はじめに

私達は何かに悩んだり困難な問題に直面した時、なにげなく四苦八苦(しくはっく)するという言葉を使います。あなたは何かに四苦八苦していませんか?それとも幸せに生きていますか?ところで四苦八苦という言葉はどのような意味なのでしょうか?これは仏教に由来する言葉で、人間の最大の悩みである生・老・病・死という四つの苦にさらに別の四苦(1 愛別離苦:愛するものとの別れ、2 怨憎会苦:怨み憎む者との接触、3 求不得苦:求める物がえられない、4 五陰盛苦:肉体と精神)を加えた八苦を意味しているのです。二千五百年以上も昔のお釈迦様の時代から、老いること、病むこと、死ぬことは、ヒトにとって避けて通れない大きな悩みだったのでしょう。そして“生”つまりこの世に生まれ、生きることそのものも大きな苦に含まれていたのです。もしあなたが現在、病気や対人関係などでストレスを感じ、不安や悩みに四苦八苦していたら一緒に解決法を捜してみましょう。

1 なぜ病気になるの?
■ 病気の原因?

遠い昔、病は邪気や魔物がヒトにとりついたために起こると考えられ、気持ち(心)と身体は密接に関係していると考えられていました。しかし17世紀にデカルトが提唱した精神と肉体とを相互に独立な実体とする二元論の哲学が受け入れられ、さらに科学の発達に伴って(例、顕微鏡の発明によって細菌の存在が明らかになり、さらに抗生物質が発見されて、それまでは不治の病とされていた多くの感染症の治療が可能となった)病気の原因は下表のように精神(心)とは関係なく、主に外的な要因によって引き起こされると考えられるようになったのです。

病気 原因
結核やエイズなどの感染症 細菌やウイルス
肥満、高血圧、心筋梗塞、糖尿病 過剰な栄養やかたよった食事
花粉症やアトピー性皮膚炎 植物や動物へのアレルギー
悪性新生物(ガン) タバコや食生活
■ 成人病から生活習慣病へ

その後ガン、心臓病、脳卒中などは中高年者に多く見られたために、成人病と呼ばれるようになりました。しかし、その後の研究によって今まで成人病とされてきたものの多くが食事や運動、喫煙さらに飲酒や休養の取り方などと深く関連し、年齢より生活の仕方、つまり生活習慣と密接に関係があることが証明されました。
そして今までの成人病という呼称はこれらが加齢のために発病するという誤解を与えることから1997年からはこれらの疾患が、生活習慣病と呼ばれることになったのです。

■ ガンについて、天寿ガン?

生活習慣病の中で、最も恐れられている病気は悪性腫瘍(ガン)でしょう。
ガンは下図の3大死因別統計に見られる ように現在では他の心臓疾患や脳血管疾患を抜き日本人の死亡原因のトップになっています。なんと日本人の4人に 1人がガンで死亡している勘定になるのです。さらに下図の3大死因別死亡率で表されるように毎年ガンによる死亡 率は増加しています。確かにガンは生活習慣病といわれ、それによる死亡数は実際に増加しています。 しかし下の年令調整死亡率をよく見て下さい。若年者から高齢者までの年令を一定に調整したこのグラフからは実際 のガンによる死亡者数はそれほど上昇していないことがわかります。 つまりこのようにガン死亡率の増加は生活習慣の変化のみでなく、高齢者の増加と深い関係があるのです。このような高齢者のガンを癌研究所所長:北川友行氏は天寿ガンとして考えていこうと提唱されています。それでは実際にガンの発生には生活習慣や高齢化の他にはどのようなことが関与しているのでしょうか?

■ ガン勝利者の会

1996年11月、東京で不治のガンと宣告されてから劇的な治癒を体験した人々が集まって、ガン勝利者の会
第1回セミナーが開かれました。下図はそこで自身もガンを克服した経験のある川竹文夫氏(NHKプロデューサー)が講演に使用した図を改変、引用したものです。今までガンの原因と言われ、多くの研究者が指摘してきた要因を氷山にたとえてわかりやすくまとめています。

この図ではガンの原因として、すでに有名なタバコや食生活など生活習慣の乱ればかりでなく、ヒトの誕生から成長期、そしてその後の心の問題までもが複雑に関与していることが示されています。まさに広い意味でガンは生活習慣病なのです。これらから考えられることは、もし私達がガンと宣告された時、病院に治療をまかせきりにして自分で何も努力をしないのではガンは治りにくいのです。もちろん、急に禁煙したり健康食品を摂取するヒトも少なくありませんが、それだけで大きな効果は期待できないでしょう。もし早期ガンであっても、治療後に禁煙など生活習慣のみでなく、心の持ち方やかたよった価値観などの改善にまでも目をむける努力をしておかないと、その後にまた新たなガンが発生しやすいのです。川竹氏も自身の経験から、患者さんに対して治療をすべて医師まかせにはしない、自分も積極的に勉強し生きる意味や生き方を見直す、必要に応じて食事や心理さらに免疫療法、東洋医学なども活用することが重要とアドバイスしています。

ガンになりにくい食生活
ライフスタイルと癌/食生活に関する勧告

ライフスタイルに関して世界の多くの研究例を集めてFood, Nutrition, and the Preventinon of Cancer: A Global Perspectiveという書物が1997年に刊行され、この中に以下の15条が上げられています。

1 食料供給と食物摂取、大部分が植物に由来する食事、すなわち多種類の野菜や果物、豆類、それに精製度をなるべく抑えたでんぷん質の主食食品を豊富に含む、食事をする。
2 正常体重の維持、低体重や過体重を避け、成人期を通じての体重増加を五kg未満に抑える。
3 身体活動の維持。もし職業による身体活動が少ないか中等度の場合、一日に一時間の速歩か、それに匹敵する運動と、さらに一週間に少なくとも合計一時間の活発な運動をする。
4 野菜類および果物類、四季を通じて一日あたり400〜800gまたは五皿以上の多種類の野菜類や果物類を食べる。
5 その他の植物性食品、一日に600〜800gまたは七皿以上の多種類の穀類(米)、豆類、イモ類やバナナを食べる。精製度のなるべく低い食物を選び、砂糖の使用は制限する。
6 飲酒は勧められない。どうしても飲む場合は一日あたり男性は酒一合かビール中びん一本、女性はその半分以下に抑える。
7 肉類。赤身の肉を摂取する場合は一日に80g以下までに抑える。そのためには赤身の肉の代わりに、魚または鶏肉が望ましい。
8 総脂肪と油。脂肪の多い食品、特に動物性脂肪の多い食品の摂取は抑える。適当な植物油を控えめに使用する。
9 塩分。塩分の多い食品を控え、調理中や食卓での塩の使用を抑える。調味に香辛料はハーブを利用する。
10 食品の貯蔵。常温で長期保存し、カビの毒に汚染されているかもしれない食物は食べないこと。
11 保存。腐敗しやすい食物はすぐに冷蔵庫に保管する。
12 食品添加物および残留成分。添加物、汚染物質や他の残留成分が適切に規制されていれば、飲食物中のそれらの存在は、今まで知られている限りでは有害ではない。しかしながら、規制が不十分な場合や不適切に使用されれば、健康にとって危険となりうる。
13 調理法。黒焦げになった食べ物は食べない。肉や魚を食べる場合は肉汁の焦げたものは避ける。直火で焼いた焼肉や焼き魚、塩干薫製の肉類はできるだけ避ける。
14 補助食品。補助栄養剤など、ここに提示してある勧告を守っている人々には、癌リスクを低下させるための、補助食品や補助栄養剤はまず不必要であり、役に立たない可能性もある。
15 たばこ。たばこを吸ったり、かみたばこを使用したりしないように。たばこは飲酒の害を増幅させるし、良い食生活をしていても喫煙によって台無しになりかねない。

これらを守れば癌になりにくいということなのです。しかしこれをしっかり守ることは容易ではありませんね。それでは食事以外にも健康に暮らす秘けつを勉強してみましょう。

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