2006(平成18)年度〜2011(平成23)年度

《前期2006〜2008年度》《後期2009〜2011年度》

基幹運動総合基本計画

T.目標 : 御同朋の社会をめざして


「御同朋の社会」とは、いのちの尊さにめざめる一人ひとりが、それぞれのちがいを尊重し、ともにかがやくことのできる社会です。
 

U.スローガン : ともにいのちかがやく世界へ

 

V.基幹運動の願い

 

【基幹運動とは】

 浄土真宗は、あらゆるいのちをすくいたいとの阿弥陀如来の願いをよりどころとし、南無阿弥陀仏のはたらきによって信心をめぐまれ、お念仏の人生をあゆみ、私が浄土で仏に成る教えです。そして、いのちあるものが、如来の智慧と慈悲とに照らされ包まれた御同朋であることを知らされることです。そこから、如来のみこころにかなう生き方を志す私の新しい人生が生まれ、混迷する現代社会の課題に向きあい、乗り越えてゆく原動力となるのです。
 私たちの教団は、浄土真宗のみ教えのもと、基幹運動を推進しています。
 基幹運動は、門信徒会運動と同朋運動をその内容として展開してきました。
 門信徒会運動は、親鸞聖人700回大遠忌を契機として、形骸化した教団の状況に対する危機感から、「全員聞法・全員伝道」を願いに、自らが教えを聞き、教えに生きる門信徒・僧侶になることをめざしてきました。
 同朋運動は、部落差別を受けてきた門信徒や僧侶などが、差別からの解放を求めて自ら立ちあがったことにはじまります。そして、私と教団の差別の現実を課題とし、差別・被差別からの解放をめざしてきました。
 基幹運動は、教団に所属するすべての人びとが、私と教団のあり方を見直し、一人ひとりの苦悩に共感し、社会の現実に向きあって歩むことで、御同朋の社会の実現をめざす運動です。
 

 【社会の現状と教団の課題】

 今日の社会は、人間中心・自己中心の考えがいよいよ強まり、「環境破壊」「人権抑圧」など、多くの問題を引き起こしています。その結果、戦火の絶える日のない現実となり、多くの尊いいのちが傷つき失われています。科学技術の発展は、いままでの生命観を揺るがし、「生命倫理」という新たな課題を生み出しています。
 また、「少子・高齢化」「過疎・過密」といった社会構造の急激な変化は、私たちの生活に大きな影響をあたえています。さらに、「青少年を取り巻く問題」「虐待」など、さまざまな問題も抱えています。自らのいのちを絶つ人が増加していることも見過ごすことはできません。まさに、混迷する社会といえます。
 仏教は、老病死に代表される人間の苦悩の解決にかかわるものです。だからこそ、お念仏のみ教えをよりどころとする私たちは、このような社会の現実に向きあい、取り組んでいくことが大切な責務なのです。
 これまで、私たちの教団は、教団と社会のあるべき姿を実現するために基幹運動を進めてきました。しかし、いまだに差別事件が起こり、一人ひとりの苦悩や混迷する社会の課題にも十分には応えることができていません。これらの現状を踏まえ、さらに強力に取り組みをすすめることが大切です。

 2006年度から2011年度までの基幹運動は、これまでの運動の成果と課題をふまえ、次のことを基本方針として、重点項目で課題を具体化し推進します。
 

【基本方針】


 基幹運動は、人びとの苦悩や差別・被差別の現実からの問いを課題とし、その課題を、み教えをよりどころとして、問い、聞き、語りあうなかで展開されなければなりません。教団の現状を克服するために、

○男女共同参画をさらに進め、 「門信徒と僧侶の課題の共有」をめざす。
○「御同朋の願いに応える教学(御同朋の教学)の構築」をめざす。

 この二つの点を重要なポイントとして位置づけ、わかりやすく広がりのある運動とし、学んだことを行動・実践していくことで、「同朋教団」としてのあるべき姿をめざします。
 

【重点項目】


@ 親鸞聖人のみ教えに学び、全員聞法・全員伝道の門信徒会運動を推進しよう。
 

  「話し合い法座」中心の「門徒推進員養成連続研修会(連研)」「中央教修」を修了して、6500人あまりの「門徒推進員」が誕生しました。今後、連研を全組で実施し、より多くの門徒推進員の育成と、門徒推進員の活動が進展するための環境づくりをすすめます。  また、お寺に集うさまざまな立場の人が話し合う「門信徒会運動研修協議会」を継続します。門信徒と僧侶が運動を共有し、お寺や組の現状をふまえ、「開かれたお寺」にするための具体的な方法をみんなで話しあいましょう。

 さらに、各教化団体の活性化や、布教伝道のあり方、情報の共有・発信のあり方を課題とし、み教えをよりどころに、問い・聞き・語り、伝えていく活動を推進しましょう。
 また、『本願寺新報』『大乗』などの購読を広げていきます。


A過去の過ちと現実を直視し、差別と戦争のない社会をめざして同朋運動を推進しよう。
 

 部落差別を中心に「差別・被差別からの解放」をめざして取り組んできた「僧侶研修会」や「差別法名・過去帳調査」などから、差別を肯定してきた私と教団の現実の克服こそが課題であることを学びました。さらに、その学びを門信徒と共有するため、「第W期同朋運動推進僧侶研修会」の内容を深めます。そして、ハンセン病差別、性差別、民族差別、障害者差別などへの取り組みも進めます。いのちの共感をさまたげているものを見抜き、「差別をしない・させない・許さない」ための取り組みを実践します。
 教団の戦争協力の歴史と事実を顧み、慚愧の思いをもって、過ちを繰り返さないため、「非戦・平和」の課題、信教の自由・政教分離の原則などの所謂「ヤスクニ」の課題への取り組みを進めます。また、仏教における、「仏の歩み行かれるところ…… 武器を取って争うこともなくなる」という「兵父無用」の願いを内外に発信します。
 差別と戦争のない心豊かに安らげる世界を築くため、差別の現実の克服と平和を尊ぶ社会の実現をめざして取り組みましょう。


Bいのちの尊厳と平等をもとに、一人ひとりの苦悩に共感できる開  かれたお寺・教団にしよう。
 

 あらゆるちがいを尊重することができ、すべての人にやさしくあたたかな社会をめざして、一人ひとりの苦悩を共感できる開かれたお寺・教団となることが求められています。したがって、み教えをよりどころとして、さまざまな社会の問題に積極的に関わり、何ができるかを考え、具体的に実践して行かなければなりません。世界各地でおこる戦争や環境破壊の問題を自らの課題とすることや、ビハーラ活動など社会福祉や医療の現場での活動もそのひとつです。
 いのちの尊厳と平等をもとに、地域社会に根ざした幅広い活動を展開し、社会に貢献することのできるぬくもりと動きのあるお寺・教団をめざして取り組みましょう。

【次代に向けて】

 2011(平成23)年には、親鸞聖人750回大遠忌法要をお迎えいたします。親鸞聖人は、混迷した世の中にあって、お念仏をとなえつつ「世の中安穏なれ、仏法ひろまれ」と、苦悩する民衆とともに生き抜かれました。そのご遺徳を仰ぐことは、現代のさまざまな問題を自らのことと考え、また、み教えをわかりやすい言葉で現代社会に語りかけるなど、広く人びとと課題を共有できる私と教団になることにほかなりません。

「ともにいのちかがやく世界へ」とのスローガンのもと、次代に向けて、門信徒と僧侶、男性と女性、大人と子ども、また、民族や国籍など、それぞれのちがいを尊重しあうことのできる私と教団となります。
 そして、教団内外のさまざまな課題に向きあい、すべての人びとが如来に願われたお互い(御同朋)として、支えあい、かがやきあいながら共にあゆむことのできる、活力ある教団を築くため、さらには御同朋の社会の実現をめざして適進してゆきましょう。