★ やさしい少額訴訟

 1. 少額訴訟制度とは?

 少額訴訟制度とは、60万円以下の金銭の支払いを求める訴えについて、 その額に見合った少ない費用と時間で紛争を解決する訴訟制度です。各地の簡易裁判所において 裁判が行われ、原則としてその日のうちに審理を終え、判決が出されます (平均して1〜2時間程度。ただし訴えを提起してから実際の審理が行われる日までは、平均して40日ほどかかります)。 通常の訴訟と異なり、簡易迅速な解決を図るために特別な手続が用意されています。




 2. 少額訴訟の主な特徴

 少額訴訟制度の特徴については、主に以下のようなものがあります。
  • 60万円以下金銭の支払いを求める訴えに限られます。
    (具体的には、敷金返還、賃金請求、売買代金請求、損害賠償請求などがあげられます。)
  • 被告は、少額訴訟手続ではなく、通常の手続で審理をするように申立てることができます。
    (ただし被告が最初の審理の期日において弁論したりすると、この申立てはできなくなります。)
  • 原則として一日(最初の口頭弁論の期日)で審理を終えるため、 その日までに全ての証拠を提出しなければなりません。よって当事者は事前に十分な準備をしておく必要があります。
  • 少額訴訟の判決は、原則として審理終了後直ちに言い渡されます。
    また、判決には支払の猶予や分割払いの定めが付されることがあります。
  • 判決に対しては上の裁判所(地方裁判所)に控訴をすることは出来ず、原則として、 その少額訴訟をした簡易裁判所に対して異議の申立てをすることのみが認められます。
 なかなか複雑な特徴を持つ手続のようにも思えますが、自分が主張したいことやその証拠などが揃ってさえいれば、 あとは裁判所書記官や司法委員の方の助けのもと、裁判官の指揮にしたがって訴訟を進めればよく、 たいていの場合特別な知識はほとんど必要ありません。

 3. 審理の様子

 少額訴訟の法廷では通常の訴訟とは異なり、丸いテーブル(ラウンドテーブル)に 裁判官から原告・被告まで、全ての当事者が一緒に座り、対話をするような雰囲気で審理が進められます (残念ながら裁判所の設備の関係で、ラウンドテーブルで 審理できない時もありますが)。 裁判官は法服も身に着けず、当事者も「原告・被告」* ではなく 名前で呼ぶなど、和やかな雰囲気で審理が行われます。和やかとはいっても、もちろん通常の 訴訟と同様、公正な判断がなされるということは言うまでもありません。当事者は訴訟の主役として、 十分に意見を出しあうことが大切です。 (裁判官によっては、法服を身に着けていたり、便宜上、当事者を「原告・被告」* と呼ぶ場合もあります。)

* 民事訴訟において『被告』というのは、『民事訴訟で訴えた側の人(原告)』に対し、 「民事訴訟で訴えられた側の人」という意味で便宜上そのように呼ばれるだけであって、 「疑われている人・悪いことをした人・罪を犯した人」などといったような意味は全くありません。




 4. 少額訴訟提起にかかる費用

 少額訴訟の提起においてかかる主な費用は、 裁判所へ納める申立て手数料と、 郵券代です。 申し立て手数料は、以下のとおりです。

(円)
訴額 〜10万〜20万〜30万 〜40万〜50万〜60万
手数料 100020003000 400050006000
訴額 〜70万〜80万〜90万 〜100万〜120万〜140万
手数料 700080009000 100001100012000


 郵券とは切手のことで、訴状の送達や、呼出状、判決の送付などに使用されます。 この郵券代は、だいたい3000〜5000円程度です。
 これらの申し立て費用や郵券代等の訴訟費用は、原則として敗訴者が負担します。 よって訴え提起の時点では、原告が立て替えるかたちになります。 なお、弁護士費用や、訴状作成を司法書士に依頼した場合の費用などは 訴訟費用には含まれず、原則として当事者各自での負担となります。 その他、算出が不明瞭な細かな費用(細かな交通費、電話代等)も 当事者各自の負担になる場合があります。

 5. 傍聴してみよう

 少額訴訟は簡易裁判所で行われます。少額訴訟の雰囲気を知るために、 傍聴に行ってみましょう。傍聴は誰にでもでき、特別な手続は一切必要ありません。 簡易裁判所内の各法廷の入り口に貼ってある紙に“少コ”と書かれてあるものが少額訴訟です。 あとは書かれてある審理の開始時刻にその法廷に入れば、傍聴をすることが出来ます。特に傍聴者の方がしなければならないことは、書記官の方の号令に合わせ 「起立、礼」をすることだけです。もちろん傍聴者としてのマナーを守らなければならないことは言うまでもありませんが (傍聴するうえでの注意点は、法廷の近くに掲示されています)。 なお、和解の手続きは傍聴できませんので、審理が和解に入ったときは裁判所の方の指示に従い退廷して下さい。

 6. 市民の生活の道具 ! 詳しくは . . .

 少額訴訟であれば、弁護士の方などに訴訟を依頼しなくとも、本人自身の手で訴訟の追行は十分可能です。 実際、少額訴訟において弁護士の方が代理人となる事例は全体の数%程しかありません。 とは言うものの、前提となる法律はやっぱり難解なもの。複雑な争いごとであれば、安易に訴訟を提起する前に、各種相談機関でアドバイスを受けるなど、訴訟という最終手段に出る前に、 できる限りの手は尽くしておくべきです。そして少額訴訟に訴えることになった場合には、 まずは簡易裁判所の相談窓口を利用してください(手続的な相談)。また、弁護士や司法書士の方々に 相談してみるのも良いでしょう。しかし、少額訴訟制度自体は難解なものではありません。 和解で終わることも多く市民紛争の円滑な解決手段になるものとして期待されていますし、 傍聴をしてみれば親しみやすい裁判であるということがすぐに分かるでしょう。 少額訴訟の裁判は、映画などでよくあるように激しく怒鳴り合って相手方をやっつけてしまうようなもの では決してありません。 少額訴訟制度は、行き詰まった市民間の紛争を裁判所という公平な機関の判断に委ね、法律に基づいて自分の権利を実現するための、 まさに『市民の生活の道具』であると言うことができるでしょう。



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