自画自賛ソングの系譜 1  
       
1.ふぉーえばーたからづか

そもそも最初に「なんだこりゃ」と思ったのは 、『この愛よ永遠に(TAKARAZUKA FOREVER)』(小原弘稔作詞、吉崎憲治作曲 1984(昭和59)以下『TAKARAZUKA FOREVER』と略す)という曲を聴いたときだった。イベントなどでよく歌われる人気曲で、ヅカファンなら誰もが知っているあの曲である。

まずは「ふぉーえばーたからーづかふぉーえばー」という高らかに歌うサビにびっくり。だって、自分で自分のことを「永遠に」とたてまつっているんだもん。要するに自画自賛。そんなのってアリですか? 式典なんかで関係者だけを呼んでそこだけで歌うんならまだわからないでもないが、自分で自分のことをたたえる歌を、舞台の上で客席に向かって歌うなんて、私は今まで聞いたことがない。

そして『TAKARAZUKA FOREVER』には、サビ以外の歌詞にもちょっと不思議なところがある。「人は夢みる 憧れのTAKARAZUKA/幼い頃の 楽し思い出/今も心に 生き続ける」 あの〜、「人」って誰ですか?? 自分以外の人たちが自分をとっても愛してくれてるて話? そりゃ自信満々だなー。じゃあ「幼い頃」って誰の? 「人」が主語なんだろうから、他人の幼い頃ってこと? 私なんか大人になってから嵌ったから、幼い頃のタカラヅカの楽しい思い出って言われてもぜんっぜんピンとこないなあ。じゃあ私はその「人」に入ってないんか? 地元の人はファミリーランドに行ったついでに“宝塚歌劇”を観る、なんて幼き日があったんだろうから、そういうことなのかなあ? しかし、そうだとしても、「今も心に生き続ける」なんて他人の心を代弁してるのはすごく変じゃないか? そう思うのは「人=他人」であって、あんたらが言うことじゃないじゃんよ。

それとも「人」って、歌ってる人を含む全員ってこと? 幼い頃に“宝塚歌劇”にあこがれて、長じて入団して、自分も自分のまわりも、みんなが宝塚を愛しているってことを実感してて、そんなタカラジェンヌが、自画自賛をしている、そういう歌なんだろうか? それなら一応つじつまは合う。たしかに。けど、だからといってそれを客席に向かって歌うのはいったいなんなのか? 

そしてなんと! ファンもこの歌が大好きなのである。じつはかくいう私も、最初はびっくりしたけど、恥ずかしながら、ある公演で聞いて以来、この曲を好きになってしまった。ヅカ友達からの着メロはもちろんこれ。カラオケに行くと必ず歌ってしまう。しかもシメの曲。これを歌わないと、ヅカカラオケはしまらないんだよねぇ〜。

そしてだんだんと、この手の曲がほかにもたくさんあることを知った。名づけて「自画自賛ソング」だ。イベント的な公演や、創立何十周年記念公演では、必ず自画自賛ソングが登場する。ショーの一部分としてである。最近では90周年記念のショー『タカラヅカ・グローリー!』(このタイトルもすごいよね…)で、プロローグの初舞台生のラインダンスの後に、大階段を降りながら、自画自賛ソングが歌い継がれた。そしてフィナーレはもちろん『TAKARAZUKA FOREVER』。シャンソンからJ-POP、ジャズ、クラシック、いろいろな楽曲の途中に織り交ぜられる「自画自賛」の歌詞たち。いったいどうしてこのような自画自賛ソングが生まれたのか、どんな種類のものがあるのか、なぜ私たちはこれが好きなのか。それを考えてみたい。('05.5.16)


*ちなみに、世間的には「すみれの花咲く頃」が有名だが、これは中身は自画自賛ではない(だからこそ対外的なテーマソングのようになっているんだろう)。また、「団歌」というのもあるが、これはいかにも校歌や社歌って感じの曲調で、公演の中では歌わないようだ。

*公演名、歌詞の出典等は自画自賛ソングリストを参照してください。

 
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