日本の旅

−99年の散歩編−

1999年に町を歩いた話です。



−99年8月−

真夏の下町〜
木場、洲崎、門前仲町、清澄
 お昼に木場に集合。
 外はまっすぐな夏の日差し。
 とっても散歩日和とはいえない。
 でもたくさんの人が集まる。
 歩いていると、さすがに頭がくらくらしてくる。
 日射病には耐性があると自信があったけれど。
 手持ちの水分はすぐ使い果たす。
 自動販売機ですぐ補給。
 最初に洲崎を回る。
 むかしの遊廓があるところ。
 たしかにいくつかの遊廓が残っている。
 でもそうじろじろのぞいていいものか、迷う。
 続いて古石場の東京市営アパートへ。
 古いアパートはとても気持ちが落ち着く。
 自分が団地生まれというのもあるのだろう。
 でもここももうすぐ建て直しになるらしい。
 博物館にそのまま残してほしい。
 それも悲しいけれど。
 久しぶりに富岡八幡宮にお参り。
 大関碑、横綱碑にもお参り。
 さすが江戸相撲発祥の地である。
 横綱の出身地が、新しい碑になってから旧国名から都道府県名に変わっている。
 小学校の前に、切り干し大根が干してあった。

 バスで江戸資料館に向かう。
 ここに来るのはたぶん3度目。
 来るたびに落ち着ける、不思議な博物館である。



−99年5月−

真昼の赤坂をちょっと歩く  四ッ谷から南北線で溜池山王駅へ。
 ここから目黒へ伸びるのは来年度の2000年度である。
 溜池山王駅には東六本木駅(仮称)のジオラマがあった。
 駅から地上に上がる。
 いきなり「石焼ビビンバ」の看板。
 すると向こうからピンクのチマチョゴリをきた妙齢の女性が、通り過ぎた。
 はたまたここはどこなんだろうか?
 トルコ料理屋、韓国家庭料理屋。
 赤坂に多いときいていたけれど、このへんも多いらしい。
 氷川公園を通りすぎ、坂を上る。
 地図で見るとこのあたりに勝海舟邸にあった大銀杏があるはず。
 すると目の前に看板があった。
 「麻雀海舟」。
 まさかこのあたりに旧宅があったゆかりなのだろうか?
 坂を上りきる。
 私立の小学校があった。
 その入り口の右脇に、ひときわ大きな銀杏があった。
 よくみると、右に碑が建っている。勝と文字が見えた。
 むかしは勝海舟が愛し、いまは小学生を見守る銀杏である。
 ほんとうに大きい。というか高い。向かいの道からデジカメを構えたけれど、フレームに入りきれなかった。
 坂を下りて、氷川公園で休憩。
 地下鉄赤坂駅を通り過ぎ、なんとなく一ツ木通りを歩く。
 途中に赤坂不動尊があった。お寺周りもいいな。坂をぐいと上る。
 ビルのあいまにすぽっと、お寺と墓場があった。
 せっかくなのでお賽銭。
 坂を上ったのでついでに豊川稲荷まで歩こうかと思う。
 しかし腹の具合が悪化。
 牛鳴坂を下りて、赤坂見附駅に向かう。
 ちなみに牛鳴坂(うしなきさか)とは、牛が苦しんで鳴いたことからついたそうな。牛もかわいそうである。


−99年4月−

門前仲町から日本橋、夜のお散歩 帰りは門前仲町から歩いた。
来週からの新しいシゴトバを見てみたかったのだ。
東京方面に歩いて10分。
永代橋を渡る。
左手には大川端のマンションが輝いている。
オレンジ色の灯りがきれい。
昔ここにあっただろう造船所の勇姿を思い浮かべてみる。
新しいシゴトバは川の近く。これはちょっとうれしい。
駅から遠いと聞いていたが、茅場町まではさほど遠くなかった。
食べるところがないときいていたが、思ったより見かける。
ドトールもベローチェもある。
どうせないないと思っていたから、意外と目に付いたのかも。
やはり大通りを一本裏にはいると、店が並んでいた。
それからそばやがたくさん目に付く。
帰りにこのあたりまで歩いてそばを食べていくというのもいいなと思う。
茅場町まででもよかったのだが、思い余って日本橋まで歩いてしまう。
茅場町と日本橋の間は意外と距離がある。地下鉄ではあっというまだけれど。
ちょっと「ますたにラーメン」によりたかった。
でも今日はがまんした。
洲崎をちょっと小歩き  お昼休みに、近くの洲崎にでかける。
 ちょっと小歩き。
 江戸時代には風光明媚できこえた洲崎である。
 または洲崎遊廓のあった洲崎である。
 ちょっと雰囲気を求めて出かけた。
 まずは洲崎神社を目指して永代通りを西に歩く。
 だんだん左側に食べる店が増えてきた。
 カレー専門店が道の向かいに見えた。ブルカラーの男性どもがあふれている。おいしいのかも。
 ギョウザののれんがかかったカウンターばかりの中華料理屋。並んでいるからおいしいのかも。
 東京ラーメン、スタミナラーメンの看板を交差点にだしたラーメン屋。
 昭和初年からたつそば屋。うーんおいしいのかも。
 ビビンバのファーストフード系のお店。こんなお店があるとは。
 そして横浜とんこつラーメンのお店。ここも行列。要チェック。
 沢海橋の手前で左に入り、洲崎神社に向かう。
 途中の公民館の前に現在の地図と古地図がでていた。じっと見比べる。
 洲崎神社は小さい。
 小さな境内には桜が咲いていた。小さな境内にかわいらしかった。デジカメを持ってこなかったことを後悔。桜の下に1席だけ花見の席が設けられていた。
 神社は海に関係あるそうな。そう思うと海らしい明るい模様の神社に見えてくる。
 神社の入口に波除碑が建っていた。江戸時代の高潮被害のあと、一定区域の遊水池とした印のあとらしい。大震災と戦争で、もうぼろぼろになっていた。
 神社に買い物をぶらさげ、一人のおばあさんが入っていく。神社にお辞儀をして、右の方におれていった。
 西洲崎橋から東陽弁天商店街にでる。ここにも餃子ののれんをかけた中華料理屋に列。たんたんめんがウリらしい。
 このあたりで遊廓の名残を探してみる。でもどこにも見あたらない。ただ角の八百屋の建物がちょっと変わっていた。建物が赤く、2階にベランダが豪華。これかな?
 しかし僕は遊廓に行ったことがなかった。映画で見るぐらい。
 赤い壁が続く飲み屋あたりがこのへんかなと適当に検討をつける。
 洲崎緑地公園を横切る。公園の道沿いに桜が咲いていて、ちょっとここも桜のトンネルになっていた。
桜をめぐる冒険99ーその3(目黒川、外濠公園)  今日も午後0時に出発。

 まずは目黒川に向かう。
 去年も見に来たけれど、時期が早すぎたのだ。
 やっぱり今年は満開のをみたい。
 渋谷から東横線に乗る。
 最初は池尻大橋から中目黒方向に歩く予定だった。
 でも間違えて東横線の方に来てしまった。まあいいや。そのまま中目黒に向かう。
 ここで腕時計をしていないことに気がつく。ありゃ。
 外を歩くのに時間が分からないのは致命的。
 でもま、いいか。神様が時間を気にするなと言うことかな。
 今日はなんだかずっとぼっとしている。電車の中でも歩きながらも。まるで今日が自分の終わりの日みたいに。

 中目黒駅のホームから、目黒川の満開の桜がみえた。よしよし。
 駅を降りて山手通りを渡り、川へまっすぐ向かう。
 神田川の両岸より、満開だった。
 池尻大橋の方向へ、川沿いをゆっくりゆっくり歩く。
 川の両岸はずっと桜桜桜である。
 橋に来るたびに、川の真ん中に行く。そこで川を眺め、両岸の桜のあふれるさまにためいきをつき、デジカメを撮る。それを繰り返す。
 ある橋には赤いイスがおいてあった。みんなそこにかわるがわるすわって、記念撮影をしていた。
 この川沿いはあんまり宴会をするところがない。だから歩いている人が多い。
 でもわりかし道幅が広いので、ゆったりと歩ける。
 すでに花びらが舞いだしている。
 これらの桜からいっせいに花びらを舞い出すと、さぞきれいなんだろな。
 川にはカモもいた。桜の下のカモ。
 べっしょばし、さくらばし、しゅくやまばし、あさひばし、みどりばし、てんじんばし、ちとせばし、やなぎばし、なんぶばし、なかのはし。
 これらの名前のはしを順々にたずねていく。
 しかしなかのはしでいったんとぎれる。山手通りが目黒川を渡っているのだ。
 どうしてそのまま通り抜けできるようにしとかなかったのだろう?
 桜より大きな道がとても大事だったころの設計なのだろう。
 沿線には目黒川の歴史を語る掲示板がいくつか設置されていた。
 むかし目黒川では染物が行われていたそうな。つい40年ほど前まえでである。
 むかしは水車もあったらしい。道の脇に小さな水車の模型があった。
 いまでは川面の近くまで降りることもできない。
 めぐろばし、ひがしやまばし、ひかわばし、まんだいばし、そしておおはし。
 ここで桜の並木は終わる。
 赤い橋が桜で埋もれている。おばあさんが絵を描いていた。
 おおはしは池尻大橋の「大橋」。ちなみに池尻大橋という橋はない。池尻駅+大橋駅の統合でできた駅。
 
 途中2度、カメラの撮影を頼まれる。1度目は西洋人。昨日のこともあり、とても自信がなく、申し訳なく断る。
 2度目は中年カップル。使い捨てカメラだった。押せばいいだけからといわれ、しかたなく撮る。これが2人とも実にいい顔をしていた。
 
 さて池尻大橋からさきどうしよう?時計もないし。
 とりあえず近くのドトールで一休みする。
 このあたりの店を覚えていた。去年工事していた階段もちゃんと完成してあった。
 カフェラテを飲みながらデジカメの写真を整理。すると各写真に時間が表示されているのに気がついた。こんなところに時計があったのだ。
 中目黒に戻ることも考える。しかしふたたび山手通りを渡ることを考えるとうんざりとした。別の桜に向かうことにする。
 候補は2つ。1つは外濠公園。もう1つは日比谷公園。
 でも日比谷公園に行ってしまうと終わってしまう気がした。
 というわけで外濠公園に向かう。
 今年は去年歩かなかった四谷と市ヶ谷の間を歩いてみよう。
 南北線の四谷駅をでると、さっそく土手の上に桜が見えた。
 そこはふたたび桜のトンネルだった。
 またまた宴会するひとひとひとであふれていた。
 遠くで野球をする音。桜の下の野球。うーんいいね。
 天気がよくなってきた。とっても春らしい日差しになった。
 歩いているうちに、なんだかもう桜はどうでもよくなってきた。
 僕はただ春を味わって歩きたかったのだ。
 桜の下に滑り台とブランコがあった。
 そのとき、ちょっと強い風が吹いた。一瞬で桜の花びらの吹雪となった。
 とてもきれいな光景だった。
 この土手もお気に入りとなる。

 公園はいったん途中で終了。
 市ヶ谷の交差点から再び桜並木の土手が続く。
 桜の下、コンビニの弁当を開いている二人も多い。
 ハンバーガーをかじっているひともいる。なにか食べたくなるらしい。
 父と子が、ビールを飲んでいた。なんだか一番うらやましい光景だった。
 リュックをおき、一人でビールを飲んでいる人もいた。
 ギターをかかえて歌っているグループもいた。おお。
 カメラを構えている人が多い。やっぱり桜ってカメラこころをだいぶくすぐられるらしい。
 連れがモデルというひともいる。
 子供はやっぱり絵になるよね。他人の子供でも。
 病院の前では、患者さんが車椅子を出して外で花見をしていた。
 土手は眺めがいい。お堀の向こうの桜並木もよく見えた。
 土手の下には電車がひっきりなしに通る。
 ちょっとテッチャンらしく電車を待ってみたりした。

 16時30分。飯田橋駅に到着。石垣のようなところで終わりである。
桜をめぐる冒険99ーその2(善福寺川、神田川)  午後0時、満を持して桜探検に出発。
 天気はくもり。小寒い。スプリングコートをはおる。
 まずは駅近くの上水の桜を見る。毎日見ているけどね。
 さて、どこの桜を見に行こうか。
 候補を3つぐらい思い浮かべる。
 でもやっぱり去年見逃した桜を見に行こう。
 善福寺川の桜を見に行く。
 阿佐谷駅で降りる。
 青梅街道にぶつかり、路地に入る。みちなりに向かう。
 途中で区議選の候補者の宣伝カーに追い抜かれる。
 道の向こうで、区議選の候補者が桜の下で演説をしていた。
 天王橋(てんおうはし)に到着。
 天王橋の上流では、すでに川の左岸は桜が満開。まず橋の上から見とれる。
 それから対岸を歩いて眺め、屋倉橋で折り返し桜のトンネルの下を歩く。
 宴会をしている人は対岸が多い。
 宴会をしている人だけではない。桜の下を歩く人。写真を撮る人。通りすがりに眺めていく人。絵を描く人。
 相生橋からは川の両岸に咲いている。どちらの岸を歩いても気持ちよさそう。
 やきいも屋さんが来ていた。もちろん花よりやきいも。
 やきいも屋だけではない。クレープ屋、わたがし屋、やきそば屋が来ている。一種のお祭りかな。
 橋が来るたびに渡ってみる。両側にせりだす桜を眺める。
 残念なのは曇っていることと小寒いこと。これで春らしい日差しがあれば、、、
 尾崎橋近くまで来ると両岸の公園が広い。ほとんどキャンプ場みたい。もうそこらじゅう宴会である。2,3人の家族からいろんな団体まで。「○○会」「○○組」の場所取りの文字も見える。○○組とは別にあっちの組織ではないと思う。子供たちがあちらこちらで走り回っている。
 尾崎橋に到着。ここでいったん桜がとぎれる。
 最初気がつかず、ここから中野駅ゆきのバスに乗ってしまおうかと思った。
 でも地図を確認すると、さらにさきに和田堀公園があるではないか。
 もうすこし川の岸を歩く。
 やがて善福寺川公園に到着。さっきまでのは善福寺川緑地公園と言うらしい。よく違いが分からないけれど。
 ときどきジョッキングする人とすれちがう。桜の下で気持ちよさそうだけれど、歩く人が多くて走りにくそうだ。
 ここでは御供米橋がポイント。おくまいはし、と読む。どういう意味だろう?地名心が揺り動かされる。いやでも今日は桜が優先。
 対岸ではカラスが花見をしていた。
 宮下橋に到着。ここらで善福寺川の桜はほぼ終了。天王橋からほぼ2kmの行程。

 さて次はどこに行こう?
 まず最寄りの駅に向かおう。
 一番距離の近い永福町駅に向かう。
 宮下橋を右に折れ、ちょっと行くとででんと鳥居があった。大宮八幡宮である。
 あまり知らない神宮なので、その大きさにびっくりする。
 ここでも鳥居の後ろに桜が見える。おもわずパチリ。
 カメラをもった中年夫婦と目が合う。やばい。しかし案の定、撮影を頼まれる。これがとっても苦手なのだ。どうもかならずぶれる気がする。きょうもやっぱりぶれた気がする。とっても申し訳ない。

 方南通りを渡り、土曜日の杉並区の静かな路地を歩く。
 建物の敷地に、ときどき桜が見える。
 1本そそりたつ桜。こういう桜も嫌いではない。
 次の桜は神田川とする。ここのはお気に入りなのだ。
 永福町から江戸川橋へ移動する。
 やっぱり足がつられていた。座席に座ってしばしやすめる。
 それでも十分でなかったようだ。というか日頃の運動不足か。
 江戸川橋駅から出口まで、つかれた足をひきずっていく。
 でもやっぱり出口をでて桜を見ると、疲れがふっとんでしまった。
 さっそく神田川沿いを歩き出す。
 去年は高田馬場から歩いたから、今年は逆方向。
 こちらの桜は大都会の中にありながら、どこかやさしげでよい。
 もちろんこちらも宴会花盛りであった。
 場所からか、西洋人の姿もよく見かける。
 川沿いなので、またもや橋に来るたびに川の真ん中に構える。そしてやっぱりデジカメを構えてしまう。
 こちらの桜はほんとうに川の方に全部せり出している。もちろん家の方にはのばせない事情があったのだろうが。
 椿山荘の芭蕉庵が公開になっていた。花見のついでに立ち寄れる、というかんじ。でも今日は桜の方が大事なのでパス。
 しかし江戸川公園には立ち寄る。トイレに行きたくなったのだ。
 ついでに池にかかる桜を拝ませてもらう。
 再び川に戻る。このあたりから両岸の桜がせりだし、ほんとうに桜色でうっそうとしている。
 マンションのモデルルームが公開されていた。こんな時期に売り出すなんて、ずるい。もし自分が探していたら、桜だけで買ってしまいそうである。
 豊橋、中之橋、面影橋。橋が来るたびにまんなかに来て、両側にあふれる桜にためいきをつき、デジカメをかまえる。その繰り返し。
 ふりかえり桜というのもある。ふりかえって見るとまた違った桜の姿が見える。
 面影橋あたりまで来ると、横で都電が走っている。
 もうこうなると、都電と桜を一緒に撮りたい。虫がうずく。
 高戸橋の交差点で撮影ポイントを定め、都電が来るのを待つ。なんか少しテッチャンになった気分。
 こうして夕方5時過ぎ、きょうの花見は終了。
桜をめぐる冒険99ーその1(千鳥ヶ淵)  今日は友人と夜桜見物を計画。
 しかし友人がシゴトでぬけられなくなった。PCがこわれたのだ。
 かくしてストッパーがいなくなってしまった。もう歯止めが利かない。やばい状態である。
 定時をまわってひとりでシゴトバを飛び出す。
 迷ったけれど、予定通り、千鳥ケ淵にでかける。

 でも地下鉄九段下駅の1番出口をかけ上がったら、もう桜のトンネルだった。
 その一瞬で1日のもやもやがふっとんでしまった。
 薄暗いの空の下、桜の下を歩く。やっぱり顔がなごんでしまう。
 上を見上げても桜、横を向いても桜である。僥倖である。

 千鳥ケ淵はお堀の向こうにも桜、こちらも桜。さらに桜の向こうには東京タワー。ああ東京っていうかんじである。
 夜桜が白熱灯に照らされている。そんな「白桜」もいいけれど、黄色い灯りに照らされる「黄桜」のほうがずっといい。
 おもわず時々立ち止まってデジカメでパチリと撮る。夜だから、スローシャッター。じっと記録が始まるのを待つ。あれよあれよというまに30枚も撮ってしまう。
 それにしてもいつのまにか満開になっているなんて。あの寒い日々の間、一生懸命桜は咲き続けていたのだ。
 上空にはあやしげな雲。風もいぜん強い。これまたとってもいい雰囲気である。
 ときどき雨も降ってきた。暖かい、春の嵐の雨である。風が強いので、ほとんど横向きに降っている。
 人は多かったけれど、予想したほどではなかった。人の流れもとどこおりなかった。みんなゆっくり歩いていた。いろんなお話をしながら。やっぱり花よりだんご3兄弟?
 英国大使館の前の道はすいていた。桜の下を思い存分歩いた。
 もちろん酒盛りしている人もたくさんいた。自己紹介なんてやっている。立ち上がって乾杯なんてやっている。花見なんだから桜の下で静かに飲めばいいのに。
 半蔵門まで歩いて、今日のところは終了。
 1つみれば十分かもしれないけれど。 明日も、あさっても、咲いているうちは見たいのだ。体力を温存しよう。
 明日あさってのために、洗濯を終わらせておく。
 できれば桜には今日の風で吹き飛ばされないようにがんばってほしい。


−99年3月−

雨の川越を歩く。

 2時過ぎ、本川越駅を出発。
 最初向かったのは東照宮。
 なんでも静岡の久能山と日光と、ここにしかないそうだ。静岡から日光に向かう途中4日間、家康の遺体がおかれたからだそうだ。今日の朝のTVで久能山の東照宮を見たから、1日で2つの東照宮をみたことになる。別に御利益があるわけではないけど。
 次にはその横にある「喜多院」。
 知らなかったけれど、なんかとっても古くて権威あったお寺らしい。徳川家康と深い関係にあった天海ともゆかりが深いらしい。
 本堂ではおじいさんおばあさんが机に向かっている。写経かな?と思ってながめてみると、どうも違う。絵の具を出してる人がいる。どうも絵のようだ。もしかしたら曼陀羅かも。しかし雨の土曜日にお寺で静かに絵を描く、ともいいなあ。お経をはじめるとみんな向きを変えて手をあわせていた。
 それから「どろぼう橋」。
 なんでも渡ると罪がけがれるそうな。ちょっと往復する。
 本堂の横にあるのが、春日局の家、だそうだ。
 中に入る。
 建物はおばあちゃんの家のにおいがした。思わず柱や戸をさする。
 庭にはもう桜が咲いていた。しだれ桜ももう咲きそうだった。つめたい雨に濡れていた。そういえば境内も桜の木でいっぱい。もう少しあとには見事な桜満開になりそう。
 別の方には日本庭園。小堀流なそうな。たぶん見事なのは素人でも感じられる。
 廊下がつめたい。昔の家はかなり床が寒かったに違いない。
 家光生誕の間、将軍がつかった雪隠、春日局の化粧道具を見る。
 冷えた足を出口の玄関のストーブであっためる。
 それから「五百羅漢」。同じ境内にある。
 羅漢ってなんだっけな?まださとれないひとだっけな?それにしてはいろんな羅漢の姿がある。みんなみんなさまざまな表情を浮かべながら雨にうたれていた。
 時々1円玉がのっている。気に入ったのにはのせるのかもしれない。
 このあたりの地名が仙波。そういえば水戸にも千波という地名があるな。

 それからまた歩いて富士見櫓へ。
 道が狭いので車が来るとたいへんである。
 途中に豆腐揚げのお店をみつける。しかし雨では買い食いもままならない。すこし残念。
 雨の中を少年たちがボール遊びをしている。いまどきの少年はファミコンばかりしているのではないのか。ちょっと驚く。
 富士見櫓はすこし小高いところにあった。そりゃ櫓だからね。
 ちょっと足をのばしてみる。たしかに眺めがいいみたい。雨だったけれど。
 裏手は川越高校。今日の案内人のN氏の母校であり、我が祖父の母校である。

 続いて三芳野神社。なんでも「とおりゃんせ」の童歌の発祥地なそうな。そんな碑が建っている。久しぶりの玉砂利で歩きにくい。
 それから「川越城7不思議」の碑なんていうのもある。。こういうのはどこでもあるなあ。不思議自体はまるで宮部みゆきの小説である。
 気がついたけれど、なんかこの町、碑が多い。そりゃ歴史が深い街だし。
 川越城本丸の前を通る。といっても城らしくない。なんだか普通の屋敷に見える。平城だったかららしい。
 むかしは入れた記憶があったけれど、今日はしまっていた。

 新河岸川までたどりつく。ここは川越から江戸まで船便がでていたところである。いまはムリなのかな。
 ちょっと戻って氷川神社。神社の前に場違いな洋風な建物。どうもお寺経営の結婚式場。なんだか恥ずかしくなる場違い。
 そして札の辻に到着。蔵の通りの入り口である。
 蔵をぶらぶらみて歩きたかった。しかし雨であるし、寒い。
 ここまで2時間半近く。さすがに体が冷えた。あったかいものをとりたいな。
 お菓子屋さんで「おさつコロッケ」を1つ。あまくておいしい。
 さつまいもの最中も一口。これもうまい。おもわず買って帰ろうかと思う。


−99年1月−

大井町〜東銀座〜日本橋
終わりものをみにいく。

 今日も映画でいいけど、天気もいい。
 今日で終わるものが2つある。
 今日は終わりものツアーにでかけよう。
 今日はなくなっていくものをみておきたい気がした。

 まずは大井武蔵野館。
 こんなへんな映画ばっかりやる映画館はほかになかった。
 でもこんな映画館がなくなってしまうのは、実におしい。

 大井町から大通りを歩き、5分ほどで映画館につく。
 大井武蔵野館はすぐわかる。赤いネオンがひかっていた。
 映画館の前には誰もいなかった。まるで明日からも上映するように。
 表の上映映画の案内も、明日から上映するかのように貼ってあった。
 ただ明日からの予定がなかった。
 最後の上映は三船敏郎特集。「五十万人の遺産(三船敏郎、星由里子)」と「太平洋奇跡の作戦・キスカ(山村聡)」。
 そしてレイトショーの「お宝発掘キャラバン」。今日は「ヘアピン・サーカス」。
 最後に日までちゃんとレイトショーやります。いいね。
 今日は「満員状態」の札がかかっていた。
 僕がこの映画館に見に来たのは1回だけである。たしか寺山修司特集だったような。
 東京で1番と思うぐらい、座席が古かった。

 次は東銀座の松竹セントラル。
 2月11日で閉館になる。
 そのことをのぴあで見るまでしらなかった。
 この映画館はむかしよくきた。沿線に住んでいたし、シゴトバにも近かったしね。
 それだけにちょっと思い入れがある。
 ちょうど「ラッシュ・アワー」にまにあいそう。
 急いで行ってみる。
 しかし5分ほど遅刻。
 しかもチケット売場には長蛇の列。
 「ムトゥ・踊るマハラジャ」がまだ大人気らしい。
 しかたなく、入るのをあきらめる。
 こちらの上映は「ラッシュ・アワー」とその「ムトゥ・・・」、そして木下恵介監督追悼上映。

 つづいて東急の日本橋店。
 こちらはニュースでもやっている。
 すでに地下1階の通路に長蛇の列。
 入場制限をやっているらしい。
 地上にでても、人がいっぱい。
 お休みの日本橋に人がたくさんなんて、ちょっとへん。
 写真をとってる人も多い。僕も同じか。でもこういうのはちょっと恥ずかしい。
 TV局もきてた。TBSとめざましTV。もしかしたらニュースでうつってるかも。
 警察も来てた。そらそうである。パニック寸前である。
 なんでも今日1日で16万人来たらしい。すんごい。
 やっぱり最後だと思うと、みんなやってくるらしい。
 僕も何にもないデパートを見てみたかったもの。
 最後の線路に乗りにくる鉄道ファンのこと、みんなとやかくいえないね。

 というわけで最後の日ツアー、終了。

 ひさしぶりに神保町に行ってみる。
 見上げるとしらないビルがあった。明治大学の新校舎だ。
 その前を通る。
 前にはあった柵が取り払われ、歩道が広がって歩けるようになっていた。
 むかしここの柵にはいつも左翼のタテカンがかかっていたのにね。
 もうそんな記憶のあとかたもなくなってしまった。
 むかいのカザルスホールの汚れ具合がいい。
 バブルのころの建物だけど、だいぶ風格がでてきた気がする。


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