日本初の男女同数議会を訪ねて
                                  三井マリ子
 
女性ニューズ2003年8月10日号より 

 日本で初めて「男女同数議会」を達成した神奈川県大磯町は、7月23日、議長に清水弘子さん(56)を選び、3常任委員会のうちの2つの委員長ポストを女性が握ることになった。
 東京駅からJRで1時間。女性たちの希望の星となった大磯町に行ってみた。相模湾を臨む緑の多い町には、吉田茂元首相をはじめ政財界の有力者の別荘があちこちにある。
 男女9議席ずつ分け合った議会の誕生の陰には何があったのか。7月29日、町の公民館で開かれた「女性50%と注目されているが、その意義と課題を話し合う会」に参加し、当選した女性、選挙支援者、市民に聞いた。その結果だが、次のようなことが言える。

@候補者23人中女性が11人立候補し男性とほぼ同数だった
A環境問題や子育て支援などの運動経験から自らの困りごとを社会問題化 できる女性が増え、立候補につながった
B町の抱える問題と女性候補たちの関心分野が重なっていた
C男性の多くは、暮らしを担ってきた女性に地方政治の指導力を期待した
D現職7人の引退という異変の中、新人候補の当選しやすい土壌があった
E前町長派の多かった議会で議案否決があいつぐなど混乱し、町政の建て直しが望まれていた
F隣の平塚市に初の女性市長が誕生するなど、今春の統一地方選における女性躍進が目立った
G女性議員輩出の動き、男女共同参画の流れなどの社会的潮流もあった

 今回、初当選した元歯科技工士の渡辺順子さん(57)は、昨年末の町長選で、それまでの町政を変えようと新町長誕生に尽力した一人だ。新町長就任後、何度か議会を傍聴した。そのレベルの低さにあきれ、「傍聴席で怒っているより議席に座って物申した方がいい」と思うようになった。夫は、以前から町の活動で夜遅く帰宅する順子さんに代わり「主夫」をした。当然、妻の立候補に大賛成で、選挙にも協力を惜しまなかった。大磯の豊かな緑を守る運動を続けてきた元高校教員の浅輪いつ子さん(64)も初当選。夫も同様の運動をしており、妻が議員となることを全面的に支援した。元保険会社員の大阪聖子さん(39)は、育ち盛りの9歳と5歳の子どもを持つ現役ママ。家事育児をシェアしてきた夫は、もちろん選挙も積極的にバックアップ。子育て支援策の充実を訴えて初当選した。

 政治は、人の世話(ケア)を中心とする福祉施策中心へとシフトしてきている。人の世話をしてきた女性たちの知恵、経験、ネットワークを公的施策に生かすときなのだ。つまり、高齢者や保育施策など女性の利益を政策課題として実行していける人が議会に求められているのである。大磯町は、男性にもそうした政治を望む人が多かった。
 女性議員の働きぶり次第では、女性が男性を上回る議会が大磯町に出現するのも夢ではない。

                                              

【三井マリ子】(全国フェミニスト議員連盟世話人)
 

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