女性ゼロ議会の撲滅ならず-2003年地方選
           
           三井マリ子(全国フェミニスト議員連盟ゼロ撲キャンペーン担当)
 

   女性候補,当選者とも史上最多の統一地方選が終わった。道府県当選者164人となった。
  県レベルで最も女性率の高かった滋賀県は14.9%となり、非改選の都議会に迫った。2位は長野で13.8%、3位は山梨で11.9%。広島、山形は女性ゼロ県議会の汚名を返上したものの、福井、島根がゼロ県となり、女性ゼロ県議会の撲滅は今回も果たせなかった。
 今回の特徴は、公明党に女性擁立が定着し、自民党(保守系無所属)が女性擁立に熱意を見せたことだ。
 一方、女性ゼロ議会は町村を中心としていまだに数え切れないほどある。多くは無投票当選だ。
投票のある自治体でも、オール男性のポスターが居並ぶ公営掲示版を見るたび、「出よ、女性」と叫びたくもなる。
 こんな叫びに応えた選挙区を2つ紹介する。
 山口県本郷村。岩国市から車で1時間ほどの美しい山村だ。これまで、村長は無投票当選。村議選は候補者宅に親類縁者が集まって飲み食いをするぐらいで、選挙カーの訴えなどほとんどなかった。しかし、今回はうるさいほど選挙カーが行きかった。村の選挙を一変させた候補者は勝又みずえさん(59)だ。18年前に入村し、農業の傍ら公民館活動をし議会傍聴のミニコミ誌を発行してきた。手製のミニコミ誌は、鋭い批判精神とわかりやすい表現で、多くの読者の心をつかんできた。
 投票日前日、本郷村に行ってみた。
 勝又さんは選挙カーで公約を訴えていた。車の音を聞くと、大雨の中、傘もささず玄関から飛び出すお年寄りがいた。しわくちゃな手を出し「村を守るのはあんたしかいない」と、握手の手を離さない女性がいた。
 彼女のようなよそ者が当選できる村ではなかったが、4年前、村にふって湧いた産廃施設建設話が事態を変えた。
 彼女がリーダーとなって、村民の9割にあたる1,300人を含む95,330人の反対署名を集めた。県は「不許可処分」を決めた。今回、産廃施設賛成派は彼女の当選を恐れ、選挙に緊張が走った。しかし、結果はわずか5票差の次点。
 「村会議員選挙は、このあたりを地盤とする国会議員のための選挙なのです」と彼女は語る。国会議員の下には県会議員や村長がいて、彼らの息のかかった人物が地区推薦候補として名乗りを上げ、必ず当選する。当然金も動く。勝又さんも「当選したいなら100万円」と地元有力者に耳打ちされたという。1軒1軒、票のゆくえが決っているといわれる村で、勝又さんは選挙スタイルを変えた。民主主義の華といいたい。
 一方、同じ山口県で、さしたる選挙運動もせずに当選した女性がいた。原発が争点の上関町長に当選した加納簾香さん(72)である。選挙の始まる数週間前まで、推進派候補は前町長を含む男性3人。それに対し反対派は1人。 これは負けると踏んだ町長が、「自分も降りるから全員降りて、推進派統一候補を」と提案。3月末に町の副議長だった加納さんを指名。彼女は、原発推進派の大物男性3人が担ぐ神輿に乗って、あっさり初の女性町長の座をつかんだ。
 この2つの例。あなたならどちらを支持するか。                        

                                              

(「ふぇみん」2003年5月15日号 掲載原稿を手直ししたものです)
 

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