企業活動の評価についての提言


Good Company (「良い」会社) とはどのような企業なのでしょうか


 「良い」会社とは? と問われると、いままでは、常識的には、収益率が高い(沢山儲けている)、「成長」を維持しているあるいは今後「成長」が見込める、ないしは賃金の「高い」、会社、という「回答」が返ってきたと思いますが、いまその「常識」が「崩れ」つつあります。

 一言で言えば、Good とは「誰にとって」Good なのか、という問いが発せられているのです。株主にとって Good なのか、経営者にとって Good なのか、国にとって Good なのか、社会にとって Good なのか、従業員にとって Good なのか、消費者にとって Good なのか、地球にとって Good なのか、地域環境にとって Good なのか、次の世代の人間にとって Good なのか、等々・・・・。「誰」には、様々な存在が相当することでしょう。

 このような「問題意識」を反映して、企業を「新しい」視点から「評価」「格付け」しようという動きが進んできており、現在では「無視できない」流れになってきています。

 例えば、アメリカでは、「経済優先を考える会」が次のような評価基準を提示しています。
1)環境問題に取り組んでいるか
2)寄付をしているか
3)コミュニティに貢献しているか
4)男女を平等に雇用しているか
5)人種差別なく待遇しているか
6)従業員家族への福祉はどの程度か
7)労働環境は良いか
8)情報公開をしているか
9)武器を製造していないか
10)動物実験をしていないか

 日本では、企業の「社会貢献度調査」が、朝日新聞文化財団によって毎年実施されています。その評価項目は年度によって多少異なっていますが、以下のものが基本的な評価項目となっています
1)働きやすさ
2)ファミリ−重視
3)女性の活躍
4)公平さ
5)雇用の国際化
6)地域参加
7)地球にやさしい
8)学術と文化
9)福祉と援助
10)軍事関与の有無
11)情報公開

 また日本の「グリ−ンコンシュマ−・ネットワ−ク」は、次のような基準で、全国のス−パ−・生協・コンビニを調査し、その結果を『地球にやさしい買い物ガイド』として出版し公開しています。
1)環境・健康を考えた商品を取り扱っているか
2)包装対策はどうか
3)資源回収・リサイクルへの取り組みはどうか
4)経営方針に環境保全行動が織り込まれているか
5)PR・社会への働きかけは十分か
6)情報公開はどの程度進んでいるか

 このようにいくつかの新しい「視点」が、世界各国で、動き出しています。



我々が育てる Good Company



 開設者はここ数年上記の問題をビジネス・エシックスの発想を借りて考えてきたが、不十分ながら 現代企業の活動を体系的に評価する方法を提示することができる段階に至ったので、ここに、「評価指標」として、提案することにする。

 以下の指標は、開設者が各種の文献を検討して、抽出したものである。

 その詳細を知りたい方は、拙著『ステイクホルダ−・マネジメント−−−現代企業とビジネス・エシックス』(晃洋書房、2000年)を読んで欲しいが、簡単に言えば、株主、取引企業、従業員、消費者、地域社会(コミュニティ)、政府、自然環境、を企業を巡るステイクホルダ−として位置づけ、それらのステイクホルダ−に対する義務(逆に言えば、ステイクホルダ−の権利)を整理した「産物」である。



 ◆印が具体的な指標であり、△印はその細則である。

 アメリカ社会をとりあえず念頭に置いているが、法律以外は我々の日本社会にも妥当するであろう。また*印のついている指標は日本社会にのみ妥当すると思われるものである。 

 これらの指標が完成されたものではないことは改めて言うまでもないことであるが、これによって、ビジネス・エシックスの立場から、企業の在り方を「判断」「評価」する「基準」がとりあえず提起できたと考えている。
 
 繰り返すことになるが、はじめての試みでもあり、色々と、掲示板を介して、ご意見をいただきたいと念じている。
 

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企 業 活 動 の 評 価 指 標




T 全般的な評価指標

 1 企業独自の倫理綱領について
    ◆倫理綱領の有無 
    ◆倫理綱領が明文化されているか
    ◆従業員が周知しているか

 2 企業倫理の内部制度化について
    ◆企業倫理担当の「常勤」役員が存在しているか
    ◆企業倫理教育プログラムに沿って教育がおこなわれているか
    ◆倫理綱領違反に対する罰則規定があるか


U 与件としての指標(全体としてのステイクホルダ−社会との関係)

 1 自然環境への配慮に関して
   □人類以外の種の権利
    ◆動物実験の有無およびその回数
    ◆大気汚染減少への努力
    ◆公害防止設備の有無
    ◆廃棄物処理に関するマニュアルがあるか
    ◆有害廃棄物の量(基準値を超えていないか)
   □未来の世代の権利
    ◆省エネの努力
     △製品1単位(従業員一人当たりの)電力消費量
     △製品1単位(従業員一人当たりの)その他の燃料消費量
     △製品1単位(従業員一人当たりの)水の消費量
    ◆国際環境基準(ISO14000)の取得
    ◆リサイクル運動への取り組み方
   □その他の義務
    ◆環境問題担当の役員がいるか
    ◆環境対策に関する情報の開示
    ◆環境に配慮した製品開発及び包装(エコ製品、エコ・ラベル)
    ◆環境保護団体との協力・提携関係
    ◆環境会計制度の導入
   
 2 政府(規制)への対応に関して
   □法令の遵守(違反)
    ◆環境関連法の遵守
    ◆反トラスト法の遵守
    ◆有価証券法の遵守
    ◆食物と薬品に関する法律の遵守
    ◆製品と安全の質に関する法律の遵守
    ◆労働者の健康と安全に関する法律の遵守
    ◆賄賂に関する法律の遵守
    ◆広告に関する法律の遵守
    ◆その他の法律の遵守
   □規制に関わる政府機関との対応
    ◆環境保護局や環境問題委員会からの改善命令の有無
    ◆食品医薬品局からの改善命令の有無
    ◆証券取引委員会からの改善命令の有無
    ◆職業安全衛生管理局からの改善命令の有無
    ◆消費財安全委員会からの改善命令の有無
    ◆連邦取引委員会からの改善命令の有無
    ◆全国高速運輸安全委員会からの改善命令の有無
    ◆雇用均等委員会からの改善命令の有無
    ◆全国労働関係委員会からの改善命令の有無
    ◆その他の政府機関からの改善命令の有無
 

V マネジリアルな指標(個々のステイクホルダ−との関係)

 1 株主(投資家)への義務(報い方)に関連して
   □配当金を受け取る権利
    ◆株主に定期的に配当されているか
    ◆毎年利益を上げているか
    ◆X年以上連続して収益性が伸びている
   □株主として発言する権利
    ◆株主総会が公開で開催されているか
    ◆株主の意見を経営政策に反映させるメカニズムが制度化されているか
   □年次報告書を受け取る権利
    ◆財務状況が定期的に公開されているか
    ◆粉飾決算がないか
   □株主としての義務
    ◆インサイダ−取引の有無

 2 競争(取引)相手企業への義務(付き合い方)に関連して
   □ライバル企業との関係
    ◆カルテル
    ◆他企業の知的財産の尊重
     △産業スパイの有無
    ◆政府高官への賄賂の有無
    ◆政治献金の有無
    ◆ロビ−活動の有無
    ◆同業他社とのトラブルの有無
    ◆天下り官僚の数*
    ◆談合*
    ◆機密事項の漏洩を防ぐマニュアルがあるか
   □取引企業との関係
    ◆契約(納期、品質、支払期日、等々)を守っているか
    ◆マイノリテイがオ−ナ−である企業と取り引きしているか
    ◆下請け会社とのトラブルの有無
     △下請け会社いじめ*
    ◆取引企業とのトラブルの有無
    ◆研究開発の額は適当か
    ◆リベ−トの有無
    ◆再販売価格維持契約の強制*
   □その他の権利(義務)
    ◆税金の滞納(申告漏れ)
    ◆自社の倫理綱領を取引会社に知らせているか
    ◆取引会社の倫理綱領を周知しているか

 3 従業員への義務(働かせ方)に関連して
   □差別されない権利
    ◆(採用、昇進、レイオフ、等々の)雇用面で、
      人種、皮膚の色、性別、宗教、国籍、等々による差別がないか
    ◆アファ−マティブ・アクションが展開されているか
    ◆身障者が採用されているか
    ◆女性の役員がいるか
    ◆セクハラへのマニュアルが存在するか
   □公平な支払いを受け取る権利
    ◆同一労働同一賃金
    ◆貢献度に応じた賃金
    ◆双方的な業績評価制度の有無
    ◆給与水準
    ◆退職金制度の有無
   □職場で安全を保証される権利
    ◆労働災害の件数
    ◆危険な仕事をする前に情報が提起されているのか
    ◆安全教育の実施
    ◆安全基準マニュアルの存在
    ◆エイズへの取り組みマニュアルの存在
    ◆医療施設の有無
    ◆過労死の発生率
    ◆喫煙室があるか
   □職場で正当な手続きがおこなわれる権利
    ◆苦情処理の手続きが制度化されているか
    ◆不当解雇がないか
    ◆先任権のル−ルが守られているか
    ◆正当な手続きのもとで解雇やレイオフがおこなわれているか
   □職場でプライバシ−が保護される権利
    ◆うそ発見器を拒否できるか
    ◆発言の自由(内部告発のル−ルがあるか)
    ◆プライバシ−法が適用されているか
      (個人情報の保護に関するマニュアルがあるか)
    ◆意思決定への参加が制度化されているか
    ◆結社の自由
    ◆仕事と家庭を両立させる制度があるか
      (フレックスタイムの導入、育児・高齢者介護休暇制度)
   □その他の権利
    ◆離職率
    ◆自己啓発とキャリア開発の機会
    ◆フリンジベネフィットが制度化(文書化)されているか
    ◆健康保険の給付
    ◆ストライキの件数
    ◆定年に関する規定が明文化されているか
    ◆従業員持ち株制度
    ◆長期的安定雇用が明文化されているか*
   □従業員の義務
    ◆営業上の秘密の漏洩
    ◆利害の対立(兼職)
    ◆帳簿や記録の改竄
    ◆ホワイトカラ−の犯罪(会社の商品の持ち出し、横領)

 4 消費者への義務(財・サ−ビスの提供の仕方)に関連して
   □安全の権利
    ◆PL法に違反していないか
    ◆JIS(日本工業規格)に合格しているか(品質保証)
    ◆保証書の添付
    ◆保証書に買い手の権利が明記されているか
   □選択の権利
    ◆誇大広告ではないか
    ◆広告に嘘はないか
   □知らされる権利
    ◆商品の成分表示
    ◆賞味期限が明記されているか
    ◆都合の悪い情報(例えば、副作用)が明記されているか
   □意見が反映される権利
    ◆お客様窓口(苦情処理部門)があるか
    ◆リコ−ル制度があるか(事実が公表されることが前提条件)
   □支払った金額に見合う価値の商品を入手する権利
    ◆アフタ−ケアが制度化されているか
    ◆保証期間があるか
    ◆購入後、X年間部品の交換は可能か
    ◆不当な価格ではないか(原価の表示)
   □適切な購買行動ができる教育を受ける権利
    ◆サブリミナル広告の有無
   □政策決定機関に消費者としての利害を代表し参加する権利
    ◆消費者問題を専門に処理する部門が存在するか
    ◆価格決定に関する方針の公開

 5 コミュニティへの義務(立地の在り方)に関連して
   □コミュニティに対するポジティブな貢献
    ◆従業員のボランティア活動の支援(ボランティア休暇)の有無
    ◆金銭的な寄付行為(利益のX%)の有無
    ◆スカラ−シップの有無
    ◆メセナ活動の有無(地域社会の催し物への積極的参加)
    ◆経済的弱者への援助(製品の寄付)
    ◆企業施設の地域への開放
    ◆地元住民の優先的採用
    ◆地域社会の発展を考慮に入れた事業展開
   □コミュニティに対するネガティブな貢献
    ◆コミュニティの環境破壊の原因になっていないか
    ◆地域社会の環境対策に関する積極的な(定期的な監査実施)
    ◆環境対策に関する情報公開
    ◆工場閉鎖を想定したマニュアルがあるか
    ◆コミュニティとの対立(コミュニティとの契約違反)







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