ノルウェー統一地方選 女性議員が37.4%に 
2007/9/23

三井 マリ子
 
 9月10日に行われたノルウェーの統一地方議会選挙で、全議員に占める女性の割合が過去最高の37.4%となった。

 
首都オスロの目抜き通り。今回オスロ議会の女性率は45.8%となった


 フィヨルドで有名な西海岸の町フローラ。女性議員の割合はノルウェー全市の平均と同じ37%

 
ノルウェーの国会議事堂。閣僚の過半数、国会議員の37.9%が女性だ

 女性の当選者が最も多かった市は、オップランド県エトネダール市で66.7%、15議席中10議席を女性が占めた。2位はフィンマルク県ロッパ市で60%、15議席中9議席が女性。女性議員が60%を超えた市はこの2市だけだが、50%以上なら26市、40%以上となると153市にもなる(ノルウェー公共放送NRK調査。以下同じ)。

 これを県レベルで見ると、トップ・スリーは、オスロ県(オスロ特別市のみ)、アーケスフース県、オップランド県で、それぞれ45.8%、41.4%、40.5%。2位のアーケスフース県は、22市の過半数にあたる13市で女性議員が40%を上回った。

 ノルウェーの地方自治体は19県431市で構成されるが、その3分の1以上がノルウェー男女平等法21条「あらゆる公的な決定の場は、その構成員において一方の性が40%を下回ってはならない」のクオータ制を満たしたことになる。この分だと、ノルウェー全市が女性議員40%となるのも時間の問題だ。やっと女性議員が10%程度になった日本からみると夢のようだが、ノルウェー政府からすると、まったく不十分ということになる。

 「平等と反差別オンブッド」(注1) のベアテ・ガンガースさんは、記者会見でこう話した。「男女平等の未達成は、民主主義にとって大問題です。この調子では、地方議会の男女平等の達成は、この先20年はかかります」 そして、さらに女性議員の少ない市を名指しで批判した。「シルダール市がワースト・ワンです。10.5%しか女性議員がいません。この市は前回、女性議員が19議席中6議席いたのですよ。4議席も減らしてわずか2議席です。ワースト・ツーはスーラ市。29議席中女性は7議席だったのが4議席に減り、13.8%にすぎません」

 ノルウェーの政治・経済における女性の活躍度は、毎年、世界ランキングのトップである(国連開発計画によるGEM調査)。この結果と思われるが、充実した保育政策、労働時間対策、ひとり親政策、夫婦別姓法などを軒並み実現させている。そして、出生率は1.8と極めて高い。国連の調査で、世界で最も住みやすい国とされてもいる。

 こうした社会になった背景には、1967年から始まった「女性の選挙キャンペーン」 がある。女性の選挙キャンペーンとは、地方議会に女性を多く当選せることに絞った全国運動である(注2)。「女性の選挙キャンペーン」運動は、1960年代、ビルギッド・ウイッグさんのアイデアから生まれた。地方紙の編集委員だった彼女は、市議会を取材する中で、女性議員がほとんどいない現実を変えようと決意する。そこから「女性の選挙キャンペーン」がスタート。今では、公費が拠出され、国ぐるみで行われている。

 今回の「女性の選挙キャンペーン」も、昨秋、平等・反差別オンブッド、男女平等大臣 、自治大臣の3人が記者会見をしてキックオフ。大物3人(全員女性)の写真とともに、「女性の選挙キャンペーン」が大々的に報道された。政党幹部に対しては、候補者リストの上位に女性候補を載せるように説得。市民や有権者に対しては、わかりやすいイラストを作成し、公職選挙法の「候補者名簿の変更権」を使えば女性候補を当選させることができることを知らせるといった運動が、展開されていた。


参考
http://www.aftenposten.no/nyheter/iriks/politikk/article2003611.ece
http://www.ldo.no/no/TopMenu/Aktuelt/Nyheter2/--Regjeringen-ma-vurdere-a-endre-valgloven/


注1 以前の「男女平等オンブッド」。平等を推進するオンブズマンで特別国家公務員。強い権限を有する独立した機関で政府の批判もする

注2 詳しくは『男を消せ! ノルウェーを変えた女のクーデター』(三井マリ子著、毎日新聞社)を参照


出典 http://www.news.janjan.jp/world/0709/0709212747/1.php