishを2尾発見。もう、普通にいすぎて撮らない。
 青と黄色のツートンが美しいソメワケヤッコが、何故か3匹?通常、ヤッコ、チョウチョウウオ系の多くは仲良く2匹で(夫婦?)で活動することが多いんだが‥‥。と、観察していると、どうやら三角関係バトルみたい。雄同士?がすんごい勢いで戦っている。彼等は、ただ気ままにフヨフヨとそのへんを漂っているのかと思いきや、意外と縄張り意識・テリトリーがちゃんと確立しているんだそうで、同種のはぐれものがフラフラ入って来たりすると、猛然とダッシュして追い払う行動が見られるんです。変だよね。異種の他の魚はいっぱいいても怒らないのにね。同種には極めて厳しいわけだ。それはもう、ガツンと削られる音がしそうな、ジョルジーニョvsドゥンガくらいの激しい戦いでした。
 紅色の背ビレがトサカのようで、「武士道」を感じる?アカネハナゴイ。一方、水彩系の淡い色合いでのグラデーションが玄人好みのメラネシアン・アンティアス。これでもかっつうくらいワサワサいらっしゃって美しい。
 golden berry damzelfish=直訳ハラコガネスズメダイですが、どうせなら背中の輝くようなブルーに着目していただきたいよなあ。わたくしが命名するならblue back damzel.んん?そのまんま過ぎてインパクトに欠けるか。
 コガネフグがテーブル珊瑚の影に隠れて外の様子を伺っている。フグをはじめ、魚の顔はなんてったって正面に廻り込むとかわいいんだが、コイツはゴマフアザラシみたいに愛嬌のある顔してた。哺乳類を思わせる豊かな表情だ。激撮。
(maximum depth 24.6m/dive time 60min./visibility 20m/W.temp. 26.1℃)DECO.+

 わりと、まったりユルユル系の一本だったはずだが、何故かまたまたDEC0. の表示。一言で言ってしまえば、それは「深いところで粘るから。」ってことに尽きる。そりゃあ敵はプロカメラマンなのだから、そんなのにつき合わず、早めに深度を浅くとって場合によっちゃ先に上がらせてもらえば何の問題もないのだが、そこは、「負けず嫌い」たかしゃん。「先に上がる。」ことは、たかしゃん辞書的に、勝ちか負けかで言えば「負け」に該当してしまう。そんなんでラストになにか出物があったりして、先に上がってて見逃した日には、『完敗』である。ひたすらプロ・カメラマンOGさんにつき合うようにビデオカメラを構えてしまうのであります。なんとかならんか、この性格!

 ランチの後、3本目は、リクエストに応じていただけるとのとのことだった。朝一のホットダイブが★★★★★だったので、迷わずほぼ満場一致で、『GPS point 2nd』をリクエストする。
 今回は、カレントが朝と真逆。南側enの北側ex.のパターンや。パラオはブルーコーナーよろしく、流れが逆だと、また、出物も海中風景も別のポイントかと見まがうほど。要は、ホットなポイントは「逆もまたよろし」なのである。
 エントリーすると、上空を巨大Giant Barracuda (GB?gall-bladderぢゃないよ)が3尾、悠々と通り過ぎた。giantつうだけあってデカい。太陽光にかぶると、大袈裟で無く、魚影の日食状態になる。
  朝ほどではないが、結構、流れていた。今回は根の南端で棚待ち。ギンガメ、カスミアジ、クマザサなどが濃い。でも、この先端部もやはり22m。棚待ちにしちゃあ深い。数分後、早々にリリースして海の藻屑と化し、心地よいドリフト開始である。すると、下前方にまたまたギンガメアジの巨大な群れが帯状に確認できた。どこまで続くの?ギンガメ河。戦闘モード(お仕事モード)に入ったOGさんが、群れの下に廻り込むべくジェット潜行。当然わたくしも続く。OGさんのあおりのおかげで、多少ギンガメ河のラインディフェンスが押しあげられた。ギンガメと並行してアゲインストで泳いでいたら、アッと言う間に息切れ。しかも水深34.5m。OGさんは更に5m以上下にいたから、やはり40m 超でしょうね。
た「ふう、危ねえ、危ねえ。」
意外にも沈着冷静にギンガメ撮影バトルを終え、ちょっと一服(はできませんが、もちろん)と、岩につかまり呼吸を整えつつドロップ側に目をやると‥‥
「潮通しのいい」
「30m超deepで」
「砂まじりのガレキ珊瑚地帯」
‥‥‥‥‥‥‥‥とくれば、

た「ふあぁ!アケボノくんだぁ。」
こいつぁ、嬉しいぜぃ。ブリーフィングでは一言もそんなんアナってなかっただけに、たまたま経験と予感のみで見つけられたのが素晴らしいね。ここまで降りて来ているのは、OGさんしかいなかったので、彼も喜ぶだろうと、激しくタンクを鳴らし撤収ドリフト態勢に入らんとするプロカメラマンを呼びとめる。

た「ほれっ!OGさん!ふぁふぇふぉふぉ!(アケボノ)!がいるぅ。」
OGさんも、アケボノ三個体を確認。喜んで激撮かと思ったら、意外にもクールな反応?
『あ〜、ほんとだ。ふ〜ん。見た見た。』
てな調子で、写真も撮らずに流れて行っちゃった。プロはアケボノ撮らないのかあ?オレは夢中だけどね。とかぶりつき数十秒。さらに寄って数十秒!水深35m。
 ふん。どうせまたDECO.だ。だからどうした。ピーピーうるせえんだよ。DECO.にほとんど反応しなくなってきている自分が恐いっす。
 種明かしをしますと、この時OGさんは、ワイドレンズをつけていたため、ブリーフィングで予告されてないアケボノが突然いても対処のしようがなく、地団駄ふんでたんだそうです。上がった後、問いただすと、あのヒゲ顔で頬をふくらまし、小学生がブーたれるがごとく、
O「だってぇ。マクロ持ってなかったんだもん。きぃぃぃ!」
と悔しがるOGさんがかわいかった。そんなことでも「かわいい」としていかなければ、『おやぢ船』やってられまへんのよ。
 結構なカレントに身を委ね、しばらく流されるままになっていると、今度はコブシメを発見した。ニ本だけ触手を上方に立てるようにし、ファイティングポーズをとっていらっしゃる。そりゃまあ、次から次へとゴツいカメラを構えたオヤヂ達(特にヒゲ二人がしつこいっ!)がにじり寄ってくるわけだから、気持ちがわからないわけではない。それにしても、んまそうなサイズだな。
 更に流して行き、やはりラストはピグミーシーホース探しタイムになった。ほどなくルディが見つけてくれた。ピンクでちっちゃいのが二匹並んでる。愛くるしいラッパ型の口と、ちょとポッコリしたお腹の部分がかわいい。ず〜っと同じウミウチワにつかまって、来る日も来る日も風(流れ)をよけて一生を送るのが、とても楽しそうには思えないんだが、何か人生(魚生)面白い事あるのかな。(写真上2匹いるのわかるかな?)
(maximum depth 35.1m/dive time 45min./visibility 15m/W.temp. 26.5℃)DECO.+

 休息の後、4本目は、サンセット・ダイブ!。砂地系癒しポイントで『SMALL WOORLD』。浅い?っつっても23Mまで行っちゃったし、軽く窒素抜きダイブ?と言いつつも58分潜ってて、またまたDECO.。ハードだ。本日4本、まるまるDECO.DIVEなんですぜ。
 まずは、いわゆるクマノミの亜種であろう、微妙な配色で頭がくろっぽくて、白縞の部分が太い、「PANDA ANAEMONE F.」とその卵を見に行く。雄(お父さん)が、かいがいしく卵に新鮮な水をかけてやろうと、胸びれでパタパタしている姿がけなげだ。卵にはもう既に、眼と思われるキラキラ・ツブツブが見えた。
 そして、どこにでもいるのでもう反応しなくなってきてるGOLD SPECK JAWだが、口内保卵してる個体を発見した。コイツも雄(お父さん)なんだわね。精一杯、大口(顎?)あけて少しづつ卵を動かしてあげてる。間違って飲み込んじゃうことはないんだろうか。子供の面倒みない父親、子育て放棄の馬鹿おやぢ、離婚してまるで自分の子供に関知しようとしない阿呆種まき男が多々眼に付く今日この頃、ほんっと、おめえら、クマノミ、jaw fish以下だな!!!

 ガーデン・イールの林?と言うべき林立するチンアナゴ。長いヤツは1m以上出ちゃってるレベルのもいる。こんなに堂々としていて個体数の多いガーデン・イール村は初めて見た。どこまで続くんだろうね、この密集地帯は?
 ブルー・スポッティド・スティングレイも何度かみかけた。こいつ、砂地エイのくせに結構、変幻自在に高いところも飛ぶんだね。
(maximum depth 23.1m/dive time 58min./visibility 15m/W.temp. 26.6℃)DECO.+

 と言うわけで、上がってみると既に日没。暗い。
 一日、4本、ALL DECO. dive.って?どうよ。
 本船に戻って、さっさとシャワーをあびて‥‥(普通はこのタイミングでサンセット・ビール・ハッピーアワーなんてセッティングだしょ?)ビールにありつく頃には既に真っ暗なんであります。
 ま、とは言え、ビンタン缶ビールではあるが、まずいわけはない。窒素がたまった全身血液中にしみ渡る感じだ。窒素酔いよりもアルコール酔いの方が、なんだかシャキっとしますね。(て、それアル中ちゃうんかい?)
 夕食の後、軽くロギングして、ビデオ器材のメンテを終えると、強烈な睡魔がおそってきた。今日は今の所ビール3本だけだが、こりゃあもう限界だ。昨夜のバースディはしゃぎすぎ+本日のall deco dive.のせいである。
 ま、ダイブ・クルーズの先輩として一言、経験則を言わせていただきますと、やはり長いクルーズ中に一日(一晩)は、爆睡指定日を設定した方がいいですね。どこにピークをもってくるか、体調管理が最も重要です。一番よろしくないのは、のんべんだらりと中途半端に毎晩はじけて飲み続けること。翌朝、毎朝、後悔しながら辛い一本目を潜るのはいい加減やめましょう。(自省)

 と言うわけで、今日はもう寝ます。22:00p.m.

 まじ、はやっ!



(第2部へど〜ぞ)

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