「変化球投手」松坂大輔

 

 L 202 000 100  5

 M 100 100 000  2

  ○ 松坂大輔 6勝9敗

  ● 小林宏之 9勝4敗

   本 和田一浩 14号

 

 2005年7月3日、ライオンズ対マリーンズ(千葉マリン)の試合は、5−2でライオンズが勝った。勝利投手は完投した松坂大輔だった。投球数は133、自責点2、奪三振は12、無四球。ここまで見るとマリーンズを完全に抑え込んだように見える。しかし、被安打は11、3者凡退に抑えたのは3回裏と9回裏だけとなると、話は違ってくる。現場で見ていた印象もそうなのだが、悪いながらも要所を何とかしのいで9回を投げきったのである。

 

 特に目立ったのは、変化球の多投だった。手元のスコアブックから集計してみよう。と言っても、打ってしまったボールの球種まではさすがに見極められないので、見逃し、空振り、ファールの合計だから、現実に投げた比率とは異なってくるが、近似することは出来るだろう。

 直球:39

 高速系変化球(スライダー、フォークボールなど):40

 低速系変化球(カーブ、チェンジアップなど):12

 

 集計対象91球のうちストレートはわずか43%でしかない。スポーツナビのコラムは、この日の松坂の50%がストレートと言っているので、バッターが打ったボールはストレートが多かったということなのかもしれないが。

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/05season/team/lions/column/200507/at00005277.html参照

(ただ、このコラムの統計数字の使い方にはやや問題がある。どこが問題かは自分の目で確かめて欲しい。)

 

 ただ、50%であれ43%であれ、パワーピッチャーと言うには変化球が多すぎる。一応もう1試合、去年のプレーオフで松坂が投げた試合のデータを見てみよう。

 

2004年10月1日:プレーオフ第1ステージ ライオンズ対ファイターズ

 直球:57

 高速系:38

 低速系:7

 集計対象中の直球率:56%

 

 先日の試合よりはマシだが、それでもそれほど多いわけではない。特に、メジャーリーグでパワーピッチャーと呼ばれるピッチャーたちのデータと比べると圧倒的に変化球の比率が大きい。手持ちのスコアブックから拾い上げてきたデータを見て欲しい。

 

2004年6月8日:ダイアモンドバックス対オリオールズ
 ランディ・ジョンソン
  直球:46
  高速系:10
  低速系:7
   集計対象中の直球率:73%

2004年4月6日
 カート・シリング
  直球:55
  高速系:25
  低速系:5
   集計対象中の直球率:65%

2003年8月10日
 ロジャー・クレメンス
  直球:71
  高速系:13
  低速系:1
  集計対象中の直球率:84%

 

(参考)
2003年7月29日
 石井一久
  直球:37
  高速系:26
  低速系:15
  集計対象中の直球率:47%

 

 カート・シリングが若干フォークボールが多いが、それでも60%以上がストレートである。ランディ・ジョンソンは7割を超えるし、ロジャー・クレメンスに至っては8割以上が直球である。彼らにとっては、あくまで変化球は見せ球で、組み立ての中心はストレートなのだ。一方、石井一久のデータを見ると、松坂のそれによく似ている。日本にいたときのデータがないのできちんと比較はできないのだが、やはり石井のストレートではメジャーリーガーを抑え込むことができていないのである。

 

 こうして比べると、松坂が決してパワーピッチャーと呼べるようなピッチングをしていないことが分かる。もしメジャーに行くというのならば、もっともっとストレートに磨きをかけなければならないだろう。そうでなければ、英語でjonkと呼ばれる、技巧派投手になるしかない。

 

(2005. 7. 5記)

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