第23回ロサンゼルス大会前回モスクワ大会の西側の不参加は、やはり恐れていた事態を引き起こしてしまいました。今度は報復として、東側が不参加を表明してきたのです。
日本がようやく参加できるのはうれしいことでしたが、ソ連や東ドイツが出ないのでは喜びも半減でした。オリンピックは、世界中の国が参加して、選手が4年間の成果をぶつけ、そのとき一番強い者を決めるからこそ意義があるのです。体操やバレーボールで、宿敵ソ連を倒さずして金をとっても、日本が最強だという証明にはならないのでした。
ただ、私が興味を持てないのとはうらはらに、ロサンゼルス大会は派手な演出とメディア戦略によってかなりの成功を収めました。それまでは、開催国にとって赤字を生むだけだった五輪開催は、放映権などのつりあげによって一気に「金の卵を生む鶏」となったのです。それはまた、今後に大きな問題をもたらすことにもなったのでした。
さて、この大会で話題を独占したのは、陸上男子のカール・ルイス選手でした。100m、200m、走幅跳、400mリレーの4冠を獲得し、陸上王国アメリカのなかでも最も輝いた選手となりました。その強さは、ソ連が参加しようがしていまいが変わることはない、と確信できるものでした。だれもが納得できる金だったからこそ、その価値もいっそう高められることになったのでしょう。
日本勢も、いい戦いを見せてくれました。体操の個人総合では具志堅幸司選手が逆転で金、鉄棒でも森末慎二選手が金をとり、今から思えば下り坂の日本体操が落日の輝きを放ったような大活躍となりました。柔道では山下泰裕選手の、現在も語り継がれる「負傷を抱えての金」もありました。選手たちは、状況がどうであろうとも精一杯実力を発揮してくれたのでした。
メダル総数は金10個、銀8個、銅14個。今後、この数を上回るのはかなり難しいでしょう。ロサンゼルス大会は、日本にとってはもしかしたら、最後の「メダル量産大会」となったのかもしれません。
それにしても、政治に五輪が左右されるのにはうんざりでした。結局、今回も前回も、「本当のオリンピック」ではなかったのです。そんな大会はもうこれっきりにしてほしい、と心から思いました。五輪開催が国家の威信をかけたものである以上、政治に左右されるのは仕方のないことかもしれません。でも私は、4年に一度の全世界が注目するスポーツイベントを、ただ純粋に楽しみたかったのです。
その後、東西冷戦はほぼ終結しました。しかし、世界に平和が訪れたわけではありません。ひとつの問題が解決しても、全然違うところで争いは続いています。結局、この世の中が隅から隅まで平和になることなど、ありえないのかもしれません。
でも、五輪がふつうに開催される状態なら、まだマシというべきなのでしょうか。できれば今後も、この楽しみが奪われるような事態だけは、起こらないよう願いたいです。

結果
 陸上競技
 水泳
 アーチェリー
 
バスケットボール
 ボクシング
 カヌー
 自転車
 馬術
 フェンシング
 
サッカー
 
体操
 
ハンドボール
 
ホッケー
 柔道
 近代五種
 ボート
 セーリング
 射撃
 
バレーボール
 ウエイトリフティング
 レスリング

獲得メダル
10 8 14

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