日本の障害者雇用の原動力である障害者の雇用の促進等に関する法律
の中にユニークな制度があります。いわゆる「特例子会社」です。
この特例子会社に関して日本経営者連盟がはじめて調査を
行っています。ここでは、その概要を簡単に紹介します。
「障害者の雇用の促進等に関する法律」では、法定雇用率が設定されており、事業主にとってはこの数値が障害者雇用の1つの目安になっています。そして、障害者の雇用義務は法人単位(個々の事業主単位)に課せられるものです。ですから、たとえある会社の100%出資の子会社で障害者を雇用したとしても、親会社の雇用率のカウントに加えることはできません。
しかし、一定の要件を満たせば、子会社で雇用した障害者を親会社の雇用カウントに含むことができます。これが、「特例子会社」です。特例として認可されるための要件を、以下にまとめます。
つまり、親会社の経営に関しては親会社が責任をもって支援すること(むやみに潰してはいけませんよ)、そして独自の雇用管理を行い障害者、特に重度障害者や知的障害者の雇用拡大ならびに定着を行いなさい、という要件です。特例子会社の詳細については最寄りの公共職業安定所に相談してください。
日経連(会長 根元二郎)は、1997年10月より労務法制部内に「障害者雇用相談室」を開設しました。そこでは、障害者雇用を検討ならびに行っている企業を対象に、相談・援助の業務を行っています。この障害者雇用相談室の業務の一環として、「特例子会社の経営に関するアンケート調査」を実施しました。
特例子会社の経営実態を把握することにより、
1998年2月(1月現在の状況について)
調査時点で特例子会社の認可を受けていた全国82社に、アンケート用紙を送付し、特例子会社の経営に直接携わる人に記名で回答してもらいました。
アンケート調査内容は、大きく以下の6項目に分類することができます。
82社中、有効回答数は65、回答率は、79.3%です。
我が国では、障害者の雇用の促進と職業の安定を図ることを目的とした、「障害者の雇用の促進等に関する法律」があります。この中に、特例子会社の制度が規程され、特に「障害者の雇用に特別な配慮がなされた事業所で、障害者自身が有する能力を最大限に発揮できる機会を増大させる」役割を担っています。今回の調査では、現状の特例子会社は、この役割をかなり果たしています。
「障害者の雇用の促進等に関する法律」は、法的義務として障害者雇用率が設定されています。今回の調査では、多くの親会社は、この法定雇用率の達成以上の社会的責任を意識して、特例子会社を設立・経営していることがわかりました。
障害者雇用の推進を目的とした会社ではあるが、特例子会社はあくまでも独立採算制の別法人です。今回の調査では、多くの会社が創意工夫により効率的な会社経営が行っており、さらに今後も事業や受注拡張を目指していることがうかがわれます。
特例子会社の経営は親会社との関係によって成り立っています。法律で規程されている「役員派遣」以外にも、「仕事の受注」や「施設等の共用」など、親会社との密接な関係をもっています。また、さらなる「人的交流」を望んでいる会社も多いようです。
障害の特性に合わせてどのような配慮を行なっているかを調べるために、@障害の種類による職務内容、A特定の障害の種類を中心に雇用をすすめている特例子会社のデータをまとめました。障害の種類により、業務内容や設備の改善、そして雇用管理の方法など特色が表れており、特例子会社では障害特性に合わせた経営が行なわれていることがうかがわれます。
このアンケート調査のうち、特に特例子会社における知的障害者雇用に焦点をあてて、結果をまとめてみます。なお、今回の調査では、知的障害者は「肢体不自由」「聴覚障害者」に次いで3番目に雇用数が多い障害の種類で、全国で281名の知的障害者が特例子会社で働いています。
特例子会社で働いている職種のベスト6は以下の通りです。
特に、軽作業では「部品の組立」や「梱包・包装」などの仕事を行っている場合が多いようです。特徴的な点として、会社の業種としては製造業であっても、社内のメール配送や仕分け、社員の名刺印刷、工場内の緑化・清掃など、いわゆる周辺業務を集約して彼・彼女らの活躍の場を作っている特例子会社がいくつも見られた点です。
雇用されている障害者のうち、約9割が知的障害者単独の特例子会社が全国で5社ありました。どの会社も、1990年代になってから特例子会社になったもので、最近のトレンドでもあるようです(事実、この調査以後も知的障害者を対象とした特例子会社はいくつか誕生している)。
知的障害者を中心に雇用している会社は、最も多い肢体不自由中心の特例子会社と比較して次のような特徴があります。
この日経連が行ったアンケート調査は、特例子会社に関する調査報告書としては、初めてのものです。特例子会社の現状や経営状況あるいは設立経過など、経営に関する多面的な結果がわかる、貴重な資料だと思います。さらに詳細な情報を収集したい方は、私宛にメールを送るか、日経連障害者雇用相談室(03-3213-4485)に連絡してみてください。
(志賀利一)