作業の基本的な工夫

通所授産施設ぽこ・あ・ぽこでは、作業室でさまざまな仕事を行っています。
作業の手順を学習しやすくするため、一度覚えた手順を忘れないように、
そしてミスを少なくするためにさまざまな工夫を行っています。


写真・部品の名称

とにかく物には名前が必要

あらゆる部品や用具には正式な名前が必要です。人によって呼び名が違うと、知的障害をもつ人の学習はすすみません。写真は、作業室で使う部品の名前を知らせるための掲示板です。「ふた」とか「ケース」という基本的なことばから「ジグ」といった専門用語まで、操作的に定義してしまいます。

手が痛くなる場合もある

上の部品の作業では、当初、ケースにコアを詰めるのは手作業でした。ところが、何時間もこの作業を続けると、コアをエースに押し込むことで親指に痛みが生じます。そこで登場したのが、左の補助具です。材料は、書道の筆の柄の部分にグリップとして適当な木材を取り付けたものです。これを使えば、指の痛みなしで、作業を連続して行えます。

写真・組立ジグ

写真・接着剤注入ジグ

接着剤の注入も難しい作業

ケースにフタを閉める際に、フタが決して外れないように接着剤を注入します。その時、どこに、どれくらいの量の接着剤を必要とするかを教えるのが課題となりました。最終的に、注射器で、コアの左右の端に2ヶ所だけ接着剤を注入できるように透明のプラスティックケースを作りました。利用者は、穴の開いた部分に注射針を挿入し、一押しすればいいのです。

完成数を数えるジグ

上記と同じ作業の終わりの方の工程に使うジグが左のものです。これは、数のカウントができない利用者向けに、100個ケースにコアを詰める作業がいつ終了するかを教えるものです。このジグいっぱいに完成品がたまれば、利用者は記録用紙に1個のチェックを行います。そして、1日の終わりにそのチェック数を数えて、総生産量を業務日誌に書くのです。

写真・100個ジグ1

写真・100個ジグ2

別の100個ジグ(試作品)

もう少し大きな完成品ができる作業の100個ジグです。これは、コピー機のサービスパーツをビニール袋にパッキングし、それを100袋単位で梱包する際に使ったものです。当初は、職員が行っていた工程を、このジグを使えば、100個の数を正確に数えられない利用者でも任せることが可能になりました。

別の100個ジグ(完成品のジグ)

上のジグと全く同じ目的で使うジグです。上記の試作品(職員が手作業で雑に作ったジグ)で、利用者が十分使えると判断したため、木型を作る工場に依頼し、耐久性や見映えの優れたジグを作成しました。出来上がりは左のきれいなジグです。ただし、残念ながら、このジグが完成した頃には、この仕事の受注がなくなりました。ガッカリですが、良くある失敗例です。

写真・100個ジグ3

写真・100個ずつ提示

作業開始前に正確な準備

コピー機のサービスパーツのパッキングはすべて100個単位でひとつの仕事としています。左の写真は、ビニール袋にラベルを差込む、最初の工程の材料のセッティングです。この段階で、ビニール袋とラベルを100個単位で小さな容器に入れて利用者に提示します。こうすることで、この工程で個数ミスを発見できます(例:ビニール袋が1枚残ればラベルをどこかに重ねて入れた可能性がある)。

その都度変更する数量指示

この受注作業は、少量で多様な加工を行うため、左の黄色い紙に書かれたものが作業指示書になっています。これでは、利用者に理解できません。そこで、記録用紙兼用のオリジナル指示書が下のA4の紙です。12ミリテープを使い83枚をテープ貼りしなさいという指示です。83番目のセルの横に三角のストップサインがついています。

写真・数の指示書

高級な数量指示

これは、断裁機のような工具を使いプラスティック状のボードの角を丸める仕事です。何枚のボードを行ったかは、右上のカウンターを押すことで確認するようにしてあります。このようなカウンターを使って、数量を管理することができる費とは非常に有能な方です。

一定の長さにテープをカットする

これは、一定の長さに両面テープをカットするためのジグです。このジグに至るまでには、担当者はいくつものジグあるいは試作品のジグを作っていました。私たちだって、「はさみで、セロテープを1.5センチに大量に切る」ことが求められれば、長さの長短の誤差は大きくなりますよね。それを予防するために、一度のカッターで切る方法です。

写真・テープカットジグ

写真・自動テープカット機

手作業ばかりが良いわけではない

上と基本的に同じ作業ですが、求められるテープの長さがもう少し長くなると、電動のテープカッターを利用します。写真は、右側が5センチ、左側が3センチで切れるように設定されていて、それぞれ指示された個所に貼っているところです。機械の方が手間はかからないし、スピードも正確さも抜群ですからね。

中央にまっすぐラベルを貼る

右のジグは、金属の基盤に注意書きのシールを貼る作業に使うジグです。1枚ずつジグの上に基盤をのせ、プラスティック製のガイドのドアを閉めて、「ご注意」という文字に合わせてシールをそのガイドの下に貼ると、きれいな完成品ができる仕組みです。10枚程度ならきれいに貼れる人でも、1日に500枚求められると、雑になるものです。これがあれば、それが予防できます。

写真・ラベル貼りジグ

写真・DMラベルジグ

はがきの宛名シールも同様に

はがきの宛名シールも同様なガイドつきのジグを使います。ただし、封筒や発注先によりどこに貼るかが変わってきます。このジグは、基本形は同じなのですが、ジグの下に厚紙(文字が書かれている)を敷き詰めて、いくつかのパターンでも応用できるような、汎用宛名シールジグを目指したものです。

より精度が求められるシール貼り

宛名シールなどは、若干のずれがあっても致命的なミスには結びつかないのが一般的です。しかし、右のシールのように穴の位置をきっちり合わせることが求められると話しは別です。ジグには、シールのずれが最小限になるように3面が固定されるようなものにしてあります。

写真・シート貼りジグ

写真・印刷ページ合わせジグ1

両面印刷で裏表のずれをなくす

印刷の作業では、両面印刷が求められる場合が多いのです。大きな印刷所では高額な設備が導入されていますので、このようなジグは必要ありません。ただし、私たちのところのようにニッチな印刷では、手作業で裏表を合わせる技術が必要になります。リソグラフを使った印刷の例を紹介です。この前後左右が書かれたボール紙の真中には穴があいています。

バックライトに照らして

このようにバックライトで照らして、ジグの穴から見えるページ番号のずれを調べるのです。そして、裏面のページ番号が表面の番号より、前後左右どちらにずれているかを判断します。

写真・印刷ページあわせジグ2

写真・ページ合わせジグ3

左右にずれた場合

もし、左右のどちらかにずれが見つかった場合、リソグラフの正面にある矢印を1回押してテストプリントします。たとえば、右にずれていたなら、右の矢印を1回押します。そして、再度上のジグの穴でずれを判断します。

上下にずれた場合

上下のどちらかにずれが見つかった場合も同様です。そのときは、リソグラフの給紙側のダイヤルを回します。そして、テストプリントして再度調整するかどうかを判断します。

このジグは、利用者だけでなく職員にとっても非常に便利なものです。

写真・ページあわせジグ4


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