アレルギー予防プログラム

当院でお子さんのアレルギー予防のために行っていることをまとめています.

赤ちゃんの免疫は,現代生活に対応していません.
人の遺伝子は10万年前の生活のためにできたものです.現在のように,きわめて清潔で,しかも食物に囲まれた生活は想定されていないのです.その結果,正常免疫ができにくいので,アレルギーや免疫病(自己免疫疾患)が増えてきています.

免疫の成長のためには,生まれてからの1年間が重要です.免疫の主役はリンパ球ですが,腸や皮膚の上の細菌を利用してリンパ球が抗体を作ります.細菌のほとんどは体にとって必要なものです.もちろん,少数派ですが,体にとって有害な細菌もあります.有害な細菌をできるだけ防ぎつつ,体に必要な細菌をいっぱい持つことで,正常な免疫ができていきます.


1, スキンケア
 がさがさした皮膚,湿疹の多い皮膚は,そこから様々な異物が進入することでアレルギーの原因となります.基本はワセリンを塗ってください.湿疹がひどければ,ステロイド軟こうを使っても構いません.

2, できるだけ石鹸を使わない.
 右図のように,界面活性剤(石鹸)を使った皮膚に卵が付着すると食物アレルギーの原因となります.
 また,皮膚上の細菌の種類が多い方が,アトピーになりにくいこともはっきりしています.石鹸を使うと,せっかく皮膚についた細菌が一気に死んでしまいます.
 




3,食事をする部屋と赤ちゃんの寝室を分ける
 赤ちゃんのいるところに卵や小麦などの食物があると,目に見えないくらいの分子が肌から入って来ます.肌の下のリンパ球が食物アレルギーの抗体を作ります.
 食事を作ったり食べたりする場所と,赤ちゃんの寝室は分けておいてください.

※お料理の後も,手を洗ってから赤ちゃんを触ってくださいね.
※1歳までの赤ちゃんのいる家庭では,ピーナッツ等のナッツ類を食べないようにしてください.ピーナッツは早期から食べさせるのは難しく,細かくちらばって皮膚に付くことで強いアレルギーを作るからです.

4, 病原性細菌が体に付くことを防ぐ.
 乳児期から病原性細菌の感染が続くと,そういった菌を排除する抗体が作られにくくなります.(免疫寛容という仕組みがあるためです.)
 乳児期の代表的な病原性細菌は肺炎球菌と,黄色ブドウ球菌です.
 肺炎球菌の大部分はワクチンで防ぐことができます.黄色ブドウ球菌は,じゅくじゅくした皮膚に住みます.皮膚を健康に保つことが大切です.

※肺炎球菌の感染が続くと⇒喘息の原因となります.肺炎球菌は気道に住みます.抵抗力ができにくく,気道が弱くなるためです.

※黄色ブドウ球菌の感染が続くと⇒アトピーの原因となります.同じように抵抗力ができにくく,皮膚が弱くなるからです.


5, 早期から様々な離乳食を食べさせる.
 卵などのアレルギーの原因になる食べ物は,制限するほどアレルギーの原因となります.
 アレルギーのリスクが高いお子さん,食べさせるのが心配であればかかりつけに相談して下さい.
※ 不要な食物制限はアレルギーを増やします.血液検査で陽性の場合にもほとんどは食べることができます.

6, できるだけ外で遊ばせる
 多くの細菌を持っている方がアレルギーになりにくいことがはっきりしています.4種混合ワクチンを接種して破傷風を防いでから,外で遊ばせるようにして下さい.

7, 抗生物質の使用制限
 感冒,中耳炎,副鼻腔炎等では基本的に抗生物質は不要です.正常細菌層を壊してしまうからです.2歳を過ぎるまで,どうしても必要な場合以外は,抗生物質を飲ませてはいけません.

※抗生物質が必要になる病原性細菌の感染を防ぐためにも,とにかくワクチンを!


8, 両親とのスキンシップ
 成人の皮膚は,健康であれば多くの常在細菌に守られています.スキンシップを行うことで,そういった細菌を早期から付けるのです.
※ ただし,不健康な皮膚には病原性細菌(黄色ブドウ球菌)が付いていることが多いです.皮膚炎を起こしている場合は,治してからにして下さいね.

9, 赤ちゃんの腸内細菌を増やす
 早期から腸内の細菌を増やしましょう.手っ取り早い方法は,お母さんがなめた乳首を赤ちゃんに吸わせることです.
※ 風邪を引いているときや,肝炎等の感染があれば避けてください.

 赤ちゃんの食器は食器洗い機を使わないようにして下さい.手洗いの方が雑菌が残りますので,腸内細菌が増えます.実際に食器洗い機を使う家庭の方がアレルギーのある子どもが多いということが証明されています.

10,湿疹の強い赤ちゃん,両親のどちらかがアトピーの赤ちゃんは御相談下さい.
 リスクの高い赤ちゃんでは,血液検査を行い,アレルギー抗体がどのくらい誘導されているかという指標(TARC値)を見ておくと良いでしょう.TARCが一定以上高い場合には,アレルギー予防のために,卵と小麦,ミルク、大豆、ソバ、ピーナッツの入ったパウダーを少量ずつ服用してもらっています.
 詳細はここに記載しています.
 ※自己判断でしないで下さいね.


多少咳や鼻があっても.笑顔があって食欲があるなら,どんどん外に出ましょう.元気な家族の中で育った子どもさんの方がアレルギーは少ないですよ!

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