公募館長の3年 〜女性センターは今〜
                                  三井マリ子
 
中国新聞より 

第3回:多彩な事業

DV対策や就業支援
 

 女性にかかわる深刻な問題は数々あるが、女性センターから見ると、一にドメスティックバイオレンス(DV)、二にセクシュアルハラスメントである。
 身近な男性から暴力を受けた女性は、豊中市民三千人の調査によると、精神的暴力の被害者が女性の六割、身体的暴力は三割、命の危険を感じるほどの暴力被害は実に三十人に一人に上る。
 前回、北欧のゲストが「なぜここに女性のシェルターがないの」と語った話を紹介した。すてっぷでは、相談にみえた女性に避難所が必要だと判断した場合、民間シェルターにお願いすることでしのいでいる。
 日本のシェルターの多くはボランティアの献身に支えられている。しかしどこも台所は火の車。北欧のような「運営は民間に、経費は税金で」という政策になれば、と思う。ここは女性議員たちの出番である。
 セクハラ被害もすさまじい。『切り抜き情報誌―女性情報』という月刊誌によると、二〇〇二年一月からの一年半に報じられた裁判が五十四件、事件が百二十七件もある。この背後で泣き寝入りしている女性が、どれほどいることか。
 すてっぷは「三井マリ子館長の出前講座」を設け、タダで研修のお手伝いをしてきた。しかし、セクハラ研修のリクエストはたったの一度だけ。日本の会社も、学校も、組合も、事の深刻さをわかっちゃいない。

 さて、DVとセクハラについで力を入れてきたのは、女性の就業支援である。「女子学生就職戦線突破セミナー」「女性のための起業セミナー」「女性のための『チャレンジ!再就職セミナー』」…。女性のための起業講座を前回受講した二十人のうち、なんと五人が事業を起こした。どれも、元手を使わず知恵で勝負する仕事ばかり。あっぱれだ。
 情報ライブラリーもすてっぷの自慢。ジェンダー問題にかかわる情報の収集・提供にとどまらず、それをわかりやすく表現して市民に発信している。利用者は一日平均二百七十人。
 広いステージやロビーを活用した文化事業も、目玉の一つだ。最近では、市民団体に協力して、アジアから女性ビデオ監督を招いて上映会を開いた。これは、うけにうけた。
 このほか、男の育児教室・男の料理教室といった日本の女性センターの定番メニューも、もちろん開設している。
 こうした多彩な事業は、ほとんどが非常勤嘱託の女性職員の知恵と手間に支えられている。女性が力を発揮するのは本当にうれしいことなのだが、その反面、待遇の悪さには心が痛む。これは日本のすべての女性センターに言えることなのだろう。
 でも、まずは第一歩を踏み出さないことには、二歩目も三歩目もありえない。そして、市民に近い現場だからこそ聞こえてくる女性たちの生の声を、市の政策に反映していきたい。                                    

 
(三井マリ子・とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ館長)
 
(2004年1月25日付中国新聞朝刊)