揖斐郡池田町K様邸造園工事について

印象的な赤い屋根の家の隣に
サイドカーを格納する小屋がありました。
そのサイドカーを出し入れするのに
充分な動線を確保すること
敷地の真ん中を通る町道の改修を
自費工事で同時にすすめること、
玄関ポーチから町道をはさんで
反対側にある駐車場を庭として家と
つながりを感じる場所にすること
などが課題でした。
お子様達は順番に大きくなられて
すぐに次々と車に乗られるで
あろうというご家族のお庭です。





最初の図面です。




着工前の様子。




左がサイドカーが入るガレージです。




ぱっと目に付く素敵なお家です。
 奥の江戸時代に建てられた母屋もすばらしいです。








まずぼろぼろになった町道のアスファルトをはつって
土地の排水を改善しなければなりませんでした。
もともと雨水も樋から地面に流すだけでしたので
側溝がどこにもなく、雨が降ると長靴の半分まで水につかって
駐車場の車に乗り降りするくらい排水の悪い場所でした。
メインの町道がどんどん高くなっていった結果、
土地が低くなってしまって窪地のようになってしまっていました。
ほとんど無いに近い勾配をパイプの太さを変えて高いところにある
たった1箇所の小さな排水口におくらないといけませんでした。
ですので、なるべく自然排水も促すように様々な形で
排水場所を庭の中に隠しました。





庭師が排水設備だけに数日を費やして確実に
水が流れるよう丁寧に調整しました。








この庭のメインの石工事の前に玄関ポーチの
要らない部分を削りました。
それから石の造形の対となる鉄の手すりをまず
とりつけました。




石工事の間はスタイロフォームで作ったベンチの
型を置いて位置を確認しました。





木曽石の荒目を使っています。
裏は緩やかな凹で表はかすかに凸の形です。





石の稜線は手すりの鉄のアールとユニソンで
動いて行くのでとても制約が多い石積みです。
しかも丸い柱を組み込まないといけません。




石のほとんどの面を割って積みました。
何日何日もかかって積み上げました。




これはガレージ横の立水栓の周りです。




ガレージ前の花壇の石積み。
ここから石積みが始まって立水栓に形を変え、
ガレージ前の壁になってなだらかにゼロになって
平面の石張りのなかに溶け出すようにまた石が広がる・・・
という石のトランスフォームをつくってもらいました。









建物側の庭の形が出来上がってきました。
樹木も入りました。




石張りの中に白い排水枡は興ざめなので
75mmにスライスした枕木で蓋をつくりました。




まだまだ石工事があります。
車が乗る場所なので厚さ10cm以上の大判の鉄平を使います。
石の目地は先述したように自然の排水を促すために深く残して
目地にはあとから採集した苔をつめます。 




この鉄の蓋も自然排水のために設置しました。
中は空池になって排水管からあふれた水を調節するようになっています。







ベンチがきました。




石のラインが右に消える瞬間、ベンチのラインが左にうまれる。
リニアーなアールの連続。




ベンチの座面の板はパズルのようです。
アイアンウッドを加工して葉の葉脈を表現して
もらいました。 阿部工房さんのアイデアです。





ベンチのポールの先には銅でできたたんぽぽが
咲いています。最初にお施主様にお目にかかったときに
足元に咲いていたのでデザインしました。
たんぽぽは種はふわふわ飛んで自由だけれど、身体は長く長く地中に根をのばし
てそこでどっしり構えているので・・・わりと好きです。









六方石の立水栓の柱の穴はこんな風にあけてもらいました。





蛇口を付けて。








町道部分と駐車場の一部に自然砂利のカラー
アスファルトを敷きました。
町道との境目にはカッターを入れておきます。
土の道のようで優しげです




古い水銀灯もナトリウムランプに変えて
柱も塗りなおして使用することにしました。
もちろんお隣の田んぼの稲穂が出るまでは夜間は
点灯しませんが、 冬などは町道を通る方も安心でしょう。





郵便受けも新たに付けました。








中庭にはこのような薪ストーブのための置き場を3基つくりました。
設計者(私)が現場を見に来るついでにぼちぼち建てました。





薪を入れてもらったら薪置き場らしく見えました。
薪置き場の前はまき割りができるように
土間コンの洗い出しをしました。
石は裏のお蔵の脇に転がっていた
石を拾ってきてつかいました。








先述のようにどこにも排水がないので普通に
お水でジャージャー洗い出しができません。
庭師さんがセメント水が出ないようスポンジで丁寧に丁寧に
ノロをふき取って仕上げました。
打ちたてとは思えないほど小さな粒や大きな粒が
星雲みたいにみえてきれいです。





これも自然排水の確保の例です。
枕木と枕木の間に土を入れてタイムを植えました。
緑も多くとれるし車も止めることができます。
お施主様はタイムを気遣ってしばらく車を止めずにいてくださいました。


4月の中ごろから工事が始まって完成したのが
9月の中旬でした。 工事を担当してくださった庭師さん、
各工事の方々、 毎日お茶を出してくださった奥様、
そして小さな造園会社を信頼して工事を任せてくださった
お施主様、本当にありがとうございました。