女性の顔、フランスの国会議事堂を占拠
 

 『女性ニューズ』  2003.9.10の原稿

  女性政策研究家 三井 マリ子





フランスの女性解放運動は、とっても元気だ。今夏は、国会を女性のポスターが覆うという目のさめるような企画を実行した。普段の国会議事堂を見慣れたパリ市民は「あれッ」。

実行者は、「女性ゲットーに反対し平等を求める女性の行進Macite」。
フランスに住む移民女性の地位向上を目的とする市民団体だ。
女性ゲットーとは、女性ゆえの低賃金補助労働をさす。移民女性こそ、こうしたゲットー化の最大の被害者。働き疲れたからだで、家にもどれば、
祖国の宗教や慣行が色濃く残る家庭が待つ。どうしたら、これを変えられるのだろうか。
Maciteは、移民女性たちのパワーと個性を思いっきり見せようというムーブメントを考え出した。その名も「娼婦でもなく主婦でもない」というプロジェクト。多民族女性がズラリと居並ぶ巨大なポスターで広報活動をスタート。3月の国際女性デーには大デモンストレーションを成功させた。その勢いにのって、国会を移民女性の大きな顔写真で飾ろうという新企画が産まれたという。

フランスの国会議事堂は、18世紀に建てられた宮殿。セーヌ河のほとりにある。建物の近くまで行ってみた。ほんとうに女性の巨大なポスターでいっぱいだった(写真)。国会が女性の展示場と化していた。題して「今日のマリアンヌ」。マリアンヌとはフランスの代名詞だ。女性名であることから、これまでは、女優カトリーヌ・ド・ヌーブ、ブリジット・バルドーなどが象徴してきた。実際のフランスは多民族国家。金髪白人では実態を反映していない。

そこで、Maciteは、男性主導文化・慣行にいまだ苦しむ移民女性の巨大な写真を展示し、存在を世に訴えることにした。その国会を占拠した「今日のマリアンヌ」写真展除幕式には国会議長が出席したと報道されている。女性解放運動に議事堂の使用許可を与えたフランス国会の寛大さよ。

帰国したら、日本の国会に電話して聞いてみよう。
「ちょっと議事堂正面を女性のポスター展示場に貸してもらえませんか」

   

 2003年夏のフランス国会議事堂 (パリにて三井マリ子撮影)

 

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