隅田川に架かる橋

 隅田川は、大江戸で消費する生活物資を運び入れる大動脈であると同時に、春の花見や夏の船遊び、そして向島、浅草、浜町といった川沿いの遊興地の繁栄にもかかわってきました。その様子は、多くの詩歌や錦絵などにも登場しています。

 江戸の初期には、戦略上の要因から江戸周囲の大きな川には橋を架けなかったようですが、隅田川では奥州街道に当たる千住大橋が早くから架けられています。やがて江戸の政権安定で、まちは隅田川を東に越えて本所や深川に広がっていきました。そのため、隅田川の東西を結ぶ要所には、幕府によって両国橋、新大橋、永代橋が架けられ、また町民の力による吾妻橋が架けられて、隅田川5橋と呼ばれていたとか。

 それらの橋は木材を使用しているため、洪水による流失以外にも、江戸で多かった火災での焼失もあったようです。そこで架け替えに備え、新大橋、永代橋、吾妻橋の3橋では、武士と一部の者を除いて通行料をとっていたといいます。 これらの橋は、明治時代なって木橋から鉄橋に架け替えられていきましたが、橋の床などに木材が使われていたために、大正12年に起こった関東大震災では、床にコンクリートを使っていた新大橋以外の橋は壊滅的となりました。

 この震災復興では、損壊した橋の架替えや新設など、多くの橋梁工事が行われました。架橋に当たっては、耐震・耐火性の向上、路面電車や車輛など新たな利用交通にも対応させながら、それぞれに個性を持った橋を誕生させました。大正15年には永代橋が完成し、昭和2年に蔵前橋、駒形橋が、そして昭和3年に清洲橋が完成しています。
 この震災復興での橋梁工事は、今日、橋の博物館とも呼ばれる橋梁群を形成するきっかけとなり、我が国橋梁技術の著しい進歩と、貴重な技術遺産を残す機会になったと言えます。
 
このうち永代橋と清洲橋は、後に架設(昭和15年完成)された勝鬨橋と共に貴重な建造物として、平成19年に国の重要文化財に指定されています。

 近年、隅田川では親水テラスや緩傾斜の親水護岸の整備が進む一方、川の水質も浄化が進み水辺の環境が大きく変わってきました。そして改善された環境に呼応するように川沿いでの再開発などが進行し、高層化された近代的ビルの立ち並ぶリバーサイトの景観が生まれてきています。 中央大橋など最近架けられた橋は、新しく生まれ変わった周辺環境にふさわしい橋景色を見せています。

 また、隅田川花火大会や早慶レガッタの復活、桜祭り、川辺での音楽祭、遊覧観光船の就航など隅田川はまさに都民の憩いの場としてよみがえりつつあります。

 

隅田川の橋 と 形           橋の完成年 と 主構造  ※ 初代の橋欄での空白は、現在の橋が初代  
 橋 名 初代の橋   現    在   の   橋     
@〜D 主 構 造 大 正 昭     和 平   成
江戸時代 1〜15 1〜10 11〜20 21〜30 31〜40 41〜63 1〜10 11〜
 新神谷橋 鋼ゲルバー鈑桁、
鋼箱桁、 鋼鈑桁、
★42
 新田橋 ・昭和16年 5径間連続鋼鈑桁、 ★35
 豊島橋 ・大正14年 鋼床版鋼ローゼ桁、
 小台橋 ・昭和8年 ニールセンローゼ桁 ★6
 尾久橋 3径間連続鋼鈑桁 ※43半幅
★54
 尾竹橋 ・昭和8年 3径間連続鋼ローゼ桁 ★8
 千住大橋 @1594年 単純鋼タイドアーチ桁 ★2
3径間連続鋼鈑桁 ★48
 水神大橋 3径間連続鋼ニールセンローゼ桁 63★
 白鬚橋 ・大正3年 鋼タイドアーチ桁、
単純鋼トラス桁、
★6
 桜 橋 3径間連続鋼曲線箱桁 ★50
 言問橋 3径間ゲルバー鋼鈑桁 ★3
 吾妻橋 D1774年 2ヒンジ鋼アーチ桁 ★6
 駒形橋 2ヒンジ鋼アーチ桁 ★2
 厩 橋 ・明治7年 単純鋼タイドアーチ桁 ★4
 蔵前橋 2ヒンジ鋼アーチ桁 ★2
 両国橋 A1661年 3径間ゲルバー鋼鈑桁 ★7
 新大橋 B1694年 2径間連続鋼斜張橋 ★51
 清洲橋 連続補剛鈑桁吊橋 ★3
 隅田川大橋 3径間連続鋼箱桁 ★54
 永代橋 C1698年 バランスド鋼タイド      アーチ桁 15★
 相生橋 ・明治36年 鋼プラットトラス桁 ★11
 中央大橋 2径間連続鋼斜張橋 ★5
 佃大橋 3径間連続鋼箱桁 39★
 勝鬨橋 跳開式鋼鈑桁、
鋼タイドアーチ桁、
★15
 全長23キロメートルの隅田川には、上の図のような25の道路橋(首都高速道含む)があり、およそ1kmに1橋の割合になっていますが、約半数が浅草付近より下流部に集中しています。
 
なお、上記に掲載して以降、上流部にある新田橋の下流側に「新豊橋」が、そして千住大橋の下流側に「千住汐入大橋」が新たに完成し、今は27橋となっています。

 隅田川の橋には、いわゆる著名橋と呼ばれる橋も多く、近年補修を兼ねて景観整備が施され、6橋ではライトアップ゚もされて、川面に写るすばらしい橋景色を醸し出しています。

 下流部の橋景色へ

 [メニューへ戻る]

東京の橋景色