中・下流部の橋景色

 多摩川の渓谷部を下って市街地に入ると、古くからの“渡し”に替わって架けられた数々の著名な橋があります。
 これらの橋は、経年による老朽化に加え、沿川市街地の交通量増加に対応する必要から、従来の橋を広げての架け替えや、橋の間隔を小さくする新たな架橋が、積極的に進められています。
 特に多摩川の中流域にある立川市、日野市、国立市、府中市、多摩市、稲城市、調布市、狛江市では、急激な市街地の拡大等で、多摩川に架かる橋梁付近での交通渋滞が恒常化し、地域の生活に支障を招いていました。
 沿川市の強い要請もあって、昭和年代の末から多摩川中流部の橋梁整備事業として、集中的に推進されることになりました。

 この中流部橋梁整備事業では、従来の日野橋上流に立日橋が、多摩川原橋と是政橋との間に稲城大橋が、そして関戸橋の上流には府中四谷橋と、3橋が新設されました。
 また、従来が往復2車線であった橋を、4車線に拡幅しながら架替る橋では、多摩水道橋平成13年3月には完成し、多摩川原橋、是政橋も拡幅する2車線分の新しい橋は既に完成し、現在は、これまで使われていた橋梁部の架替えに入っています。

 これらの事業により、交通渋滞が著しく緩和されたのと同時に、新たに生まれたランドマークや歴史を刻む橋が装いを新たにして多摩川を飾っています。ここでは、中流部の橋景色を中心に、幾つか紹介します。

 





立日橋 Tappi-bashi
 中流部橋梁整備事業で最初の新設橋として平成2年3月に完成しました。甲州街道と新奥多摩街道を結び、立川駅にもまっすぐ通じています。橋長が417メートルの鋼箱桁橋で、車道は4車線です。 また、上下車線の間には、多摩都市モノレールの支柱が橋脚と一体構造でつくられています。
 多摩都市モノレールは、平成10年11月にJR中央線立川駅から、東大和市の上北台駅までの5.4キロが開通し、この立日橋を通過して、多摩ニュータウンにある多摩センター駅(京王・小田急線)までの10.6キロが12年1月10日に開通して、当面の全線開通となりました。


稲城大橋 Inagi-ohashi


 中流部橋梁整備事業での新設橋としては2番目に完成した橋ですが、東京都で初めての有料の橋として、平成7年3月に完成しました。
 この橋は、そのまま中央高速道路に出入りできるよう、連絡路が設けられています。
 橋長が351.7メートルの鋼床版箱桁橋で、桁の高さに曲線で変化をもたせています。


府中四谷橋 Fuchu yotsuya-bashi


 多摩川中流部橋梁整備事業の新設橋としては3番目になり、平成10年12月17日に開通しました。
 開通に先立って13日には、地域をあげて完成のお祝いが橋上で行われました。
 橋は、多摩ニュータウン地域と、中央高速道路の国立府中インターや甲州街道とを結ぶ、新設道路の整備に合わせて設けた橋です。
 幅員28.2メートルの4車線の橋で、中央に路面から高さ61メートルの主塔を2本もつ斜張橋です。橋長は446メートルあり、主塔から7段のケーブルが張られ、鳥の羽ばたきを感じさせます。


多摩水道橋 Tamasuido-bashi
 東京都狛江市と川崎市を結んでいる世田谷通りに架かる橋です。上段左の写真で手前に見える橋の下に、直径1.8メートルという大きな水道管を収容していることから、橋名にもなっていて、新しい橋にも収容されています。
 昭和28年完成のこれまでの橋は2車線でしたが、4車線の橋にするため、先に上流側に新しい2車線の橋を架け(平成7年に完成)、交通を移してから元の橋を架け替えて4車線としました。 橋長358.8メートルあるローゼタイプのアーチ橋として平成13年3月25日、全てが完成して生まれ変わりました。 当日には両岸地域の方々による祝賀の催しが橋上や河川敷で盛大に行われ、翌26日に開通を迎えました。


多摩川原橋 Tamagawara−bashi
 稲城市と調布市を結ぶ鶴川街道に架かる橋で、昭和10年に完成したこれまでの橋は2車線であることから、架け替え工事では4車線にしています。 新しい橋は、橋長401.5メートルで増設する2車線分の橋が平成10年3月末に完成して交通が切り替えられ、これまで使われていた橋の架け替え工事が始まっています。
 写真で左手(上流側)に見えるのアーチ橋は、水道管を渡す橋で、近接しているために景観的に干渉しないよう鋼箱桁形式というシンプルな形式になっていますが、橋脚付近では桁が路面より上に出る中路式になっています。



是政橋 Koremasa-bashi
 
 府中市と稲城市を結ぶ府中街道に架かる橋で、現在の橋は昭和32年に完成した鋼I桁の橋でした。車道は2車線であったため、架け替え工事では4車線化を図っています。
 新しい橋は橋長が401メートルの斜張橋となります。
 平成5年から進められていた上流側への新しい2車線の橋が10年5月17日に完成し、地元の方々でお祝いの式典などが催され、翌日から交通が切り替えられました。現在は、これ迄使われていた橋の部分の架け替え工事が進められていきます。

【下流部の橋から】
丸子橋 Maruko-bashi
 丸子橋は、東京都と川崎市を結ぶ中原街道に架かる橋です。これまでの橋は下路式鋼アーチ橋の3径間と、上路式のコンクリートアーチ橋の9径間が連続した美しい景観の橋で、昭和9年に完成したものでした。その景観は東海道新幹線の車窓からも眺められ、永く親しまれて来ました。 しかし、老朽化が進んだため、平成4年度から4車線化と合わせて架け替え工事が始められました。
 工事は下流側に2車線の仮橋を設け、交通を切り替えてから行われました。  新しい橋は、鋼ローゼ桁橋(2連)と3径間連続PC箱桁橋で、全長が405.6m、幅員が25,0mの橋として生まれ変わりました。PC箱桁橋の区間は、デビダーク工法で架設されました。
 平成12年6月10日には両岸に住む多くの人々の参加のもとで開通祝いが行われ、翌11日に開通しました。

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