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 コラムPart2 
社団法人 逓信研究会、機関誌”耀”へ連載中(2008年4月〜)

                                 ⇒コラムPart3 (オールアバウトのメルマガ連載)


●21世紀型の商品開発とサービス(1)

ビジョンや目標を明確に描く

夢やビジョン、目的といったものは重要だ。これらを明確に描けるかどうかは、その後の成果に大きな違いをもたらす。イソップ童話に「ウサギとカメ」の話しがある。かけっこの競争でカメとの差を大きく広げたウサギは油断をして居眠りをしてしまう。歩みの鈍いカメはその間に着実に進み、結果はウサギより先にゴールをするというものである。

ここには油断大敵といった教えがあったと思うが、落語家の三遊亭歌之介さんは、彼の落語の中では違った視点で話している。なぜカメはウサギに勝つことができたのか。双方の勝敗の違いは見ている対象の違いということである。ウサギはカメを見て勝負をしていたが、カメはゴールという目標を見て勝負をしていたということだ。

事業の成功には一点集中が重要といわれるが、企業理念や事業目的の重要さにあらためて気づかされる話である。現状から目標へ向かう中で、日々の忙しさはこの目標を見失う方向に働きやすい。方向がずれてしまうとせっかくの努力も成果につながらない。京セラの稲盛会長の方程式にある、<仕事の結果=能力×熱意×考え方>において、考え方によって結果はプラス100点からマイナス100点まで、違った方向に行ってしまうことを指摘している。この違いを教えてくれるのが気づきや閃きである。この気づきにより考え方や行動を修正したことが、成功のターニングポイントになった事例が多いのもうなずける。

ピーター・ドラッカーは著書「マネジメント」にて、「三人の石切工」の話を紹介している。三人の石切工が仕事をしていると、通りすがりの賢者が「あなた方は何をしているのですか」と尋ねた。一人目は「これで生計を立てているのさ」と言い、二人目は「国中で最もよい石切りの仕事をしているのさ」と答え、三人目は夢見るような目で空を見上げ、「この地にすばらしい大聖堂を建てているのだよ」と熱く語った。これは目的や価値観の共有の大切さを教えている。三人目の男のように、目的をしっかりと理解し、自分の仕事に誇りと価値を見いだして仕事に向かうことが、その後の良い成果につながるとし、強い組織作りに必要なこととされている。 

お客様はなぜその商品を買うのか?

お客様がモノを買う理由、それは大きくは二つに分けられる。その一つは夢の実現である。自分がこうありたいと描いている未来像、新しいライフスタイルを実現してくれる手段を、商品(サービス商品)の形で提供された時にその価値に対してお金を出すのである。もう一つは課題の解決である。 この基本は不の解消といえる。不便・不安・不満・不快・不足・不振といった問題から、アイデアを駆使して不を取り除いてやる、すると便利なもの快適なもの安心できるものが生まれる。この解決手段を商品という形で提供すればモノは売れる。私たちの身近にあるものは不の解消商品がほとんどである。

生活に身近なアイデア商品で不を解消し実績を上げているのが主婦の発明家である。発想がユニークで楽しい商品は見ていてもワクワクする。これには日常的な体験からから生まれているものが多く、なるほどこれは便利とうなずけるものが多い。この代表的なアイデア商品は、前回の連載記事「時流に乗る閃き力」(2007年4月号)にて紹介している。

バブル崩壊までのモノ不足の時代、つまり大量生産・大量消費の時代は不の解消に対する要求は大きかった。しかしいまやモノ余りの時代である、市場は成熟してきており経済の構造が今までと大きく変わってきている。さらに消費者の意識も変わってきており、夢の実現に対する欲求は大きくなってきている。消費者は常に自分の未来に対する新しい人生やライフスタイルを描いているのである。自分はこうありたい、何々をしたいといったものである。それを実現してくれる商品に出会ったときにお金を出してくれるのだ。

若者がスポーツカーを購入するのは、車そのものが欲しいのではなく、車がもたらしてくれる新しい人生のためである。助手席に彼女を乗せて海岸道路を走っているような新しいライフスタイルである。お父さんはディーラーでワゴン車をみている。子供たちと一緒にキャンプ道具を乗せてドライブし、河原でバーベキューをしている新しいライフスタイルを描いているのだ。

夢が描く幸せの感じ方

ジャーナリストの田原総一朗氏は、「人生とは好きなこと探し」といっている。いい響きである。これは、趣味にどんどん走りなさいという意味ではない。趣味は自分でお金を払って好きなことをやるのであるが、これとは逆に好きなことをやってお金が入ってくる人がいる。この多くはプロと言われる人である。好きなことをして生きていける人達であり、それが人生でいちばん幸せだという。

この幸せの感じ方には国によって違いがある。英科学誌「ニュー・サイエンティスト」に掲載された、「幸福度の国際比較調査」(2003年)の結果は興味深い内容である。幸せを感じる要因は、米国では「個人的な成功」「自己表現」「誇り」や「自信」といったものであり、日本では「家族の期待にこたえる」「社会的責任を果たす」「協力」「人付き合い」などであった。個人主体か周りを意識するかの違いが出ている。

幸福感を得ている国民の割合が大きいのは、ナイジェリアを筆頭にメキシコ、ベネズエラと続き、幸福感が低いのはロシア、アルメニア、ルーマニアである。幸福感は中南米が高く、東欧で低いといった感じだ。

同誌の分析によると、「平均所得が高いほど物欲が増大し、幸福感を抑える要因になっている」という。人間の欲には止めがないといったところだろうか。この点は考えさせられるところだ。便利さや快適さを追求して商品開発や新しいサービスを提供していても幸福感につながらない。豊かにはなっているのだが物欲が勝るということである。しかし考え方によっては、どの生活レベルでも幸福は得られるということだ。

消費者はこの幸福感溢れる未来像を描いており、その実現手段として商品を手に入れたいのだ。つまり商品開発や販売においては、商品そのものに焦点を合わせるのでなく、その商品がもたらす人生や新しいライフスタイルや楽しい未来像を見せてあげることが重要ということである。


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