* 名古屋地判 平成 2.10.19 判例時報1375号118頁
本件は、賃貸人が賃借人に対して、未払い賃料の他、修繕特約と損害賠償特約に
基づき、温水器の取替え費用や畳などの修繕費用を求めた事案の控訴審判決です。
《賃貸人が請求した修繕費用等詳細》
1. 温水器の取替え費用 18万5000円
2. 畳の張替え(12畳分) 4万2000円
3. 襖の張替え 1万7600円
4. 障子の張替え 5000円
5. クロスの張替え 28万2000円
6. 絨毯の張替え 13万7600円
7. ドアのペンキ塗替え 2万0000円
《本件特約の内容》
* 修繕特約
→ 建物の専用部分についての修理、取替(畳、襖、障子、ガラス、照明器具、
スイッチ、壁、床、その他の外廻り建具を含む建具、浴槽、バーナーを含む
風呂釜、その他の小修理)は賃借人の負担において行う。
* 損害賠償特約
→ 賃借人は、故意過失を問わず建物に毀損、滅失、汚損、その他の損害を
与えた場合は、賃貸人に対し損害賠償をしなければならない。
《判旨》
+ 温水器の取替費用について、
賃貸人は温水器が修繕特約にいう風呂釜に該当すると主張するが、温水器は
長期の使用が予定され取替費用も高額であること、また本契約では礼金50万も
支払われていることなども考慮すると、当該温水器は修繕特約にいう風呂釜に
当たらないと解すべきであり、賃借人にその取替費用を負担させる根拠はない。
+ その他の修繕費用について、
修繕特約は賃貸人の修繕義務を免除するものと解すべきで、積極的に賃借人
に修繕義務を課したものと解するには、さらに特別の事情を要する。また、
損害賠償義務には、通常の使用によって生ずる損耗、汚損は含まれないと
解すべきである。なお、原状回復義務から直ちに修繕費用の償還義務を導く
こともできないと解される。 クロスの張替えについては結露による汚損が
原因とされており、この点につき賃貸人は賃借人が換気をすれば防ぐことが
できた旨及び特約により賃借人の過失の有無を問わず賠償責任がある旨主張
するが、結露は一般的に建物の構造的な条件により発生するものであり、
特別の事情のない限り賃借人の責めに帰すことはできない。ドアについては
通常の使用による以上の汚損(子供が貼った多数のシールが剥がれず、
シールを削り取る必要があった)が認められる。
+ 以上のことから検討するに、賃貸人の修繕費用の請求については、ドアの
ペンキ塗替えに要した費用相当額2万円の損害賠償を求める部分につき
理由があるが、それ以外は認めることができない。
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