通所授産施設「ぽこ・あ・ぽこ」の概要

1996年8月より横浜市磯子区で事業をスタートした、
新しい知的障害者のための授産施設の概要を紹介いたします。


ぽこ・あ・ぽこの概要 電機神奈川福祉センターの目的

目的と3つの柱

横浜市磯子区JR新杉田駅前の5階建て複合ビルにおいて、1996年8月よりぽこ・あ・ぽこは事業を行っている。精神薄弱者福祉法等に則った50名定員の通所授産施設である。

電機神奈川の過去25年におよぶ実績を踏まえ、電機神奈川福祉センター(以下、福祉センター)では「知的障害者が就労をとおして社会的自立することを支援する」という目的を掲げている。そして、この目的を達成するために以下の3つを柱としている。

  1. 知的障害者が働ける職場の開拓
  2. 働く知的障害者の育成
  3. 働いている知的障害者のフォロー

働いている知的障害者のフォロー:就労援助センターとの連携

神奈川県内には、地域就労援助センターという独自の福祉事業が展開されている。この事業の目的は、1)進路・就労に関わる相談、2)就労へ向けての指導・訓練、3)職場の開拓ならびに定着支援、4)関係機関との協力ならびに啓発活動である。特に、3)において、働く知的障害者を期限なく継続的に支援し続けることが目的に加えられている点は、まさに画期的である。

福祉センターではこの地域就労援助センターを2ヶ所運営している(全県下7ヶ所)。特に、ぽこ・あ・ぽこと同一ビルに横浜南部就労援助センターがあり、双方密接な連係を行っている。具体的には、

なお、横浜南部就労援助センターはぽこ・あ・ぽこより早く、1992年より事業を進めており、その実績は次の表の通りである。

年度/分類 92年度 93年度 94年度 95年度 96年度 97年度 合計
新規相談者数

45

48

53

36

44

57

283
継続就労(フォロー)者数

13

27

35

41

52

72

72

表1:横浜南部就労援助センターの実績


知的障害者が働ける職場の開拓:関係組織との連係

福祉や特殊教育の現場で働く職員が、知的障害者が働く職場を見つける方法としては、

  1. 職安の求人(こまめに求人チェック、集団面接会
  2. 縁故関係
  3. 学校・福祉の進路担当者の個別開拓(求人広告や電話帳を頼りに)

などが一般的である。全国各地で様々な試みが展開されているにもかかわらず、大規模で組織的なものではなく、少数・単発そして個人的な職場開拓を行っているのが現状である。ぽこ・あ・ぽこでは、従来の職場開拓だけでなく、関係組織と連係しより組織的な方法を模索している。

まず、福祉センターの母体である電機神奈川との連係があげられる。労働組合の組織力を生かし、

また、神奈川には、知的障害者雇用を行っている企業あるいは今後採用予定のある企業の人事・管理担当者が、それぞれの職場で実践している雇用管理上のノウハウを情報交換する、「障害者雇用システム研究会」が存在する。そこでは、企業間のいわばピアカウンセリングが行われたり、雇用管理のノウハウを蓄積してマニュアルを作成したり、そして企業向けの障害者雇用促進セミナーを開催したり、障害者雇用の新たな試みを行政に提言したりなど勢力的な活動を行っている。ぽこ・あ・ぽこでは、この障害者雇用システム研究会の運営に積極的にかかわり、雇用環境に密着した情報の交換ならびにそのネットワークを活用することで、職場開拓を行っている。


働ける知的障害者の育成:9つの特徴

福祉センター事業の柱で、最後に残った「働ける知的障害者の育成」が、ぽこ・あ・ぽこの中心的業務になる。ぽこ・あ・ぽこの育成プログラムは、表2にまとめた9つの特徴を前提にしている。

  • 個別の育成プログラム作成:本人保護者とのミーティングで年間目標決定
  • 利用者情報の一元管理:担当職員制がなく、PC利用のミーティングと職員掲示板利用の情報伝達により対応の共通化を行う
  • 職場に近い作業環境:OB指導員中心に品質・納期・安産管理の徹底
  • 豊富な授産科目:常時多様な仕事を用意(1日平均7種以上)
  • 柔軟な作業班編成と個別対応:毎日作業班編成の微細な変更あり、一斉が無理な利用者には個別スケジュール
  • 専門業者との協力:清掃業者と協力して教育・訓練を行なう
  • 施設外実習と企業実習:作業室以外の多様な実習環境を用意する
  • 平均工賃と工賃格差:3万円強の平均工賃と仕事の責任による平等な格差
  • 授産科目に自主製品を持たない:施設の目的として契約・下請け仕事のみとする

表2:ぽこ・あ・ぽこの9つの特徴


ぽこ・あ・ぽこ利用者

ぽこ・あ・ぽこに通所している利用者に関して、表3にまとめる。オープン間もない施設であることから、若い利用者が多い。また、2次的な診断として自閉症が比較的多いのも特徴である。

性別 女16名 男34名 合計50名
年齢 最低18歳 最高49歳 平均25歳
判定 最重度1名 重度6名 中度22名 軽度21名
2次的診断 身体障害合併3名 自閉症 19人 ダウン 1名 てんかん13名
居住 グループホーム3名 自宅 47名 (全員:横浜市内在住)

表3:利用者の概要(1997年8月現在)


通所日数と日課

通所日数は、ほぼカレンダー通り(週休2日、夏季・年始年末休暇:年間240日程度)で、1日の実労働時間は約6時間である。通所時間ならびに日課について、表4にまとめる。また、特別な配慮を必要とする数名の利用者については、個別スケジュールを組んでいる(パーテーション等を利用した物理的構造化の手法も併用)。なお、個別スケジュールは、利用者の状況に応じて定期的に修正を行っている(表4の右にある利用者の「個別スケジュール」を紹介する)。

標準の時間

標準のスケジュール

個別の時間

個別スケジュール

8:45 - 8:55
朝の準備

8:45 - 8:55
朝の準備

8:55 - 9:00
体操

8:55 - 9:00
おふろカレンダー記入

9:00 - 10:30
作業

9:00 - 10:40
作業

10:30 - 10:40
休憩

10:40 - 10:50
休憩

10:40 - 12:00
作業

10:50 - 12:25
作業

12:00 - 12:45
昼食*

12:25 - 1:10
昼食

12:45 - 2:30
作業

1:10 - 2:40
作業

2:30 - 2:40
休憩

2:40 - 2:45
リフレッシュ体操

2:40 - 2:45
リフレッシュ体操

2:45 - 2:55
休憩

2:45 - 3:50
作業

2:55 - 3:45
作業

3:50 - 4:00
業務報告と帰りの準備

3:45 - 3:50
業務報告と帰りの準備

*昼食時間は時差式で5グループに分かれる

表4:利用者の日課と個別日課例


授産科目

ぽこ・あ・ぽこの授産科目(仕事)は、表5の通りである。なお、この授産科目の多くは、大手メーカーと直に業務契約を行っているものであり、納期・品質については厳しい基準が課せられている。作業内容は簡単な工具・用具を使った手作業の仕事が大部分である。

名称 詳細
解体 PC部品(HD,FD,キーボード etc.)をリサイクル用に解体・分類
ヒンジ 冷蔵庫のドアの蝶番部品に保護用のシートを貼る
袋づめ コピー機の保守用部品を型番シートと一緒に梱包
コネクタ 電気機器の部品、コネクタの組立・チェック
印刷 簡易印刷と無線綴じ製本、封筒づめならびにDM発送
清掃 ビル・メンテナンスの日常清掃
ギフト ギフト商品の分類・包装・梱包
その他 複合交通空間の緑化など

表5:授産科目一覧

(志賀 利一)


社会福祉法人 電機神奈川福祉センター
通所授産施設ぽこ・あ・ぽこ
〒235-0032 横浜市磯子区新杉田町8-7
Phone 045-772-2100 FAX 045-771-3334


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