注釈・・・ノルウェー女性の過去、現在、未来

クリスティン・ミーレ (ノルウェー男女平等オンブッド)

三井マリ子 訳
 

1.ノルウェー男女平等オンブッド、クリスティン・ミーレによる講演。2003年10月24日から29日まで滞日し、福井県武生市、大阪府豊中市、長野県長野市で講演した。本稿は豊中市と長野市の通訳者三井マリ子の執筆・編集による。脚注と写真は三井マリ子。写真はオスロの事務所で仕事をするオンブッド近影。

2.クリスティン・ミーレは、2000年、男女平等法に基づく第4代ノルウェー男女平等オンブッドに就任し現在に至る。最近は、国内ばかりか、EU加盟希望諸国(ポーランド、スロヴェニア、スロバキアなど)に出張し、男女平等について講演や助言をしている。こうした公務多忙中の来日であり、4回目の訪日となった。弁護士の夫との間に2人の子ども(10歳、12歳)がいる。

3.ノルウェーの女性運動・男女平等施策についての日本初の本『男を消せ!ノルウェーを変えた女のクーデター』(毎日新聞社)筆者。ノルウェー男女平等オンブッドとも親交が深い。大阪府豊中市のとよなか男女共同参画推進センターすてっぷ館長、福井県武生市男女平等オンブッドとして、男女平等施策推進を担う。女性議員輩出、クオータ制や男女平等オンブッドの普及などがライフワーク。

4.ニュージーランド、フィンランドに次いで、世界で3番目に早かった。ノルウェーは、その6年前の1907年には制限つきで女性参政権を獲得していた。

5.選挙で女性が国会議員に選出されたのは1921年が初。それ以前の1909年に女性11人が国会議員に立候補し、1人が代理議員に当選し、1911年に繰り上げ当選をしている。このあたりについては『男を消せ!』p104、105参照のこと。

6.ノルウェーの福祉全般については『世界の社会福祉Eデンマーク・ノルウェー』(上掛利博編著 旬報社)に詳述されている。

7.「1965年には、小さな子供を持つ母親の10人に9人は家にいた」(『男を消せ!ノルウェーを変えた女のクーデター』
p.110より引用。ノルウェー外務省が発表した情報)

8.ノルウェーの女性解放運動については『男を消せ!』p100-119参照。

9.1975年、国連が第1回世界女性会議をメキシコで開催。79年には国連総会において世界の男女平等憲法ともいうべき女性差別撤廃条約が採択された。このように70年代後半から女性解放が国際施策となっていった。

10.1976年、EU理事会指令「男女の平等待遇の原則」成立を皮切りに女性関連法制度が整備されていった

11.現在では男女平等法によって法的根拠を持つ会となっており、事務局は男女平等オンブッドと同じビルにある。当時は国の法律によるものではなかった。

12.実際のノルウェーの男女平等法は、その2つを兼ね備えているといえる。第1条の目的に「男女平等の推進と、とりわけ女性の地位向上」と明記されている。

13.英語The Gender Equality Act。制定後、何回か改正された。2002年6月の改正が最近のもの。今回の改正により、より女性の権利が強化され、事業者の男女平等推進義務がひろがった。

14.世界初の男女平等オンブッド第1代目エヴァ・コースタッドの仕事ぶりについては『男を消せ!』に詳述されている。

15.ノルウェーのマスメディアは、毎日、男女平等オンブッド事務所に「今日は何かニュースありませんか」と取材の電話を入れるという。同事務所では関連新聞・雑誌記事の切り抜きが毎日まとめられているが、それを見る機会があったが、取り扱い記事の多さと大きさに驚かされた。テーマによっては新聞の数ページを使っての特集が組まれ、オンブッドの顔写真が大きく載せられることも多い。マスメディアがノルウェー社会の男女平等形成に果たした役割はきわめて大きいと考えられる。

16.ノルウェーのパートタイマ―は、時間が常勤より短い分、それに応じて賃金や休暇などが少ないという勤務形態。身分差のように、雇用期間や休暇、福利厚生などで常勤職と大きな違いがある日本型パートタイマーとは異なる。

17.「労働者保護と労働環境法」。1992年からこの中の育児休業の日数を拡大する改正がたびたび行われ、妊娠出産育児をしやすい環境を整えていった(『男を消せ!』p.55)。

18.1994年まで、育児休業をとった父親はわずか4%だったというからパパ・クオータの威力はすごい(『男を消せ!』p.56−57)。

19.国連開発計画UNDPの調査によると、政財界などの政策決定の場における女性の割合の高さを比較したGEM指標において、ノルウェーはほぼ毎年1位。世界一女性の地位が高いといってよいノルウェーでも、公務員の局長、部長などトップの4分の3がまだ男性によって占められていることがわかる。一方、日本は・・・。

20.2003年9月統一地方選挙で女性議員が過半数を超える自治体が11に増えた。この背景には、「女性の選挙キャンペーン」という女性議員を増やす運動が行われ続けていることがある。事務局は男女平等センターが担い、公費が拠出されている。

21.「女性の選挙キャンペーン」については『男を消せ!』の第3章「女の選挙キャンペーン」を参照のこと。1960年代から続いている息の長い女性運動である。

22.1986年、労働党首ブルントラント首相が閣僚大臣の40%を女性にし、「女の内閣」と世界中の注目を集めた。それ以来、政権交代があっても女性後退はない。

23.日本におけるパート労働者などを除いた常勤の女性の賃金は、男性の約60%。先進国の中では最も格差が大きな国であり、国際労働機構ILOから再三、格差解消を勧告されている。

24.すでに1980年代に国の公的審議会として「男の役割委員会」が設立された。その目的は「社会のすみずみにまで、日常的に、本当の意味の男女平等が成し遂げられるようにすること(『男を消せ!』p.116)。

25.3月8日は国際女性デー。ヨーロッパ各地で大々的に女性の祭が催される。政府がその日にあわせて発表した。
26.http://www009.upp.so-net.ne.jp/mariko-m/nor_jjyoseiyuyaku.htmlを参照。
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